たった一つの願いを叶えるために
ジュエルフルーツ
「あ、果物がなってる!」
「あれは、アプルですね。…あれ?アプルとは、少し違和感が…」
遠目に木になる果物を見つける。
どうやら見慣れた果物のようだが、少し違和感があるみたいだ。
その違和感の正体は、近づくとわかった。
「わぁ!ミッシェル、あれピジョンブラッドですよ!」
「すごい綺麗ですね。市場でも滅多に出回らないのですが、まさか自然に実っているところを見られるとは思いませんでした」
「しかもこんなにたくさんなってるなんて聞いたことありません!」
どうやらアプルとは、俺のいた世界のリンゴのことらしい。めっちゃ形が似てるから多分あっていると思う。
〈マスターの世界のリンゴで間違いありませんよ〉
間違ってなかったみたいだ。
「さっき言っていたアプル?と、このピジョンなんとかって違うの?」
「アプルを知らないんですか?テルさん」
「え〜っと、ああ、知らない。押してもらって良いかな?」
「わかりました。アプルとは、この様な形の赤い果物で、一般の家庭でも買える手頃のな値段で販売されてるんです。でもこのピジョンブラッドは、形はアプルと変わりませんが、味はアプルとは比べ物にならないくらい美味しく、その見た目と稀少価値から宝石の名前が付けられているんです」
「へぇ、これが宝石と同じくらいの価値があるなんて考えられないな」
「場合によっては、宝石以上の値段がつくこともあります」
「え、それってどんな時?」
「普通に商業ギルドに売った時は、その時の時価によって変わってくるのですが、オークションに出品するとほとんど確実に高くなります」
「オークションなんてやってるんだ」
「はい、年に2回ほど王都で開催されます」
「どんなのが出品されるんだ?」
「そうですね、主にミスリルの武器や宝石、絵画や彫刻、工芸などの美術品、ヴィンテージもののワイン、魔導書など、様々なものが出品されます」
そう説明してくれたアリスは苦笑しながら、
「ただ最近は、宝石類や出品される品の質の低下などで、貴族のご婦人たちや豪商の方々からの不満の声が上がっているみたいで、商業ギルドも大変みたいです」
「そうなんだ。オークションって誰でも出品できるの?」
「身分が保証されている方なら誰でもできます。何か出品されるのですか?」
「ああ、大量の宝石類の処分に困ってたからちょうど良いなと思ってね」
【深淵の迷宮】で手に入れた宝石が無限収納の中に大量に死蔵されていた。
「それはきっと商業ギルドの方も喜ぶと思いますよ」
「ねぇねぇ、お話し終わった〜?」
「終わった〜?」
「ごめんごめん、お話し終わったよ」
「どうしました?」
「あっちにもいっぱい果物あるんだ〜」
「あるよ〜」
「たくさん種類あるんだ〜」
「…おいしいよ」
精霊たちに連れられて進むと、他のたくさんの種類の果物がなっていた。
イチゴやブドウ、メロンに似た、たくさんの果物がなっていてどれもさっきのアプルと同じ様に、宝石のような見た目をしていた。
「きゃ〜〜!イチゴのレッドダイヤモンドにグレエプのバイオレットサファイア、メルンのデマントイドガーネット、その他にもたくさんのジュエルフルーツがありますよ!」
「……」
まるで宝石の国に来たような、華やかさに圧倒された。
アリスはずっと興奮しっぱなしだし、ミッシェルは声も出ていなかった。
「見ているだけでもすごいけど、食べようか」
「そうですね、完全に食べることを忘れてました」
「お嬢様、私もいただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろん、ここは公の場所じゃないんだからミッシェルも食べよ!」
「では…」
俺はさっきのアプルを、アリスはイチゴ、ミッシェルはグレエプを手にとって一口食べる。
「「「!!!」」」
「おいしい?おいしい?」
「どう?」
「おいしいでしょ〜」
「…(ドキドキ)」
「美味い!」
「でしょでしょ〜」
「いっぱい食べてってね〜」
