ABNORMAL WORLD 《Divine use》

シュララP

Episode5《Lead the world to ruin》

血に染まったかのような赤い肌、黄金に輝く2本のツノ、
まさに日本の昔話に出る鬼のような見た目だった。

ベータは怯えた表情を見せた
「どう見ても鬼だよね…」

オーガが口を開く
「亜人か…お前は……」

ベータはたてに大きく首を振った

僕は腕を組みからかうかのように座った。
「鬼って喋れるんだな、そもそも魔物って自我があるんだ…」

「小僧は黙っていろ…何もせぬなら手は出さん、
今すぐここを去るのだ」

「彼女はあんたの姿に恐怖しているんだ…
会話が成立するとは思えませんが?
僕でよければ話を聞きますよ?」

「…そうだな、ではそこの小娘の代わりに
少しばかり話を聞いてもらおうか」

「どうぞ話してください」

「私はそこらのオーガとは違う…知的生物を食わぬようにしているのだが、ここの村の冒険者はこの私に敵対行動をとるのだ…」

「なるほど」

「たしかに私も昔までは他のオーガと同様に人を喰っていた…
だが仲間を失って命の尊さに気づいたのだ…」

「ん?もしかして失った仲間って青鬼のこと?
(今一瞬泣いた赤鬼っていう昔話を思い出した)」

「青鬼?たしかに青のオーガだったが何故そのことを?」

「いやいや、ただのカンだから気にしないで」

「そうか?ならば話を続けるが……うぐぉ!?」

急に現れた誰かが鬼の首あたりを刺した。

「おやおや?誰かな?呑気に魔物と会話をしているバカは」

鬼の巨体が横に倒れる

「今の一瞬で急所を!?
僕ほどではないだろうが…こいつたぶん強い!」

「ハハッ!魔物なんかと取引するバカより僕の方が弱いだと?ふざけてんのかてめー」

「まぁ…こういう人がいる事は予測はつくけど…」

「てめーさ、バッチ付けてねーよな…冒険者じゃねぇのか?」

「これからなるつもりだよ…僕はエディ・アルファ」

「フン、てめぇに名乗る名など無い!と言いたいところだが今は名声が欲しい…キュエル=フロムス=オスカーだ
いっちょファイトしてみるか?」

「僕は一向にかまいませんけど…
僕が本気を出せばあなた死にますよ?」

「冗談のつもりで言ったんだが…そりゃ本気の目だな
やろうぜ?【劫火バーニング】!!」

「随分と腕に自信があるご様子で…僕には火は効きませんよ【魔術解析Lv.MAX】っと」

僕はわざと攻撃を受けた。

もちろん無傷である。



名前:キュエル=フロムス=オスカー 17歳【Lv.87】
種族:ヒューム
身長:168
体重:48
出身:ニグリクス帝国
職業:槍戦士Lv.41 魔術師Lv.23
筋力:157
魔力:165
持久力:183
魔抗力:139
敏捷性:174

武器:
ヘルスピア

装備:
白いローブ
黒いシャツ
金の腰巻
龍の籠手
ペガサスの足

武技:
【突刺Lv.5】【串刺Lv.4】【乱突Lv.4】
【燕返Lv.4】【投擲槍Lv.2】【二重針Lv.2】

魔法:
【火球(ファイアボール)Lv.3】
【劫火(バーニング)Lv.3】
【光線(レーザー)Lv.2】
【雷電(サンダー)Lv.2】
【落雷(ライトニング)Lv.3】
【氷柱(アイシクル)Lv.2】
【吹雪(ブリザード)Lv.1】
【投石(スロウストーン)Lv.3】
【落石(フォーリングロック)Lv.1】

ジョブスキル:
【鋭利Lv.5】【槍突Lv.4】【安定感Lv.4】
【槍戦士Lv.3】【柔軟性Lv.2】【弾好者Lv.2】
【魔術Lv.3】

パッシブスキル:
【体力上昇Lv.4】【攻撃上昇Lv.3】
【防御上昇Lv.3】【魔力上昇Lv.3】
【魔抗上昇Lv.3】【移動速度Lv.3】
【瞬速回避Lv.3】【火炎耐性Lv.1】


