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ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

比較がおかしい

 ハクアが拐われたすぐ後、アリシア達はギルドへと駆け込み、ギルド長へ事情を話していた。


「だから!アリスベルの入り口の所で人混みに呑み込まれて、その時にハクアが誰かに拐われたです!」


「事情は分かった。こちらでも早急にギルドの雇っている冒険者に対応して貰おう」


「それじゃ遅いんです!ご主人様に何かあったらどうしてくれるんです!もし・・・・・もしもご主人様に何かあったら・・・・私はこの都市の全てを敵に回しても、その人間を・・・絶対に赦しません」


「あ、アリシア?落ち着くのじゃ!」


「そうだよアリシア!いくらギルドでもこれ以上は無理かな」


「でも・・・ご主人様に何かあったら・・・うっくっ」


 そう言ってアリシアは泣き崩れて仕舞う。そんなアリシアを結衣とコロに頼み、瑠璃達は話を続ける。


「私達の方でも何とかしてみます。そちらはお願いしますギルド長さん」


「分かった。ギルドの名誉に掛けて。と言いたいが、正直人手が足らんのは確かだ」


「確かに、この都市の全てを探すとなれば、ギルドの雇っている冒険者では少ないですね。なら個人的に頼む事なら出来るのでは?」


「出来るには出来るが、それでは今度はギルドが手を出せなくなる。何せ依頼として出した物をギルドが横取り出来んからな」


「じゃあどうしろと言うのじゃ!」


「それは・・・・」


 クーの言葉に、ギルド長が口ごもった時。


 ガチャッ!「失礼、お邪魔するわね」


「君はカラバス・マーン何故ここに?!」


「あら?ご挨拶ね。ハクアは私にとってもパートナーですもの。拐われたとなれば力を貸すのが当たり前でしょう」


「しかし・・・」


「私が、私の私兵を出すのにギルドが口を出す権利は無いわ。そうよね?」


「分かった。協力してくれ」


「ええ、私のビジネスパートナーだもの。絶対に助け出してみせるわ。その代わり、兵を出す為の手続きは頼んで良いかしら?」


「分かった。王には私から連絡を入れ、謁見を申し出よう。それが一番早いからな」


「頼んだわ。いくら十商といえどギルドの緊急案件程、王との謁見をすぐには果たせないもの。それじゃあ皆は、外にデミグスを待機させているから、合流して私の兵と準備をしていて頂戴」


「「「はい!」」」


 こうしてアリシア達は外に待機していたデミグスと合流し、カーラの私兵とハクアの救出に向かう準備を始める。同時に、ギルド長も職員に捜索の手配を頼み、カーラと共に王城へと向かった。
 そして、今回の事情を話し二人は何とか王との謁見を果たした。


「それで?」


「ハッ!カラバス・マーンが自らの兵を出す事に許可を戴きに参りました」


「ほう、何故そなたがそこまで?」


「拐われた彼女は私にとっても大切なパートナー。その彼女が拐われたのなら、私は私の財を投げうってでも救いたいのです。ですからどうか!私に彼女を助けるチャンスを与えて戴きたいのです!」


