予備自衛官が戦争に駆り出される惨状

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第2話 〝初めて始めて〟

 「私が!陸上自衛隊第2普通科連隊第2中隊長けん予備自衛官第3中隊長の新渡戸にとべ愛桜あいらだ!」

『チヌーク』を降りたすぐ後に、中隊長の挨拶が始まった。驚くべきことに、この大勢の自衛官と向き合っているのは女性である。

「貴官らは、私の隷下れいかだ!陸上自衛隊の体勢がいくら崩れようとも、私の指示にしたがえ!これは…戦争だ!!心してかかれ。」

年は、30代前半であろうか。とても強気つよきな口調とは裏腹に、可憐かれんな姿をしている。強気な口調は、僕たちをしたがわせるためなのか、自分に言い聞かせるためなのか…

「ちなみに、私が許可すれば携帯、スマートフォンも使用可だ。他にも使いたいものがあれば、遠慮えんりょなく申し出ろ。」

やはり、この隊長は本来ならば優しいであろう。僕らと同様に緊張しているのか。

「ん…総員!準備を整え、海岸に整列せよ!予備自衛官は、高田駐屯地臨時前線基地で命令があるまで待機だ!…解散!」

中隊長が息をみ、3個中隊に命令をした。

※2020年7月25日 新潟県高田駐屯地※

 『チヌーク』は、どうやら高田駐屯地付近に着陸したようで、徒歩3分ほどで高田駐屯地に到着した。僕たちは、既に戦闘服であったため、高田駐屯地普通科連隊弾薬倉庫にを進めた。駐屯地内はとてもあわただしく、ひっきりなしに放送がされている。時に、駐屯地の外に出るため軽装高機動車が猛スピードで横をかすめていった。
 新潟県に到着したときには、既に昼時になっていた。耳をすますと、大海原おおうなばらからシュー、と風を切る音がする。ミサイルが飛翔ひしょうしているのだろう。今、中隊長の“戦争”という言葉を思い出し、身震いをした。 

 …死にたくない。

 死なずに、東京へ帰って見せる!すると、耳に嫌というほど響く不協和音ふきょうわおんがあちらこちらから流れてきた。

(上陸警報、上陸警報。敵国の、ミサイルていが、領海内に、侵入、しました。上陸の危険があります。直ちに、公務員の指示に従い、避難、してください。続けて、発表します。ロシアの、駆逐艦くちくかんが、領海に、侵入、しました。陸上に向けて、攻撃をされる可能性が、あります。直ちに、避難、してください。)

 遂に、遂に始まった。日本国建国より初めてとなる、防衛戦争の始まりである。

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