ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

アリシア怒ってるよ~。

カーチスカが本気になった。私はカーチスカから感じる魔力の圧を肌で感じながら改めて気を引き締め直す。


 それにしてもさっきのアリシアのストーンブレットは危なかった。


 私は少し前の攻防の事を思いながら、昨日ハクアから作戦を聞かされた後の、アリシアに言われた事を思い出す。


 ハクアに「カーチスカの相手は私とアリシアの二人で勤めて貰う事になる」と言われた後、前回戦った時の事を思い出しながらアリシアと二人、戦闘に付いて話していた。


 その時に「明日のカーチスカとの戦い。私は魔法と弓での援護が主体になると思いますが、遥かに格上のカーチスカ相手では、恐らく普通のタイミングの攻撃では、簡単に防がれると思います。なので明日は、エレオノの反応ギリギリのタイミングでの援護や追撃になります。ですから気を付けて下さいね?」と言われた。それに対し簡単に「分かったよ!任せて!カーチスカは強敵だからガンガン来てね!!」と、返事をした。したんだけど!?


 まさか、ここまでギリギリだとは・・・・。


 昨日の私を殴りたい!正直凄く怖かった。ファイアアローも顔のすぐ横をバヒュッ!とか、音させながら通り過ぎていくし!さっきのストーンブレットだって、アレ、その場の判断の攻撃で打ち合わせとか無かった攻撃だからね!?下手すれば当たってたよね?!実際ストーンブレットが私の上を通り過ぎる時ちょっと服に当たったし。私の胸がアリシアやるり位あったら、削れてたよ絶対!?ギリギリ過ぎて私の方が危なく無い?!大丈夫だよね?信じてるからねアリシア!?


 私はそれらの事を極力考えない様にしながら、そんなギリギリのタイミングでの攻撃も簡単に避け、今まさに本気を出したばかりのカーチスカに、改めて自分よりも遥かに格上なのだと思いしる。


「・・・・・・こ、ここからが本番・・だよ・・ね?」


「そうだと思いますよ?先程までとは魔力の圧が違いますしね」


「だ、だよね~」


 うわ~。アリシア怒ってるよ~。


 そう短く無い濃密な時間をハクア達と過ごしてきた。その中で最近アリシアが怒っているのが分かるようになってきた。その合図がエルフ特有のあの耳だ。


 エルフの耳は私達人間や他の種族と違い長く尖っている。その耳が怒っていたり、苛ついていると、ピクピクと動くのだ。そして、今怒っている理由も分かった。


 先程のカーチスカの発言、私達を人形にと言った時にチラリと別の所を見た。それは、るりがグロスと共に向かった方向だった。アリシアが来る前に移動したから知らない筈だけど、もうそろそろるりと合流を果たしているだろうハクアがそこに居れば、アリシアなら何かしら感じる物が在るのだろう。


 解らないけど?


 でも実際カーチスカがそっちの方を見たときから、耳がピクピクしているので多分間違いない。そしてカーチスカがそっちを見た理由も、恐らくは私達をさっさと倒し人形にした後、グロスに滅茶滅茶にされる前にハクアを回収しようと考えたんだと思う。


 ガダル一行はハクアの事を評価してるしね?


 そして、私がこの結論に至ったということは、恐らくだけどアリシアも同じ結論に至ったんだと思う。じゃないとここまで苛つかないと思うしね?


 アリシアとるりは勿論私達に何かあれば怒ってくれるだろうけど、ハクアの事となればレベルが違うからね。


 前にアクアとコロの三人でアリシアのその事に付いて話した事がある。まあその時の話の結論で、とにかくアリシアにハクア関連の事で怒らせない様にしよう。と、いう事になった。それにはコロも頷いてたし、何故かアクアは少し震えながらカクカク頷いてた。


 何が在ったのか?とも思ったけど聞かなかった。だって怖いしね!?しかもその後仲間になったクーも、アリシアとるりにはハクア関連の事で怒らせたくないとか言ってたから、多分私の勘もハズレてはいないのだろう。


 そんなアリシアの逆鱗に触れる行為をしたカーチスカ。私も気合いを入れないと、ギリギリを狙うアリシアの攻撃で落ちちゃうかもしれないしね。


 って、さっきそれを考えない様にしようって思ったばっかだし!


「エレオノ」


「ふぁい!」


「???私が先に仕掛けます。そしたらーーー」


「りょ、了解。さっきみたいに接近戦に持ち込むよ」


「お願いします。でも、気を付けて下さい。どんな魔力の攻撃が在るかわかりませんから」


「うん」


 私が返事をすると、アリシアが珍しく詠唱しながら魔法の準備をする。


 これもハクアが言っていたけど、詠唱や魔方陣を使えばイメージの補正?とかが出来て威力が上がるらしい。詳しくは解んなかったけど?同じ様な理由で、オリジナルの武技とかも名前をつけた方が良いらしい。ハクアも「理由とか解んなくても良いからそれだけ覚えといて」と、言ってたから理由は気にしない!


 そうやって出来た魔法は、何か見たこと無い極悪な物だった。何か子供の頃に見た事がある山が噴火した時に流れてきた奴だった。赤くてドロドロした危ない奴で確か触ると凄く熱いとかって言ってたような?マグラ?とかそんな感じの奴!


 それが岩が集り固まった三十センチ位の丸いボールっぽい奴の中で、生き物みたいに脈打ちながらドロドロと零れてはジュッ!と、音を立てて地面を焦がしてる。


 怖っ!アリシアさん何時の間にそんな魔法を使えるようになったんですか!?


 心の中で、思わず敬語になりながらその光景を眺める。すると、見る間にそのボールは十個程になり、物凄い勢いでカーチスカへと放たれた。


 しかもアレ、撃ち出す瞬間風魔法で押し出した?それが本当なら、火、土、風魔法の三つ同時使用だよね!?


 私はアリシアが撃ち出したボールの影に隠れ、カーチスカの視界から外れる様に動きながら、アリシアの事は怒らせない様にしよう。と、再び心に誓った。



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