うん…強い……他の人と比べればね

敵の猛攻が襲うがパッシブスキル【瞬速回避Lv.MAX】のせいで無意識にかわしている。

「どうしたよ!さっきから回避だけかよ!てめぇからは魔力のひとつも感じねぇ!舐めてんだなオラァ!槍技【突刺】!」

〜【物理無効Lv.MAX】〜
Lv.8以下または初級と中級武技の物理攻撃を完全無効化。

瞬速回避が作動しなかった!どうして?聞いてみるかな。

「今の攻撃は良かったですよ、どうやって当てたんですか?」

「実力差じゃねーのかよ…
はよ降参した方が身のためだと思うぜ?」

「降参した所であなたは攻撃をやめないと思うのですが」

「まぁな、報酬はソロの方が多いからな」

内心もうちょっと戦いたいけどこれ以上長引いても後処理が大変なだけか……
「面倒なのであなたの持ついちばん強い攻撃を僕に当ててみてください」

「残念ながら俺は手数で戦うタイプだ…ご希望には添えられん」

「じゃあもういいです【重圧プレスLv.MAX】」

大きな魔法陣が展開された。

〜【重圧プレスLv.MAX】〜
12分間対象の行動速度を9割削ぎ落とす。

「ぐぅおあ!?無詠唱か!クソ身体が動かん!」

なにか力加減できるスキルないかな?

〜【手加減Lv.MAX】〜
ダメージ量を調節できるジョブスキル。

ジョブスキルってことは普通に攻撃しても大丈夫かな。

ガツン!

何も入っていないような音が辺りに響く。

「多分これで君の体力は1だね…それじゃあ僕はその組合ってとこで冒険者になってくるよ」

「まだ終わってねぇぞ!固有技術ユニークスキル体力交換リバースライフ】!」

なんだろう?この力の抜けた感じは…何かやばい!

第三の名持ちサードネーム固有技術ユニークスキル体力交換リバースライフ】だ、互いの体力を入れ替えたんだよ…しかしすげぇ体力だなてめー…全回復しちまったぞ…」

「それで、形勢逆転のつもりですか?」

「それ以外になんだって言うんだよ、
てめぇは体力が残り1だ…絶望はしないのか」

たしかに体力が1というのはまずい…そもそも回復したところで無限という数字に戻るのかな?

〜【自己修復Lv.MAX】〜
毎秒ごとに最大体力の5%を回復する。

20秒で全回か…何だこのぶっ壊れスキル

ていうかそもそも無限の5%って無限じゃん何言ってんだ僕。

(※本人は気づいていませんがこの世界の生物の体力は総合レベルの2倍値で固定されています)

サードネームのユニークスキルってなんだろう…
そのへん何も聞かされてないぞ?

神さんは…留守かな?

「お前には第三の名サードネームが無ェのに
俺様に勝てるはずねぇんだよ!【落雷ライトニングLv.3】」

やれやれ、こいつプライド高すぎるよ…

〜【電流耐性Lv.MAX】〜
雷属性ダメージを完全に無効化する。

「残念でしたね、この程度の攻撃僕には何も感じません」

「なんだと!?てめぇ俺をどうするつもりだ!」

「何もしないよ…」

(拘束魔法って無いのかな?)

〜該当なし〜

(でしょうね…アニメや漫画なら都合よくあるはずなのに…)

