ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からの成り上がり~

リーズン

どんな人生を歩くかはコロナが決めるべき

「コロナの為?」


 私はコロの父親の言葉におうむ返しで問い掛ける。


「そうだ、コロナはワシの娘では無いんだ」


「!!」


 えっ!あれ!真面目な展開なの?可愛い娘を何処にもやりたく無いみたいなんじゃないの?!


〈流石にそれは無いかと〉


「勿論コロナはこの事は知らんがな」


「それと依頼の破棄がどう繋がる?」


「慌てるな。コロナはワシの兄の子供でな義姉はエルフで美しい女性だった」


 うわ、語りだしたし。


「コロの両親は?」


「お前の想像通りだもうコロが赤子の頃に死んでいる」


「そう」


 本当に最悪な程、想像通りだね。


「何が有ったの?」


「兄夫婦はこの村に住んで居たんだが、鉱山に採掘しに行ってそのまま・・な、それでまだ赤子だったコロナをワシが預かったんだ」


 ここまでに依頼を破棄させたい理由は無いな。


「ワシも鍛冶しか知らんでな、コロナが子供の頃はワシの息子どもと同じ様に鍛冶を教えていたんだが・・・。一年前そろそろコロナにも剣を作らせてみても良いかと思って、ワシが教えながら剣を作らせてみたんだが、コロナの才能はワシが思っていた以上だった。コロナが初めて作って見せたのは魔剣だったんだ」


 魔剣確かに凄いけどなにか問題なの?


〈この世界で魔剣と言えば秘宝級に当たります。彼女程の若さで初めて打った物が魔剣と知れれば、下手をしたら命を狙われるか一生を国の為に利用される可能性もあります〉


 なるほどね。


「依頼の破棄はコロナを守る為?」


「あぁ、だがそれだけじゃない。ワシの妻は同じドワーフでな良くできた妻で、コロナの事も自分の娘のように扱ってくれる。それは息子達もそうなんだが、ワシら夫婦には魔法の適正が余り無いんだ。ワシの作る武器がダンジョン級や秘宝級と呼ばれているのも、魔剣を打てるからでは無く付与枠が他に比べて多いからなんだ」


 付与枠って?


〈この世界のアイテムの等級は前に教えましたよね〉


 うん。


〈通常の武器はそこかしこにある鉄など特別な物を使わない物を指し、大体1~50位の武器です。次に魔法級の物は魔法を付与されている武器を指し、魔法素材で作られた物を言います。ここに分類される物は効果の高くない魔法がほとんどです。これは大体50~200位の武器です。製作級は鍛冶師が作った一点物の事を指し、特別な素材は使いませんが優れた物を指し、大体50~300位の威力の武器です。ダンジョン級はダンジョン内で手に入れる事が出来るレベルの物を指し、このレベルになると付与が出来るスキルやクラスにあれば、素材を使い武器等に追加の効果等を付与する事が出来ます。大体200~500位の威力の武器です〉


 あのそろそろ覚えきれないんですけど!


〈ゲームの取り扱い説明書だと思って下さい〉


 なるほど!って無理変わらない!


〈続けて行きます〉


 スルーが華麗過ぎる!


〈秘宝級は更にその上で、相当数の付与や高威力の魔法を封じ込め使う事が出来ます。そして人が作れる限界の等級がここと言われています。幻級の特別な素材を使い、高い魔力を持った才能溢れる物がようやく作れるもので、コロナの父親の場合は魔力は無くとも鍛冶師としての才能で、最高級の素材を使い付与数の多い物を作れたのでしょう。大体500~1000位の武器です。因みに幻想級の武器は女神や神、邪神等が与えたり、それに匹敵する力を持ったドラゴンや、魔神等が持っていた物に力が宿ったりした物の事を指し、1000以上の武器です〉


 なるほどね。強い物ほど攻撃力と付与枠が多い物が多いんだね?と言うことはコロってかなり凄い?


〈凄いですね〉


「そんな訳で、コロナに流れているエルフの血が魔剣を作る下地になっているとコロナには知られなく無いんだ」


 詰りコロナと自分達に血の繋がりが無いとバレたくない。と、そう言う訳か?


