ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

今日の夕飯はステーキだ!!

「うわっ、ハクアの方がギリギリな戦いしてるのに、相手の方が完璧に怯えてるかな」


「そりゃ目の前で自分の体をむしゃっとされれば誰でもビビるのじゃ」


「・・・・・私、モンスターをここまで哀れだと思ったの初めて・・・」


「「「「確かに」」」」


 何やら後ろの方で皆が話しているが、やはり私の耳には内容まで入ってこない。


 まあ、今はこっちが重要だ。


「ブモォオオオォォォオォオ!!!」


 私の宣言に何故か後ずさった牛肉は、斧を捨て雄叫びを上げる。その雄叫びで私の体は硬直し身動きが出来なくなる。


 これは【咆哮】か、確かガシャドクロの時も動けなくなったし。


 自身の経験からそう推測して、動けるようになるまでじっと待つ。私を一時的に行動不能にした肝心の牛肉は私の目の前で体が膨れ上がっていく。


 なっ!


 雄叫びを上げながらただでさえ大きかった体を更に膨れさせ、牛肉は四つん這いになる。そして、頭部の角は今までの倍ほど、体の方も二回りほど大きくなり、今までのミノタウロスフォームから、私が知っている牛の形、闘牛のような感じに変わる。


 恐らくこれが【本気】と【変化】何だろうけど・・・・これはもう誰がどう見ても完璧に牛だよね!!


 私は牛肉の本領発揮状態に思わず嗤ってしまう。


「ブモォッ!?」


 牛肉も自分が本気を出して嗤われるとは思わなかったのだろう。私の笑みを見て何故か震えたように見えた。


「ブルモオォォォォ!」


 そして少し後ずさった後、気合いを入れるように雄叫びを上げ、私に角を突き出し突進してくる。


 チッ!早い!これが【ホーンスラスト】か!


 私は今までとは段違いに速度の違う攻撃に虚を突かれ、回避が少し遅れ角の先に服が引っ掛かってしまう。


「うわっ!」ビリリッ!?「くっあっ!」


 引っ掛かった服は角の鋭さと威力に簡単に引き裂かれるが、私は勢いで体が浮き、空中で服が裂けた事で錐揉み状態で宙を舞い地面に激突する。


 クッソ痛い。流石ハリケーン〇キサー威力が半端ない。


《シルフィン:ハリケーンミキ〇ー言うな!》


 クソ!あの角は食えないからいらないんだけど。


 吹き飛ばされ地面に投げ出された私を見て気を良くしたのか、牛肉は力を溜め再び突進してくる。


 くっ!


 今度は回避に成功するも、牛肉は立ち止まる事無く旋回し、更に速度を上げ突っ込んで来る。私は何とかその攻撃を避け続けるが、私が避ける度に速度は上がり威力も増す。そしてまた私の服に角が掛かり、先程と同じように吹き飛ぶ私。


 痛ッ!しかも止まんないし!このまま仕留めに掛かってる?!そっちがその気なら!!


 私を撥ね飛ばし旋回している間に何とか立ち上がると、再び刀を構え直し集中する。そして牛肉は今までとは違い、明らかに私の事を角で狙いを定めながら突進してくる。
 その攻撃をギリギリまで引き付け、私は風縮で横に跳び牛肉の額を目掛け刀技【黒凶】を使い、頭蓋を割りに行く。


 ガギィィイ!しかし私の刀が当たる寸前、牛肉の頭が振られ刀と角が激突する。そして甲高い音を立てて私の刀が牛肉の角に弾かれる。


 クッソ牛肉の癖に生意気な!角硬い!手が痺れる!しかも傷がちょっとしか付いてない!泣くぞ!


 しかしこれで分かったのは、横に飛べば牛肉に対応の隙を与えてしまうという事。そしてそろそろ刀が限界に近い、後一発全力を使うと危なそうだ。


 それが何となく理解できた私は覚悟を決め、今度は腰を落とし水転流刀術・止水の型の構えを取る。


 止水の型は水転流刀術の型の一つで、後の先を取る事に特化した構え、つまりはカウンター用の物だ。


 止水の型を使う事は私が回避をしないという事でもある。そして、牛肉はこれまでで一番最速の突進を繰り出す。私はそれを見てスキル【鬼気】を発動、それと同時に止水の型から放つ技の一つ、突き技の【氷雨】を牛肉の額目掛け突き込む。


 ガギィィイ!しかしまたしても牛肉は頭を振り角と刀が激突する。だが今度は私も【魔闘技】だけでは無く【鬼気】も併用、さらに【結界】で足を固定する事で何とか均衡状態になる。


「ブルモオォ!」


「はあぁぁぁ!」


 ピシッ!互いに全ての力を使い攻撃を放つも、最初に悲鳴を上げたのは私の刀の方だった。しかし私はここで牛肉の体の下から、上に向かって突き出すように【結界】を作り、牛肉のバラを打ち上げる。


「ブモォ!?」


 大したダメージにはならない物の、想定外の衝撃に力が緩む牛肉。私はその隙を狙いこの一瞬に全て力を凝縮する。


「があぁぁぉぁぁ!」ガギイィンッ!


