たった一つの願いを叶えるために

ノアール

目覚め

「…“リザレクション”」

魔法名を唱えると、金色の光がミッシェルの体を包む。あまりの魔力量と神々しいこの光景に、アリステラは圧倒されていた。それもそのはずである。そもそも蘇生魔法は、神話級の魔法であり、人が発動することは不可能の魔法なのだ。それ容易く発動できることに驚愕し、実際に見る神話の魔法のあまりにも美しい幻想に心を奪われる。

よし、初めての魔法だったけど成功だ。それと、体の欠損も治さないと。


“再生”


(嘘、神話級の魔法のあとに欠損も直してるの?!一体どれだけの魔力を持っているの!?
あれだけの魔法を使えるような人が、ただの旅人なわけがない。本当に人間なのでしょうか?)

自業自得とはいえ、初対面の少女にまで人外と思われるテルであった。

そして、永遠にも感じられた時間が金色の光が落ち着いていくことによって、現実に引き戻されていく。

光が完全に落ち着いた時、ミッシェルの体は傷など全く見当たらず、生きていることを示すように呼吸により胸が上下する。少ししてミッシェルの目が開かれる。

「うっ……うう……あれ、私はいったい?」

「うぁ…わあああああ、ミッシェルゥーー!」

「きゃあ!お嬢様?いったいどうされたのですか?…あれ?どうして私生きてるのですか?あの時確かに死を確信したはずなのに?」

「ひぐっ、ぐすっ、ミッシェルゥー!」

「もしかして、お嬢様も死んでしまわれたのですか!?」

「……ううん、そちらの方が私たちを助けてくれたんですよ」

ミッシェルと呼ばれた少女はこちらを向き、感謝してくれた。

「お嬢様を助けていただき、本当にありがとうございます。私は、ミッシェル・レビンと言います。ミッシェルと呼んでください」

桜色の髪を後ろでまとめ、青空のような蒼い瞳をしているアリスとはまた違った凛とした綺麗な子だった。

「いや、気にしなくていいよ。旅をしていて、たまたま助けることができただけだから。俺の名前は、テル・ウィスタリア。テルって呼んでくれ」

「あの、私が目覚めるまでにいったい何があったのでしょうか?それに、なぜ私は生きてるのでしょうか?」

「それはですね、テルさんがミッシェルに蘇生魔法をかけてくれたんですよ」

「……え?………あ、あのお嬢様、今何と?」

「蘇生魔法によりミッシェルは生き返ったのですよ」

「……蘇生魔法?確かそれって、神話級魔法じゃありませんでしたっけ?」

「そう、その蘇生魔法よ」

「え〜〜〜〜〜〜!」

「それは人が使えるはずのない、神の奇跡だと言われてる魔法じゃないんですか?!」

「そのことについて、こっちの子にも言ったけど他の人にこのことは話さないでくれ」

「……色々と理解が追いつかないのですが、あなたは私の命の恩人です。ミッシェル・レビンの名にかけて話さないと誓います」

「ありがとう。さて、それじゃあこれからのことについて話そうか」

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