僕は倒れた鬼のそばに寄り、かおの近くであぐらをかいた。

「もしもし赤鬼さん、生きてますか?」

鬼は目を開いた。

「恥ずかしいところを見せてしまったな…」

「気にしないで、ミスをしない完全な生命体なんているはずないんだから…(神さんですら…ね)」

ベータは鬼の表情をうかがいながら恐る恐る歩み寄る…

「ねぇエディ…キュエルって言ったっけ?彼はどうするの?」

「そうだね、とりあえず冒険者について聞いてきてよ」

「わかった」

ベータはすぐさま硬直したキュエルの元に移動し、話を始めた。

「さてと、水をさしてすみません【大回復Lv.MAX】どうぞ」

「それは上位回復魔法…この私のためにかたじけない…」

「いいって、そんな事よりさっきの話の続きをしてください」


赤鬼さんがいうところによると、
彼が率いる魔物達には食糧難の危機が迫っているようで、この村を襲わざるおえなかったと言う…

ベータの力を見た鬼さんは、是非とも仲間に迎え入れようとしていた訳だ。


「事情はわかりますが、彼女をあなたには譲れません…それと一緒にいた魔物の群れは」

「あれらは別に死んでもいい奴だが、その…亜人だぞ?お前達ニンゲンは獣人と仲が悪いと聞くが…」

「それは…偏見でしかないですね」

「何だと?」

僕はベータの方向に指を指すと、
ベータが走ってエディの所へ戻ってきた。
「エディー!
色々と聞いてきたよ!半分忘れちゃったけど」

忘れたら意味ないだろ…まぁいいや。

ベータはエディに抱きついた。

「とまぁこんな風に、あなたが人を食べない鬼のように例外だって存在するんですよ」

「そういえば私だってそうであったな…」

すると盗賊の皆が戻ってきた。

アーロンが疲れた声で
「エディの旦那〜!こっちは片付きやしたぜ〜」

「ご苦労さん…ってボロボロじゃん…結構手こずった?」

エルが
「俺達は無事だがそのオーガは?」

「安心してください、僕が話を付けました」

鬼は正座をして畏まる。
「それでエディ殿…私は何をすれば?」

「君はもう帰っていいよ…と言いたいところだけどそっちの食糧難の解決をしないと意味無いか…」

僕は首を傾げる…

「あ、そうだ鬼さんの仲間たちってどこに住んでいるんですか?」

「私の家来達はあちら側にあるの川の上流あたりにある森の奥地でゴブリンの群れと共同生活しております」

「ゴブリンって…そいつらは人に害を及ぼしますか?」

「私の監視下にいる限りそのような心配はない」

となると、食糧難は本格的にやばそうだ…

食料は魔法でどうこうできる問題では無い…

僕の農民スキルはMAXだと思うけど毎日森の奥まで行くのも辛い…

さてどうする…

すると、視界にゴーレムの死骸が目に入った。

「これだ!ゴーレムだ!」

鬼はキョトンとし
「ゴーレム…?」

「あぁ、ゴーレムを使って畑仕事をさせるんだよ」

「しかし、ゴーレムを動かすには学習させる必要がある…それには腕利きの農家の人が必要です!」

「大丈夫ですよ、こう見えても僕…農民Lv.MAXですから」



その後…鬼はゴブリンの集落にエディを案内し、
魔物創造系の魔法が無かったので代わりに【動死体Lv.MAX】のスキルでアンデッドを作り、そいつらに【教育Lv.MAX】で【伝説農民Lv.MAX】を覚えさせ、集落で働かせた。

〜【動死体Lv.MAX】〜
世界級のフルアーマーアンデッドを召喚する。

〜【教育Lv.MAX】〜
スキルを覚えさせることが出来る。

〜【伝説農民Lv.MAX】〜
全ての農業の技術が上達する。



「おぉ戻ってきたかエディ、腹減ったぞ」

【空間扉】で村に戻ると盗賊のみんなが待っていた。

「そういや朝ごはんまだでしたか」

ベータもお腹を空かせているようだ。

「エディお腹空いたー」

あれ?疲労無効化スキルベータに無かったっけ?

夜もあんなに元気だったのに…

あ、猫って夜行性だったか。

待てよ〜思い出せ僕!

〜【記憶Lv.MAX】〜
今まで起きた事を明確に記憶することが出来る。

ナイススキル!えっとどれどれ?

昨日の夜見たベータのステータスバーが頭の中に現れた。

(※episode8の前にベータのステータスを公開します)

