予備自衛官が戦争に駆り出される惨状

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第4話 〝日本の安心、同時に戦慄〟

 5分程経っただろうか。続報を聞くために、この場は静まり返っていた。すると、スピーカーからマイクロフォンの電源を入れたまま乱雑らんざつに動かしたかのような音が流れてきた。その音に続き、アナウンスが入った。

〈ミサイルは先程、海上かいじょう自衛隊じえいたい『きりしま』により撃墜げきついされました。ミサイルは、3発。ロシアせきが2発と北朝鮮籍が1発です。〉

ミサイルは、撃墜されたらしい。安心できるように聞こえるが、僕にはそうは思えない。何しろ、“撃墜された=日本に着弾ちゃくだんするように仕向けられた”と言うことになるからだ。
 すると、間髪かんぱつ入れずにまたアナウンスが入った。

〈北朝鮮、ロシア、中国の艦艇かんていが港から消えているのを確認。よって、陸上自衛隊中央即応連隊は目的地を新潟に変更。練馬駐屯地、『第1だいいち普通科連隊ふつうかれんたい戦車大隊せんしゃたいたい行動準備。予備自衛官は、当初とうしょの任務を外れ、現職自衛官の援護えんごに回りなさい。〉

 こんなにも、現実味げんじつみびていながら非現実的な事は初めて聞いた。

 日本は、対国家防衛戦の準備に入ろうとしていた。

 僕は、かされながらも戦闘服に着替えた。予備自衛官は、どんよりとした雲のもとに整列させられていた。

「よく、ここに集まってくれた!」

予備自衛官の司令官とやらの演説ならびに作戦概要がいよう説明が、始まった。

「貴官らは当初、交通整備や派遣された自衛官の96クーガーの警備にあたるはずだった!だが、ロシア等の超大国の進軍が懸念けねんされるため任務を変更する!」

 ここで、司令官は言葉を止めた。すると、それを見計みはからったようにこの場がバタバタ、と騒音でくされた。
 オスプレイの中隊だ。オスプレイは、アメリカ軍のマークを付けていた。それらが通ったあと、灰色の機体に映えた深紅しんくの日の丸をかかげたオスプレイも通っていった。本来、海上自衛隊の輸送艦ゆそうかんと共に離島防衛りとうぼうえいたずさわっていたはずのものだ。それが、北西の方向に飛んでいった。
 オスプレイの編隊へんたいが通りすぎた後、司令官は続けた。

「貴官らには!戦場の第一線にて、弾薬補給だんやくほきゅうをしてもらいたい!これは、総理のご命令だ!命令の拒否は、自衛隊法にてきびしくばっせられる!…だが、この場で拒否するなら私は目をつむろう。」

司令官が最後の言葉を口にした途端、声が上がった。

辞退じたいさせていただきます!」
「すみません!私もそうさせていただきます!」

 等々などなど、自分を優先したもの、家族を優先した者と様々な思いで辞退する者はこの場を去っていった。
 当然、僕は躊躇ちゅうちょはしたがこの国を守りたいという意思は変わらず、辞退はしなかった。

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