ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

狂信者恐い・・・

 いや~、やっぱ健康は大事だね!ご飯も美味しいし、体が軽いよ。


 私はこの所体調不良で余り食べられなかった分を取り戻すようにご飯を口に運び続ける。


「ご主人様。もっとゆっくり食べないと、また体壊しますよ」


「そーだよハーちゃん。折角良くなったんだから」


「何、もぐもぐ、言ってるの、もぐもぐ、食べなきゃ、もぐもぐ、ちゃんと、もぐもぐ、治らない」


「ハクア行儀悪いよ。食べるか喋るかどっちかにしないと」


 もぐもぐもぐもぐ。


「あぁ、食べるんだ」


 うん?当たり前じゃん!


 そんな訳で私は食事を優先し、食べ終わってから先程女神に聞いた事を皆に話していく。


 しかし、私が話していると途中から結衣ちゃん&フロストが驚いている。


 何故だ?・・・・まあ、いっか。


「・・・・と、言うわけだよ」


「へぇー、戦略の幅が広がりそうだね」


「まあね。強い相手と当たる時はいい感じに役に立ちそうだよ。まあ、ランダムだけど」


「それでも十分だと思うかな」


「何よりスキルを選べる様になったのが良いですね」


「うん。今後は要らんスキルを取らなくて済むよ」


「贅沢な会話じゃな。それより主様?もしや勇者を狩ろうとか言わんじゃろうな?」


「言わない」


 流石の私もそこまで突き抜けませんよ?って言うかアリシアさん瑠璃さん、何露骨にホッとしてんの?!いくら私だってそんな事しないよ!!


「まあでも、突っ掛かって来たり、屑だったら分かんないけどね」


「あぁ、この間の人みたいなだね」


 瑠璃さん、彼一応クラスメイトだったらしいよ?私も良く覚えてないけどな!


「あ、あの、話の途中失礼するが、ハクア殿は女神様から直接その事を聞いたので?」


「そうだけど?」


 えっ?何?何かやらかした?


「マスター、そう言えば二人には女神様の事は話していないのでは?」


 そういやそうだっけ?めんどくさいな。よし!


 私は思い付いた案を実行すべく二人の手を取る。後次いでに、瑠璃も連れていく為に抱き付かせる。そして何時もの通り駄女神の所へと連れていく。


「こ、ここは・・・」


「は、白亜先輩?」


「わぁ~、ここがそうなのハーちゃん?」


 そうだよ。


「ハーちゃんの声が直接頭に?」


《シルフィン:さっきぶりですねハクア。どうしました?》


 あんた達の事話して面倒だから連れてきた。


 私が駄女神にそう話すと横に居た結衣ちゃん&フロストが固まっている。


 何故?


「はじめまして、ハーちゃんの友達の瑠璃です」


《シルフィン:ええ、はじめまして瑠璃。私の名前はーーー》


 駄女神だよ?


《シルフィン:そう私の名前は駄女が・・・って、何て紹介をするんですか!危うく自分で言う所でしたよ!》


 本当の事だし。


《シルフィン:相変わらず失礼ですね!!》


「わぁ~、二人共仲良しですね」


 瑠璃の言葉を聞き、互いに嫌な顔をする私達。


 これと仲良しとか。


《シルフィン:こっちのセリフです。とっ、そう言えば先程説明し忘れましたが、生きてる相手からスキルを奪う場合は、相手の体に触れながら、何時もの様にスキルを使えば出来ますよ》


 それ結構大事じゃね?やっぱポンコツじゃね!?


 その言葉を皮切りに二人で互いを罵倒しあっていると、再起動したフロストがいきなりこちらに向かってくる。


「はっ!そ、創世新シルフィン様!お初に御目に掛かります。私は聖国カリグに所属していた教会騎士の末席に名を連ねるフロストと申します。此度は私の様な若輩に拝謁をして戴き、誠にありがとうございます」


 えっ?何いきなりひざまづいてるの?


《シルフィン:ふふっ。見なさいハクア!これが正しい反応と言うものです》


 え~、面倒。


「ハクア殿!何をおっしゃっているのですか!この方はこの世界をお造りになった唯一無二の方。そんな御方に、その様な無礼な態度とても許される物では有りませんよ!」


 暑い、暑苦しいな――――そう思いながら今も続くフロストの小言を聞いていると、最初は得意満面で聞いていた駄女神の顔が、次第に曇って行く。


《シルフィン:集合!》


 突然の号令に全員がビビる中、私は駄女神に手招きされて部屋の隅まで連れ出される。そして何故か瑠璃まで付いて来る。


 何?


