予備自衛官が戦争に駆り出される惨状

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<第1章> プロローグ&第1話 〝日本が揺らぐ〟

        第1章




プロローグ

※2020年7月24日 東京都渋谷区某所※

 18歳で予備自衛官よびじえいかん候補生こうほせいの課程を終了し、20歳でゲームアプリ開発を行うベンチャー企業に就職した僕、鈴宮國雄すずみやくにおは今、朝のニュースを見ていた。

<現在、現地に津田つださんが居ます。津田さーん?>

ニュースでは、記念すべき東京オリンピックの開会式の中継を行っていた。

〈はい。こちらは、新国立競技場の津田です。えー、まもなく間宮首相によるスピーチが行われます。あ!今、首相が出てきました!えー、リオオリンピックの閉会式と同様に、マリオの仮装をして姿を現しました。今から━━〉

 …時間は止まるものなのか?そう問いかけたかった。僕は、食事の手を止めざるをえなかった。突然、リポーターの声が聞こえなくなり、リポーターの後ろで黒い煙が一瞬で生成された。その後、瞬時に紅蓮のほのおがスピーチを行おうとしていた間宮首相や、各国首脳を呑み込んだ。
 ニューススタジオの一瞬の静寂の後に、エリアディレクターやスタジオ関係者の動きでテレビからはざわめきしか聞こえなかった。
 30分後に落ち着きを取り戻したのか、全報道局が今は無き新国立競技場の惨状を映し出した。それで、僕は、いや日本国民、そして世界の人々は、知った。

 安全な日本は、去っていったと…

第1話

※2020年7月24日 東京都某所※

 さすがに、ニュースをみて遅れましたと言うと怒られると考え、僕は家を後にした。家を出ると、さっきまでテレビで見てた光景が眼球に直に届いた。サイレンが鳴り響き、炎が燃え盛り、パチパチと火花が散るのがここでも聞こえた。

 駅に着いた。思ったことといえば、ミスった!!そう、当然ながらテロリズムの可能性が大きいため、その対策としてほとんどの公共交通機関はストップしてしまっていたのだ。避難民かは分からないが、通勤ラッシュにしては車がいつもより多い。たった1回の爆発で、東京は崩壊しかかっていた。
 自分は祈り続けた。何を祈り続けたかって?決まってるだろ…災害派遣に駆り出される電話が来ないことをだろ?
 プルルルル、と我がスマートフォンは無慈悲に鳴いた。

「はい!もしもし!」

来てしまったものは仕方がない。覚悟を決めよう。

「え?ど、どうしたの?ああ、それより大丈夫?国立競技場が爆発したって…間宮首相も亡くなったらしいよ。」

…?覚悟を決めたのに、電話の相手はまさかの同級生?!僕の覚悟を返せ!

「え?ああ、え?三島?ちょ、こんな時に掛けるから自衛隊の呼び出しかと…」
「あー、ごめん。でも、無事そうで何よりだよ。」
「ああ。けど、公共交通機関は使えなくなってるし道路は渋滞。もう、崩壊寸前だよ。一応、会社に連絡を入れないと…」

古き友人と話していると落ち着くし、大切なことも思い出す(こともある)。

「分かった。じゃーね。…死ぬなよ…」

電話は切れた。最後に、とこぞのアメリカ映画のような台詞せりふを残して。ちなみに、言っておくが三島は女子だ。誇るわけではないが、中学、高校と『クラス1の美女』と呼ばれてきた。
 少し、顔がほころび緊張感が和らいだ。まあ、これからも━━
 プルルル、プルルル、とまたもやスマートフォンが震えながら鳴いた。今度は、母さんか?そう思い、液晶を見た。

「ぬわ?!!」

僕は思わず、駅前で叫んでしまった。
 最悪の事態が発生した。我は、お国に尽くさなければならないらしい。液晶には〔防衛省 予備自衛官〕と書かれていた。
 僕は、絶望を堪能した。

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