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ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

「何やってんだ嬢ちゃん達?」

 後1秒!


「ハアァァァァア!」


 私は傷付きながらもグロスの攻撃の全てをギリギリで掻い潜り、鬼崩剣をグロスの心臓目掛けて全力で放った。


 ガキィン!


「ほう、驚いたぞ中々の攻撃だ。ハクア」


 な・・んで、なんで、何で、何で、何で、何で、何で、何で、何で、何で、何で!


「何であんたがここに居る!ガダル!!」


 今、確かに私達の間にこいつは居なかった筈、いや、確実に居なかった!それに私はずっと警戒していた!戦いながらも常に行動はチェックしていたし、この状況を作り出し確実に仕留められる様にコイツらも距離を開ける様にグロスを誘導した。だからこそ私が【鬼気】を発動してグロスに近付き【閃刃】を避けた段階では30メートルは離れてたのを確認して攻撃に移った。それなのに何で!


 私はガダルに残った片腕を捕まれ宙に吊るされ【鬼気】の発動で力が抜けて行くのを感じながらも、ガダルの不自然な現れ方に付いて考えていた。


「ふっ、どんなに考えた所で無駄だ。何も特別な事はしていないんだからな」


「じゃあ!」


「ただ移動しただけだぞ?」


 なっ!そんな訳。


「信じられないと言った顔だな?」


 私はその言葉を信じる事が出来ず【鑑定士】のスキルでステータスを確認する。


【鑑定士】スキル失敗
 ガダル
 レベル:50
 HP:7000/7000
 MP:3000/3000
 物攻:1200
 物防:1000
 魔攻:1050
 魔防:1150
 敏捷:1400
 知恵:1000
 器用:800
 運 :200


 ハハッ、何・・・・コレ。


 私は鑑定の結果に思わず笑ってしまう。


 こりゃ、勝てんわ・・・・・。


「どうした?あぁ、鑑定のスキルでも使ったか?」


 性格悪いなこいつ。どうせそれも分かってる癖にわざわざ聞くとか。


「嬢ちゃ・・」


「来るな!」


「何言ってやがる今更・・」


「勝てないよ。グロスにすら苦戦してた私達じゃね」


「ん?あぁ、そこの人間共少し這いつくばっていろ」


 ズズン!


 ガダルがそう言った瞬間、周囲に居た全ての冒険者が地面に這いつくばって動くことが出来なくなる。


 コレは重力か?


「さて、ハクアもう諦めるのか?」


「ちょっと作戦練りたいから五年位、時間くれないかな?」


「流石に長すぎだと思うが」


「オイおいオイ!ガダル様ヨォ!何を勝手に割って入ってンだァ!コレは俺の戦いの筈だろォがヨォ!」


「お前にはまだ仕事が在る。死なれるのは困るのでな」


「くっ!ちっ!」


「ねえ?敏捷1400有れば、30メートル近く離れてても一瞬で移動できるの?」


「あぁ、移動スキルも使えばお前のレベルでは目でも追えない移動が出来るぞ」


「そっか」


「あんた、ガダル様に何て口の聞き方してんのよ!」


 そう言われ声の方を向くと知らない女の子がアリシア達を地面に置きそんな事を言っている。


「誰?」


「あんだぁ?カーチスカ人形壊されたのかよ!」


「うるさいわよ!あんたこそ瀕死も良い所じゃない!」


「ちっ!」


「ねえ?私の仲間殺して無いよね?」


「へぇ、殺したって言ったら?」


「・・・殺す」


「ふふっ、コワーイ、大丈夫よ殺して無いわ」


「・・・・そう、なら良い」


「うっ、ごしゅ・・・じん・・さ・・ま?ご主人様!」


「ほら起きた」


 カーチスカの言葉の通り、エレオノ、コロも目を覚ます。しかし何故かアクアだけは目を覚まさない。


 まさか・・・・!?


「そこの子は・・・本気で寝てるわね?」


 ・・・・アクアさんが大物過ぎる件!!


「どうすんだ?」


 聞くなよ!考えろよ!


「・・・寝かせといてあげて下さい」


「あなた達、ご主人様をどうするつもりですか!」


 お!良いぞアリシア真面目な空気に戻ってきた。


『シルフィン:一気に場の空気を戻すとは女優ですね』


 今回だけは禿同だよ!てか、私変わらずピンチ何だよね?!アクアのお陰で忘れそうだったわ。


『約全員:そんな馬鹿な!』


 すいません。マジです。


「どうするつもり・・・か、そうだな。なら質問にでも答えて貰おうか?お前達は何故魔族やモンスターを殺す?私の満足の行く答えを示せば助けてやろう。そうだな、この場の全員に答える権利をやろう」


 何その貴族の遊び!?正解何て無いじゃん!