噛めば噛むほど荷重が溢れ出してきて、それでいて全く水っぽさがない。それに旨みが凝縮した痺れるような甘みに、後味もさすっきりしていて信じられないくらい美味しかった。
「おいしい〜〜〜!」
「お嬢様の護衛をやっていてよかったです」
「確かにそれほどおいしいとは思いますけど、ミッシェルそれはひどいですよ〜」
「あははは」
2人のそんなやりとりに笑いながら、イチゴを手にとってかぶりつく。
うん、これもすごくおいしい。
〈いいな〜、マスター。私も食べたいですよ〉
(仕方ないだろ、スキルなんだから)
〈そんなこと言われましても食べたいものは食べたいんです〜。マスターだけずるい〜〉
ナビの愚痴をスルーしながら俺は、ジュエルフルーツを無限収納に入れていく。
「ああ!ずるいですテルさん、収納魔法使うなんて。いいなぁ〜、収納魔法使えないしアイテムボックスもないからジュエルフルーツをお土産に持っていけないです」
「ならこのアイテムボックスあげるよ」
実は、アイテムボックスの話を聞いたときこっそり作っていた。便利そうなので2人にあげるつもりで作ったが、渡すタイミングが見つからなかった。
無限収納から触り心地のいい布を取り出し、袋の形にする。その袋の中を時空魔法で拡張して中の時間を止める。そして付与魔法で〈譲渡不可〉〈不壊〉〈耐熱〉〈防水〉を付与した。
「え、いやいやもらえないですよ、そんな貴重なもの」
「気にしないで。俺には収納魔法があるし、アイテムボックスも作ろうと思えば作れるしね」
そう言って気づいたが、2人は目を見開いていた。
「どうした?」
「アイテムボックスを作る?そんなことできるんですか、テルさん!」
「すごい方だとは思っていましたが、かなりの規格外のようです」
やべぇ、口が滑った。
〈バカですね〉
(追いうちかけるのやめて)
「ま、まぁそういうことだから気にしないで気軽に使ってくれ」
「そうですね、テルさんですしね」
「ありがたく使わせていただきます」
そうして、3人は自然に影響が出ないように取りすぎに注意して収穫していった。
結局、三時間近くセーフティゾーンにとどまっていた。
「あれは、アプルですね。…あれ?アプルとは、少し違和感が…」
遠目に木になる果物を見つける。
どうやら見慣れた果物のようだが、少し違和感があるみたいだ。
その違和感の正体は、近づくとわかった。
「わぁ!ミッシェル、あれピジョンブラッドですよ!」
「すごい綺麗ですね。市場でも滅多に出回らないのですが、まさか自然に実っているところを見られるとは思いませんでした」
「しかもこんなにたくさんなってるなんて聞いたことありません!」
どうやらアプルとは、俺のいた世界のリンゴのことらしい。めっちゃ形が似てるから多分あっていると思う。
〈マスターの世界のリンゴで間違いありませんよ〉
間違ってなかったみたいだ。
「さっき言っていたアプル?と、このピジョンなんとかって違うの?」
「アプルを知らないんですか?テルさん」
「え〜っと、ああ、知らない。押してもらって良いかな?」
「わかりました。アプルとは、この様な形の赤い果物で、一般の家庭でも買える手頃のな値段で販売されてるんです。でもこのピジョンブラッドは、形はアプルと変わりませんが、味はアプルとは比べ物にならないくらい美味しく、その見た目と稀少価値から宝石の名前が付けられているんです」
「へぇ、これが宝石と同じくらいの価値があるなんて考えられないな」
「場合によっては、宝石以上の値段がつくこともあります」
「え、それってどんな時?」
「普通に商業ギルドに売った時は、その時の時価によって変わってくるのですが、オークションに出品するとほとんど確実に高くなります」
「オークションなんてやってるんだ」
「はい、年に2回ほど王都で開催されます」
「どんなのが出品されるんだ?」
「そうですね、主にミスリルの武器や宝石、絵画や彫刻、工芸などの美術品、ヴィンテージもののワイン、魔導書など、様々なものが出品されます」
