予備自衛官が戦争に駆り出される惨状

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第3話 〝理不尽な布陣〟

 (総員!衝撃に備えよ!敵弾着弾まで、さんふたひと、今!)

駐屯地内放送で、それが流れた直後。ヒュルルル、と海岸から聞こえてきた。どんどん、音が大きくなってくる。一瞬、円筒状の砲弾が見えた。




 「おい!大丈夫か?おい!!」

段々、曇っていた声が鮮明に聞こえてくる。…鯖妥の声だ。無音の世界からだっしたと思ったら、悪魔の叫びが聞こえてきた。高い周波数に、取り囲まれる。少したつとそれはおさまり、周囲の惨状さんじょうが目にみてくる。
 駐屯地の施設に砲撃されたようで、建物には大きな穴が開いており、今は小さな炎が上がっている。

「当然ながら、榴弾りゅうだんを使ったな。」
「な、なんで、そんなことが…」

鯖妥は、ポツリとつぶやいた。咄嗟とっさに質問した僕の声は、無意識に震えていた。

「通常、艦には徹甲弾てっこうだんと榴弾があるが、爆発炎上してるから榴弾と言って間違いないだろう。俺、こうみえてミリオタだから。」

鯖妥は、呑気のんきしゃべっているが目には真っ直ぐとした光が差し込んでいた。

「おい、海岸に海兵隊が上陸した。アメリカ軍の到着まで、あと30分もかかるらしい。オスプレイは、全機舞鶴まいづるに向かったからな…」

突然、自衛官が話しかけてきた。どうやら、会敵かいてきしたらしい。

「ここが、それまで持つかどうか。大和魂やまとだましいを見せてやるぞ!」

その、自衛官は続けて言った。

「分かりました!日本人の根性を見せてやりましょう!」
「鯖妥の言うとおりだ!僕たちで、ここを防衛するんだ!」

僕は、こういう時はいつも後ろにいる立場だが、この自衛官に“大和魂”を叩き込まれて、やってやろうという気持ちが恐ろしいほど湧いてきた。

「…ってことで、今から後方支援に向かう。君たちは第3中隊だよね。じゃあ、『カーゴ』に乗ってくれ。弾薬を届ける。」

自衛官にそう言われ、僕たちは『カーゴ』に乗った。先程の攻撃で、ここら辺にいた予備自衛官は散開さんかい。部隊はりになっていた。

※2020年7月25日 新潟県上越市海岸線※

 『カーゴ』に揺られながら、数分で爆音や銃声が聞こえてきた。ニュースでよくやる、アメリカの銃撃戦のようだ。いや、当然ながらそれよりも酷い。たまに、苦しそうな叫び声も上がっている。それが耳に入ってくると、僕の心拍数も上がっていくのが分かった。

 …映画の中の世界。

 そうとしか表現できない。ヘリコプターのローター音が鳴り響き、銃声が鳴り止まず、海洋から鉄の大粒が降ってくる。すると、通信機に耳を当てていたそうが声を上げた。

「2時斜め上方!ミサイル!!」

その声を皮切りに、『カーゴ』が横転しそうになりながらも急カーブを切った。だが、遠心力がわずかにまさる。
 すさまじい爆発音と共に、僕の意識が飛んでいった。

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