《シルフィン:いや、なんと言うか・・・・流石に彼処まで来られると、微妙に引くって言うか・・・・ここでのノリはアレじゃない感が凄いと言うか》


 いや、神として扱われてんだから受け入れろよ。


「シルフィンさんフロストさんの事、苦手なんですか?」


《シルフィン:いやまぁ、ノリが合わないって言うかなんと言うか・・・あそこまで信心深いのは、ちょっと・・・・》


 良いのかそれで?!


《シルフィン:仕事はちゃんとしてます~。今後信心深い方や、神に心酔してる方は禁制でよろしく。遣りづらいし何より、その・・・・・・狂信者恐い・・・》


 ・・・・了解。とは言え、こいつ自分の存在全否定してね?まあ、気持ちは分かるけど、確かにアレは恐いわ~。


「流石ハーちゃんのお友達です」


 何でそんな感想が!?


「えっ?だってみーちゃんもそんな感じだよ?」


 否定しないけど納得いかん。


 その後、私達はフロスト達の所まで戻った。駄女神がフロストに私の手伝いをしてやってくれ。と、伝えたらまた物凄い勢いで頭を下げ、いろいろ言っていた・・・・・が、駄女神めっちゃ引いてたよ?気が付けフロスト!!


 いつの世も行き過ぎた信仰心は周りを引かせるものである。無情なり。そしてフロストざまぁ。


 戻って来た私達は一休みしたらギルドの方に依頼を見に行く事にした。


 その間にエレオノが、私のステータスは何を伸ばすのか?と聞いて来たが、とりあえずまだ決めていない。と言うと、アリシア達から防御に割り振るべきだ!と、猛プッシュされた。


 個人的には防御よりもスピードか攻撃、もしくは器用さ上げてクリティカル狙いで行きたい所だよね。いや~、ステフリ考えるとか廃ゲーマーの血が騒ぎますわ~。


 そんなこんなで話をしていると、不意にベルの音がなり、またカーラからの呼び出しか?と、思っていたら何とやって来たのはライアスだった。


 うわっ、スゲー久しぶりだな。


〈ライアスに頼み事していたの忘れていませんよね?〉


 ふっ、私が忘れるとでも。


〈忘れますよね?割りと普通に〉


 はい。すいません。忘れてました。


「久しぶりだねライアス」


「あぁ、嬢ちゃんも元気そうだな。にしても、少し見ない間に随分増えたな?家だって豪華だし?何かあんなら一枚噛ませてくれよ?」


「飯奢ろうか?」


「ケチクセーな嬢ちゃん。まあ冗談はこれくらいにして、だ・・・・・・嬢ちゃんの言う通りいろいろとキナ臭いぜ」


「続けて」


「まず、嬢ちゃんも図書館行ったから知っちゃいると思うが。
俺たち人間の領土であるフリスク地方は、騎士国、聖国、王都そしてこの商業都市が代表する国々だ」


「それは知ってる。他にも小さな村や街もあるんだよね?」


「あぁ、と、その前にこれを見な」


 ライアスはそう言って私達の前にフリスク地方の地図を広げる。


 何これ?図書館のよりも詳しく書いてあるんだけど!


「これは俺が描いた物なんだが・・・まあ、分かってると思うが、この菱形の下の部分これが王都何だが、この王都が大量の勇者を召喚したのは知ってるよな」


「それは知っています」


「まあ、バカなハゲが口滑らしてたからね。調べたよ」


「そうか。で、その勇者をつい最近まで囲って訓練してたんだが、どうやらその勇者を魔王討伐に送り出したらしい」


「早くね?まだ召喚されて時間経って無いでしょ?」


「確かにハクア殿の言う通りですね。王都が勇者召喚したのはカリグの後ですし」


「あぁ、だから一応は修業を兼ねて、いろいろな地域を渡り歩いて、レベルを上げてから行くらしいんだが」


「何か問題あるの?」


「エレオノの言う通り、問題があるようにはあんまり思わないかな」


「問題は、だな。その勇者達に協力をしない国は魔族の協力者として断罪するって触れを出してる事だ」


「「「はっ?」」」


 ライアスの語る言葉に全員の声が重なり、この話が録でも無い物になりそうな気配しかしなかった。


 だから権力者は嫌いだ。



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