そう説明してくれたアリスは苦笑しながら、
「ただ最近は、宝石類や出品される品の質の低下などで、貴族のご婦人たちや豪商の方々からの不満の声が上がっているみたいで、商業ギルドも大変みたいです」
「そうなんだ。オークションって誰でも出品できるの?」
「身分が保証されている方なら誰でもできます。何か出品されるのですか?」
「ああ、大量の宝石類の処分に困ってたからちょうど良いなと思ってね」
【深淵の迷宮】で手に入れた宝石が無限収納の中に大量に死蔵されていた。
「それはきっと商業ギルドの方も喜ぶと思いますよ」
「ねぇねぇ、お話し終わった〜?」
「終わった〜?」
「ごめんごめん、お話し終わったよ」
「どうしました?」
「あっちにもいっぱい果物あるんだ〜」
「あるよ〜」
「たくさん種類あるんだ〜」
「…おいしいよ」
精霊たちに連れられて進むと、他のたくさんの種類の果物がなっていた。
イチゴやブドウ、メロンに似た、たくさんの果物がなっていてどれもさっきのアプルと同じ様に、宝石のような見た目をしていた。
「きゃ〜〜!イチゴのレッドダイヤモンドにグレエプのバイオレットサファイア、メルンのデマントイドガーネット、その他にもたくさんのジュエルフルーツがありますよ!」
「……」
まるで宝石の国に来たような、華やかさに圧倒された。
アリスはずっと興奮しっぱなしだし、ミッシェルは声も出ていなかった。
「見ているだけでもすごいけど、食べようか」
「そうですね、完全に食べることを忘れてました」
「お嬢様、私もいただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろん、ここは公の場所じゃないんだからミッシェルも食べよ!」
「では…」
俺はさっきのアプルを、アリスはイチゴ、ミッシェルはグレエプを手にとって一口食べる。
「「「!!!」」」
「おいしい?おいしい?」
「どう?」
「おいしいでしょ〜」
「…(ドキドキ)」
「美味い!」
「でしょでしょ〜」
「いっぱい食べてってね〜」
噛めば噛むほど荷重が溢れ出してきて、それでいて全く水っぽさがない。それに旨みが凝縮した痺れるような甘みに、後味もさすっきりしていて信じられないくらい美味しかった。
「おいしい〜〜〜!」
「お嬢様の護衛をやっていてよかったです」
「確かにそれほどおいしいとは思いますけど、ミッシェルそれはひどいですよ〜」
「あははは」
2人のそんなやりとりに笑いながら、イチゴを手にとってかぶりつく。
うん、これもすごくおいしい。
〈いいな〜、マスター。私も食べたいですよ〉
(仕方ないだろ、スキルなんだから)
〈そんなこと言われましても食べたいものは食べたいんです〜。マスターだけずるい〜〉
ナビの愚痴をスルーしながら俺は、ジュエルフルーツを無限収納に入れていく。
「ああ!ずるいですテルさん、収納魔法使うなんて。いいなぁ〜、収納魔法使えないしアイテムボックスもないからジュエルフルーツをお土産に持っていけないです」
「ならこのアイテムボックスあげるよ」
実は、アイテムボックスの話を聞いたときこっそり作っていた。便利そうなので2人にあげるつもりで作ったが、渡すタイミングが見つからなかった。
無限収納から触り心地のいい布を取り出し、袋の形にする。その袋の中を時空魔法で拡張して中の時間を止める。そして付与魔法で〈譲渡不可〉〈不壊〉〈耐熱〉〈防水〉を付与した。
「え、いやいやもらえないですよ、そんな貴重なもの」
「気にしないで。俺には収納魔法があるし、アイテムボックスも作ろうと思えば作れるしね」
そう言って気づいたが、2人は目を見開いていた。
「どうした?」
「アイテムボックスを作る?そんなことできるんですか、テルさん!」
「すごい方だとは思っていましたが、かなりの規格外のようです」
やべぇ、口が滑った。
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