 そのカーラの言葉にその場に集まった家臣は息を飲み、感動を覚える者までいた。


「ギルドだけでは足りないのか?」


「はい、どうしてもこの都市全土となると」


「我々王城の兵士が個人の為に動く事は出来ません。ここは彼女の気持ちを汲むのはどうでしょうか」


「ええ、誘拐を企てる者を放置したとなるのも、問題が在りますし・・・」


 と、カーラの言葉に心うたれた者が助言をする。


「分かった。兵を出す許可を出そう。早急に対処しろ」


「「ありがとうございます」」


 王からの許可を貰い退出する二人。


「何とか彼女達との約束を守れそうだ」


「ええ、そうね。じゃあ私は許可が出た事を知らせてくるわね」


「ああ、こちらも出来るだけ早く動こう。しかし、しらみ潰しに探すとなると、この人数でも時間が掛かるぞ。何か当てはあるのか?」


「安心して良いわ。だって私には優秀な仲間がいますからね」


 そしてカーラはギルド長と別れ、外に待機させていた竜車に飛び乗る。


「ふう、これで条件は満たしたわね。予定通り後は任せたわよ」


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 同時刻?????にて。


 ハクアが目を覚ました時そこは薄暗い建物の中だった。しばらくの間夕飯が遅れる事実に嘆いていたが、考えると逆にお腹が空くと思い考えるのを止めた。そしてふと思い出したのは、ゴブリンとして生まれた時にいたあの洞窟だった。


「思えばあれからそんなに経って無いんだよね?そのわりに死にそうになる回数が多いけど・・・・・・」


(ゴブリンとか、ホブゴブリンとか、魔族とか、うん。比較がおかしい)


《シルフィン:この状況で随分と余裕ですね?》


(あ~、まあね。そう言えば聞きたい事あったんだ)


《シルフィン:そこが何処かとか、何人いるかなんて教えませんよ?まあ、違うでしょうけど》


(うん。全く違う。私が聞きたいのは勇者倒した。ボーナスポイントだよ)


《シルフィン:ボーナスポイント?あぁ、あのギフトを変換した》


(そうそう)


《シルフィン:それで何を聞きたいんですか?》


(あれってさもっと細かく割り振れないの?)


《シルフィン:と、言うと?》


(いや、だからさ。え~と、一口に敏捷って言っても速さには色々あるじゃん?反射神経とか、動きとか、そんな風に出来ないかな~と)


《シルフィン:そう言う事ですか。それならステータスを開いて、細かく見たい所にスキルの説明を見る時のようにしなさい》


(ほう、あっ、出来た!)


《シルフィン:はあ、前に細か過ぎるとクレーム来たから今の感じにしたのに》


(あ~、これに関してはごめん。つっても私の弱さを何とかするには、これぐらいしないとね?)


《シルフィン:まあ、そうですね。それで何を上げるんですか?》


(ふむ。敏捷の項目は、攻撃速度、回避速度、移動速度、呪文詠唱速度、魔力合成速度か、最後の何?)


《シルフィン:魔法を使う為に魔力を練るスピードを上げる物です。これが高いと必要魔力の多い呪文も、早く撃つことが出来ます。因みに敏捷はその5項目の合計数値ですよ》


(そうなんだ。呪文詠唱はとりあえず良いな、私まだそんなでかいの使えないし)


《シルフィン:そうですね。最高位の魔法になれば、詠唱が必須なものもありますが、まだ覚えていませんしね》


(そうそう。と、言うわけで割り振れるのは50だから取り合えず、回避と移動に15ずつ振ろう。後は帰ったら他の項目を見て決めよう)


 ガチャッ!「起きろっ!!」バシャッ!


「冷たっ!!」


 ハクアの監禁されている部屋にいきなり来た男は、ハクアに水を被せハクアの腕を掴んでくる。


「こっちだ。来い」


「やだ!」


「良いから来い小娘が!」


「おわっ!」


 そしてハクアは部屋の外へと連れて行かれた。部屋を出るとそこは予想通り、どこかの使われていない屋敷のようだった。


「ここは・・・・」


「お前が知る必要は無い」


 後ろ手にロープで縛られたハクアは、大人しく男達に従い廊下を進んで行く。


 コンコンッ!「連れて来ました」


「入れ」


 部屋の中に入るとそこには一人の男が座っていた。


「お前が白い少女ハクアだな?」


「そうだけど・・・」


「座れ!」ガタッ!  


「荒っぽいのは許せよ?俺達は育ちが良くないからな。さて俺はお前にどうしても聞かなければいけない事がある。その為にここに来て貰ったんだ」


 ハクアの目の前に座る人物、ククス・エイドスはそう言って話をし始めた。

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