 私が咆哮を上げ力を籠めると、刀と同時に【黒凶】で傷付けた角の方が根本の部分から折れる。そしてその衝撃に牛肉が仰け反った所を、折れた刀を使い【鬼崩剣】を牛肉の眉間にぶち込む。


「ブモォォォ!」


 牛肉は悲鳴と共に吹き飛び、体をピクピクと動かし、やがてその動きも止まる。


「フウッ!」


 はぁ、結構ギリギリだったな。


 今、私は酷い状態だった。服はあちこち引き裂かれ素肌を晒し、その肌も打ち身や切り傷で赤くなり、左腕は未だ治っておらず、【結界】で支えた足は大腿骨を、あばらも二~三本折れ、【氷雨】を放った腕も激突の瞬間、咄嗟の機転で骨を【結界】でコーティングしたが【鬼崩剣】打った段階で確実に折れた。


ハクア
レベル:18/20
HP:9/1130
MP:30/570
気力:10/500




 うわっ!ギリギリそれに無事なのは左足だけか、後は全部折れたから身体中痛い。
 早くアクアに治して貰おう。しかしこれ【結界】解いて骨のコーティング辞めたら立ってすらいられないな。でも、咄嗟の判断だったけどこの骨のコーティングは役に立ちそうだな。


「ご主人様!」「ハーちゃん!」


「あいた~!」


ハクア
レベル:18/20
HP:5/1130
MP:30/570
気力:10/500


 何これデジャ・ビュ?!しかもHP減ってるよ!?あっ、でも柔らかい。


「無茶ばかりしないで下さい」


「む~、ハーちゃん!ちゃんと反省して下さい」


 その言葉に自分がどれほど心配を掛けたのか考え、抱き付いてきた二人の頭を撫でる。


「ハクア後ろ!」


「へっ?」


 エレオノの声に従い振り返ると、牛肉が震える足で立ちあがり、ゆっくりとこちらに向かってくる。私は迎撃しようとするアリシアと瑠璃を制し、何とか立上がり構えを取る。しかし牛肉は私の前までくるとそのまま倒れ込み、今度こそ本当に動かなくなる。


▶ハクアのレベルが19になりました。
HPが1160に上がりました。
MPが590に上がりました。
気力が525に上がりました。
物攻が314に上がりました。
物防が306に上がりました。
魔攻が215に上がりました。
魔防が258に上がりました。
敏捷が374に上がりました。
知恵が420に上がりました。
器用が360に上がりました。
【集中LV.9→MAX】になりスキルが【思考加速LV.1】に変化しました。
【鬼気LV.5→LV.6】になりしました。
スキル【並列思考】を習得しました。
スキルポイントを20獲得しました。


▶アリシアのレベルが25に上がりました。


▶エレオノのレベルが25に上がりました。


▶コロナのレベルが25に上がりました。


▶クーのレベルが20に上がりました。


▶クーのレベルがMAXに成りました【進化】が可能になりました。


▶彼方 瑠璃のレベルが20に上がりました。


▶キュールのレベルが18に上がりました。


▶神城 結衣のレベルが22に上がりました。


▶フロストのレベルが38に上がりました。


 レベルアップを果たした事で、私の体が何時ものように全回復する。


「わっ!き、傷が・・・」


「ああ、結衣ちゃんは知らなかったんだ。モンスターはレベルアップすると全回復するんだよ」


「凄いですね」


「ハーちゃん狡くない?」


「仕様です!」


「マスターやる事をやって帰りましょう」


「そうだね」


「じゃあさっさとソウルテイカーで・・・」


「タイムー!!!」


 あぶね~、私の苦労が。


「どうしたんですかご主人様?」


「私がやる!」


「えっ。あっはい」


 そこから私は影魔法で皆との間に区切りを作り、牛肉の解体作業に移る。


「な、何か・・・嫌な音が聞こえるよ」


「ご主人様は一体何を・・・」


「わかるけどわかりたくないです」


「我も」「ゴブ?」


「まっ、まあハクアの好きにさせてあげようよ。多分それが一番良いかな?」


「そうですね。あ~いう感じのハーちゃんは放って置くのが一番です」


 そして私は皆に若干引かれながら、念願の牛肉をgetしたのだった。


 今日の夕飯はステーキだ!!



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