「無い!」

「どうしたの?エディ」

「いやなんでもない!」

テイカさんが
「疲れているのか?もう昼を過ぎているぞ、どこで飯にするつもりだ?」

うん…昨日の夜のせいでセリフの違和感が尋常じゃない…

「そうだね、とりあえず何か食べよう…ファストフード店無いかな」

エルは腕を組み、
「俺は食えたらどこでもいい」

ベータは
「エディが作ってよ!」
と言い出した。

「はぁ!?今から料理するには結構時間かかるぞ?」

「そうじゃないよ、レストランの厨房を借りてだよ」

ヨーノルドさんが
「厨房を借りられる店なら知っている…ですがそこの素材といい道具といいどれも安物ですぞ」

「充分です、僕のスキルを試してみたいので是非教えてください」




ヨーノルドは仰せのままにエディ達を店へ案内した。

「結構古い家ですね」

「あぁ、今もやっているのが不思議に思う」

すると奥からコック姿の中年男性が現れた。

「いらっしゃいませ、お好きなテーブルへどうぞ」

なんだ、まともな店員じゃないか

「あの、この店の厨房は借りられると聞いたのですが」

「えぇできますよ、ただし料金が発生しますが」

「当たり前です、おいくらで?」

「3ゴールドです(300円)」

「安すぎませんか?今細かいの無いので1アダムお釣りなしでお願いします」

「あああ、アダマンタイトおおおおおおおお!?」

「どうかしました?」(と、とぼけてみたり)

相変わらず驚いた顔を見せる盗賊たち。

「さて、料理しますか…冷蔵庫開けますよ?」

「どうぞどうぞなんでもお使いください」

アーロンが机に足をのせ、
「エディ、なるべく早くしてくれよ〜!」

「わかったから足おろしてください」

えっと、料理人スキルは?