「ふざけんな!お前らが俺達人間を殺そうとするから俺達は戦って・・・・」


「つまらん答えだ」


 ボヒュ!「ぎゃあァァア!」


 ガダルの質問に反応して一人の冒険者が答える。しかし、その答えでは満足しなかったのか、ガダルが放つ魔法に胸を撃ち抜かれ答えた冒険者の男は絶命してしまう。


 コレ、ハードル高いな~。


「さて、お前は何と答える」


 そう言って私を見るガダル。


「ご主人様!」「ハクア!」「ハクア」「おねちゃん?」


 あっ、アクアが起きてる。


 仲間の言葉を聞きながら私はガダルの質問を考える。


 アリシアや仲間の皆に死なないでくれと言われた。


 お金の為。


 平和の為。


 誰かを助ける為。


 仲間を死なせない為。


 襲われるからその前に倒す。


 理由なら幾らでも思い浮かぶ。


 ・・・当然か奴等は敵で仲間でも何でも無い上に人間を、他の種族を殺して当然と考えている。でも、まぁ、強いていうならあれだよね?


「私があんたを気に入らないからだよ!」


 そう言って、吊るされたままガダルの顔に左の足で蹴りを放つが簡単に防がれる。


 クソッ!やっぱダメか。


「ほう、大した理由だな。随分と自分勝手な物だ。仲間の為、誰かの為と言わないのか?」


 言った所で殺すだけの癖に。


「私は・・・誰かを殺すのに他の何かを言い訳にする気は無いよ。殺される方にとっては、どんな高尚な理由だって自分勝手で理不尽な物だしね?誰かの為に死んでくれ何て言われて納得何て出来やしないだろ?だから私があんた達を倒す理由は・・・あんたが気に入らないからだよ!目の前でグロい人死にを見せられて、そのまま私や私の仲間を襲って来る。そんなお前らが気に要らない!だから今回はあんた等が私の敵になった。それだけの事だよ」


「クッハハハハ!良い答えだ」


 ガダルがそう言うと今まで感じていたプレッシャーが消える。


 あれ?もしかして今まで王手掛かってた?つか、こんなのを気に入ったの?


「もしもお前が誰かの為に等と言っていたら殺していた所だ」


「あれ?答えはお気に召したの?」


「あぁ、凡百の人間共の在り来りな答えより余程良い」


 掴んでいた腕を放しながら私にそう語るガダル。


「意外そうな顔だな?」


「本当に助けるつもりが有るとは思って無かったからね」


 そう、驚く事にガダルは私の腕を放すと同時に周囲の冒険者やアリシア達も本当に解放していた。


「オイおい、ガダル様!まさか、コレで終わりじゃネェだロォな!」


「ガダル様、グロスの意見に賛同するのは不愉快ですが、その通りです。コレはいつか我らの障害になります。その前に殺すべきです!」


「黙れ、私が決めた事に何か文句が有るのか?」


 うわっ、凄い威圧感!


「も、申し訳ありません」


 するとその時、ガダルから解放され全員の視線がガダルに向いた一瞬の間に一人の冒険者が魔法をガダルに向かって放つ。


 ドガァア!


「痛っつぅ!」


「ご主人様!」


 私は敢えてその魔法を自分の体で受ける。


 理由?そんなん、ここで敵対行動取れば全員死ぬからだよ!私を殺す事も出来ない威力じゃ、ただ怒りを買うだけだっつうの!


「このガキ!よくも千載一遇のチャンスを・・」


 ボヒュ!「ひっ、いぎぁぁぁあぃあ!」


「サービスだ。命だけは取らずにおいてやる」


 魔法攻撃をした冒険者はガダルに両足を消し去られ、血を流しながらのたうち回る。


 自業自得。


「ハクア、我が主のウィルド様はフリスク地方を魔族の物にする」


 いや、そんなん私に言うなよ!


「何だと・・・」「オイ、マジかよ」「嘘だろ」


「3ヶ月、3ヶ月はこの二人にお前達への干渉しに行く許可を出さん。それまでに強くなる事だな」


「それをして、あんたに何の得が有るの?」


「ただの余興だ。ゲームとはそう言う物にだろう」


「マジかよ!ガダル様ヨォ!それまでお預けかよォ!」


「あぁ、そうだ。お前もだカーチスカ」


「・・・・・はい」


「用はすんだ。行くぞ」


 そう言ってガダル達三人の姿が消える。


「助かったのか?」


「一応?まぁ期限付きだけどね」


 はぁ、助かったと言うより見逃されただけ、もっと言えば滑稽に足掻く様を見たいってだけだから、後味悪いしすっきりしないけどね。でも、何とか生き残った。


 私はガダル達が消えた位置を見詰め、この世界に来て初めての敗北に何とも言えない気持ちを抱きながらも皆と生きて居られる事に安堵した。


 〈マスター危ないですよ?〉


 ヘルさん無事だったんだ!良かった、声がしないから心配したよ!てか、えっ?危ない?そして、私は振り返り。


「ご主人様!」「ハクア!」「ハクア」「おねちゃん」


 私がライアスと話して居ると皆が駆け寄ってくる。そして、全員に思いきり抱き締められ・・・・・。


「痛ったぁぁぁあ!」


「「「「あっ!」」」」


 私は傷だらけの体を思いきり抱き締められ悲鳴をあげて意識を失うのだった。


 PS、皆非常に柔らかかったです。我が人生に一片の悔い無し!ガクッ。


「何やってんだ嬢ちゃん達?」


 ライアスの呆れた声がハクア達以外の全員の気持ちを代弁していた。



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