予備自衛官が戦争に駆り出される惨状

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<第2章> 第1話 〝チヌークで行く〟

        第2章




※2020年7月25日 栃木県宇都宮市北宇都宮駐屯地近辺きんぺん

 朝は、早めの3時半頃に起きた。早速、鯖妥から借りた寝巻きを脱ぎ、部屋のすみに置いておいた戦闘服に着替えた。

「ふぁ、やっぱりまだ眠いなぁ…」

僕は、つい心の声を漏らした。寝ぼけていたのだろう。

「ああ、早く寝たのに…まだ眠いな……」

鯖妥も同じらしい。

※2020年7月25日 栃木県宇都宮市北宇都宮駐屯地宇都宮滑走路※

 「職務放棄者ほうきしゃ0ゼロであることに感謝したい!」

また、あの司令官のスピーチが始まった。

「色々と、話すことがあるが…時間がない。貴官きかんらの健闘を祈る!では、早速乗機じょうきせよ!」

と、思ったら国防を最優先として話はすぐに終わった。鯖妥とはやはり同じ中隊で、搭乗する『チヌーク』も同じであった。
 すると、空挺団くうていだんのバッチを付けた人が呼び掛けた。

「それでは、予備自衛官のみなさん。乗機を開始してください!予備自衛官大隊の第1、第2、第3中隊は向かって右の3機に乗機してください!4、5、6は左の3機に乗ってください!」

僕たちは、第3中隊なので右の方へ進んだ。『チヌーク』は既にローターを回しており、すさまじい突風が常に吹き荒れていた。『チヌーク』に乗機すると、そこには既に『軽装けいそう高機動車こうきどうしゃ』が1台と『オートバイ』が2台積載せきさいされていた。ちなみに、『オートバイ』とは偵察ていさつ用オートバイのことである。
 全員が乗ったところで、後部ハッチが重厚じゅうこうな機械音を響かせながら閉ざされた。すると、エンジン音がどんどん高まっていき唐突とうとつにフワリ、という感覚に襲われた。

※2020年7月25日 新潟県上越じょうえつ沿岸えんがん

 僕らが乗っている『チヌーク』は、着陸する前に一度平原の上空でホバリングをした。窓の外を見ると、この機に関わらずに全機が同じ行動をとっていた。窓の外を見て、同時に気づいたのだが、どうやら吊り下げていた『96式装輪装甲車』や『82式指揮通信車』、『83式地雷敷設しきせつ車』等を降ろしていたようだ。
 降ろし終えると、その位置から移動し少し離れたところで着陸した。エンジン音は離陸前とは違い、段々と音が低くなっていった。上下に揺れると、エンジン音は完全に消滅した。
 完全に動かなくなると、自衛官の3人が『チヌーク』に積載されていた3台に乗り、エンジンを付けた。
 遂に後部ハッチが開き、外の光がさらに入ってきた。外は、少し雨が降っていた。『オートバイ』のライダーは、そんなことは気にしない、と言わんばかりに勢いよく飛び出していった。同じ中隊の予備自衛官は、ゆっくりと立ち上がり『チヌーク』を後にした。僕と鯖妥も顔を見合わせて、『チヌーク』の後部ハッチを踏みしめた。

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