「それはコロナの為?それとも自分達の為?」


「コロナの為に決まって要るだろうが!」


「コロナを悲しませたく無い。それは分かるけど、それはコロナの為になるの?」


「この、分かった口を!」


「あんたは本当のコロナの親だよ」


「っ!!」


「だからこそコロナを悲しませたく無いのは分かる。でもさ、コロナの人生を決めるのはコロナ自身だと思うよ。生きやすい様に、悲しまない様に、邪魔になる物を取り除くのも良いけど、どんな人生を歩くかはコロナが決めるべきだと私は思うな。それに、コロナならあんた達家族の気持ちはちゃんと分かってくれると思うよ?もし本当の事を知って悲しむ事になっても、あんた達家族が居るんだからさ。その時は支えてあげれば良い。だって家族何だからさ?」


 疲れた!超頑張った!しかもキャラじゃない事言い過ぎて何か体が痒いんですけど!シリアス終わりもう持たないです。


〈ここまで来たら最後まで続けて下さい〉


「そんな事は!お前なんぞに言われなくても!クソっ!!」


「とりあえず話は終わり。明日朝にもう一度来てその時どうするか決めて、少なくとも私達はコロの依頼を受ける」


「くっ、分かった」


 そう言い残しコロ父は帰って行った。


 あぁ、超疲れた~とりあえず私も帰ろう。


 久々の長文に精神力を消耗しきった私は、早く帰って休む為にコロの家に帰って行った。


「ご主人様大丈夫でしたか!」


「う、うん」


「アリシア勢い良すぎハクア驚いてるよ」


「あっ、す、すいません。それで話はどうなったんですか?」


「その前にコロは?」


「コロさんなら今さっき夕飯の買い出しに行きました」


「そうなの?」


「私達も手伝うって言ったんだけどお客さんだからって言われちゃった」


「そっか」


「おねちゃん話は?」


「うん、その事なんだけど」


 私はさっきコロ父と話して来た事を全て皆に話した。


「そうだったんですか」


「コロが本当の子供じゃないって事も驚いたけど、コロが私達に嘘を付いてたなんて全然気が付かなかった」


「おねちゃん凄い」
 

 ん~、こうやって賞賛されると照れるな。


「それでどうするんですか?」


「どうもしないよ。とりあえず明日、コロ父がどう答えを出して、コロがどうするかによる」


「まぁ、確かにそうだね」


 まぁ、それに気になる事もまだ有るしね!でもまさかだよね?そんな事は無いと信じたいんだけどな~。


「ただいま!あっ、ハクアおかえりかな、えっとおとうさんとの話はどうなったのかな?」


「一応帰ったけどまた明日話しに来るって」


「ごめんかなハクア」


「気にしてないよ」


「そっか、よしじゃあご飯にしようかな、ボクが腕によりをかけて作るかな」


「それは私も手伝わせて下さい!」


「う、うん、わ、分かったかな?」


 コロはアリシアの勢いに押され二人で料理を作り始めた。


「私達は大人しく待ってるだけか~」


「そうでもないよ」


「えっ、どう言う事ハクア?」


「因みにさ、エレオノって武技を使う時使う武技の名前口に出してたよね?」


「ハクアは武技無いから解らないかもだけど、それって当たり前だよ?アリシアの【無詠唱】みたいに武技は【言霧】ってスキルがいるんだよ」


「【言霧】?」


「そう、言葉を発しないのに発動させる高等技術のスキルだよ!Bランク以上の冒険者の秘匿技術って言われてる位だし」


 へぇー、そんな名前何だ?


「でも要は【無詠唱】の武技版だよね」


「それは・・そうだけど・・」


「なら上手く行けばエレオノも出来るようになるかもよ?」


「えっ!本当に!」


「うん、私の推測が当たっていれば、その内スキルも覚えて楽に発動できる様になるかも」


「教えてハクア!どうすれば良いの?」


 と、エレオノに問い詰められていると。


「どうしたんですかエレオノ」


「あっ、アリシアっと、ごめんハクア興奮し過ぎた」


「えっ、興奮って何ですかご主人様」


 アリシアさん意味が違うと思います。


「皆ご飯が出来たよ早く食べようかな」


 良いタイミングで来たコロに感謝しつつ食事を始める。そしてその間にエレオノに話していた事を皆にも話す。


 これで上手く行けば全員の戦力upだね。

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