〜【調理師Lv.MAX】〜
美味しく美しくかつ手早に料理が出来る。

〜【焼加減Lv.MAX】〜
焼き加減等の絶妙なタイミングを逃さない。

〜【菓子職人Lv.MAX】〜
心をわしづかみにするおやつを作れる。

〜【包丁捌Lv.MAX】〜
様々な調理器具の扱いが上達する。

〜【伝説料理人Lv.MAX】〜
あらゆる料理でのあらゆる能力が上達する。



へぇ、頭の中にレシピが浮かんでくるんだ…

「ランチタイムだから、パスタかうどんにしようかな…ラーメンかチャーハンもいいな…」

すると周りがスローモーションになり、頭に浮かぶ料理を作っていく…

「完成!」

「「「ハヤッ!?」」」

コックのおじさんは
「あんな短時間で、こんな量を……あんた一体…(しかし、ここにある素材はどれも期限が…)」

アーロンが
「うめぇ!うめぇぞエディ!」

ヨーノルドさんも
「信じられん!あんな材料でどうやって…」

「デザートも作っておきました」

「「「早いって!」」」

ベータは目を輝かせ
「エディすごーい!このプリンアラモードおいしー!」

ハルが
「これプリンアラモードっつーのか、聞いたことはあるが実際見たことねぇな」

神さんが作った世界だ、この世界の人が知っていてもおかしくないか…

「食べながらでいい、皆に伝えたいことがある」

ワルディ以外みんなの手が止まった。

「僕は今から冒険者ギルドに向かう」

エルは机を叩き
「つまり冒険者になると言うことか?…正気か」

ヨーノルドさんも
「やめた方が良いですよエディさん…組合はろくなもんじゃない」

「そんなに危険なものなんですか?」

アーロンが
「危険と言うより、冒険者は王と契約を結んでするもんだからよ…つまり命令には逆らえなくなるんだぞ」

「ふぅん、それは魔術的ななにかでですか?」

エルは
「そう…かもしれんな」

アーロンが
「簡単に言えば奴隷魔術みたいなもんッスよ、誰かの言いなりになるとか、俺だったら死んだ方がマシだな」

ベータは
「でも冒険者って結構いるんでしょ?」

ヨーノルドは
「確かに多いが、殆ど受刑者とか無職かそこらの類ですぞ」

アーロンが
「受刑者は冒険者って言わねーだろ徴兵者だろ」

エルは
「よく知ってるなアーロン…さすがは赤髪の英雄の元弟子だな」

アーロンが
「まぁあの方が冒険者だったからな」

「その…王ってどんな人ですか?」

ベータは
「キュエルって人から聞いたけどこの世界の中心人物の事だよ、地方関係なく冒険者達をまとめる…強いて言うなら指揮官的存在だね、悪い人では無いって聞いたよ」

「そっか、」

エルは
「俺はアンタが冒険者になるというなら村で盗賊を続けるつもりだ」

テイカさんが反応し、口を開く
「それはどういう意味?自ら危険な道を歩むと?」

アーロンが
「オイオイ、やめとけよ…なぁ、ハルも言ってやれよ」

ハルは
「残念ながら俺もエルと同意見だ」

アーロンが
「ンなんでだよッ!!」

エルは
「呆れた奴だ…捕まって徴兵者にされた仲間を思い出せ、俺達が会えばアイツはもう助からないんだぞ!」

アーロンが沈黙する…

「仲間?以前にはもっといたんですか?」

アーロンは俯き、
「あぁ…本当に良い奴だったんだが…」

ヨーノルドさんが
「アーロン…あれはお前のせいではない」

アーロンが
「だとしてもよ、俺はアイツを救うことが出来たんだよ…」

するとテイカは後ろでエディに向かってハンドシグナルを始めた。

僕には手話がわからないので

【意思疎通Lv.MAX】発動

“あなたが聞く話じゃない、失った仲間って言うのは私の事…
最初から話せば長くなるわ、また今度話しましょう”

この流れ知ってる気がする…

ワルディが食べながら
「なっちまえばいいんじゃねーか?…むぐむぐ…エディつえーしよぉ、金もあるなら失敗しても別に問題ねえだろうよゴクゴク」

「そうなんですが…ワルディさんはついてきますか?」

ワルディは箸を置き
「いいや、俺はこの村に残るぜ…この村はおれの出身地だ…そう簡単に離れられねぇよ」

ベータは
「急にマジトーンになった」

アーロンは
「コイツ頭いいのか悪いのかわかんねーんだよな…」

バカと天才は紙一重とはよく言ったもんだ…




時は少し遡り…ニュクス達は時計塔の地下に集まり、
作戦会議をしていた。

「なぁニュクス…レベル50越えの中級魔物を相手に、アイツがかなうと思うか?」

「冒険者の力も必要になってくるかもしれん…動くぞ、
ビル、お前はテレパシーで組合にいる腕利きの連中に声をかけておいてやれ」

「承知致しました」

「ジーナ、お前は時計塔に登って外壁の様子を見ていろ、お前の獣術スキルは役に立つはずだ」

「了解、行ってくる」
ジーナは階段をのぼり、手すりをジャングルジムをのぼるかのように滑らかに屋上へ向かった。

「ビル、俺とジーナとお前で【伝言】をあらかじめ繋げておけ」

「既に繋いでおります」

「絶対に切るんじゃねぇぞ…俺はアイツに会ってくる」

「では私は地下への侵入による証拠を消しておきます」

「あぁ頼んだ」

ニュクスはヨーノルドと親しい宿屋を知っていたので、そこにまっすぐ向かった。

裏口に到着したニュクスは、そこで立ち止まった…

もし敵襲は嘘で何事も無かったら?

俺は盗賊としての存在意義を失う…

いや、そもそもアイツと出会ったところで既に失ってんだな…

畜生!完全に負けだ!あの舐めプ野郎…

ニュクスは激怒した。
そこで脳内に特殊な【伝言】が繋がる…

ピロピロ…

「まぁまぁ落ち着きなよニュクスくん」

「…っ!?ビルじゃねぇな…誰だ!」

「ん〜そうだな…俺はこの世界の創造主であり、君らの言うところの神だ」

「ハッ!神様が俺に何の用だ、この世の中を不平等にして…絶望している人を見たいだけかよ?」

「ちげーよ」

「力のない惨めな俺を慰めに来たのか?」

「ちげーって」

「出来の悪い俺に対し、お説教をしに来たのか?」

「話聞けよ!うるせーなおめー!」

「…なんか神様っぽくねぇよなぁ、ほんとに神なのか?」

「ブフォ(笑)そのセリフわざと言ってんのかやめてくれわらかすな(爆笑)」

「………」

「あ、そうだった…実は俺さ、おめーのこと生まれた時からずっと見てきたんだよ」

「神様が俺を?感激だな」

「さすがに壮絶な人生だったもんだから……いや、そういやお前、人じゃなかったな…」

「は?俺は人だぞ…」

「まぁそうなるわな…真実を言うと、お前に親はいない…魔素による原因不明の現象によって誕生したんだと思うが」

「ふざけんな!んなこと誰が信じるか!」

「嘘じゃねーぞ、なんなら映像も見せてやるよ」

「まじかよ………そんなことが容認できるか!!」

Episode5《Lead the world to ruin》END


あとがき
いそがしい…次回Episode6《Ability examination》

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