未知の海原

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第九話

 「…一体、何をしに来たんですか?」

 最上は、南雲司令長官に目線を向ける。
 南雲司令長官は、最上を小馬鹿にするように笑った。

「何をしにきた?我々は、大本営の決定に基づいて、ハワイ作戦を実行に移そうとしていただけだが?そこに現れたのは、お前達だろ?」
「そうですが、ここは━━」

最上が続けようとすると、扉が叩かれる。

「最上海将!」
「ああ、入れ。」

 扉が開かれると、小走りで最上の元へと一人の男が近寄った。

「お話し中失礼をいたします!緊急です。先程、パールハーバーの全艦が出港をしたようです。」
「なに?!」

 最上が眉間にシワを寄せ、立ち上がる。南雲司令長官も目に力を入れる。

「退去を命じられた外国艦の中に、表敬訪問中の『おうりゅう』もいますがどうしますか?」
「即座に任務を偵察に変更!直ぐ、情報を送れ!」
「分かりました。失礼します。」

そう言って、男は嵐のように去っていった。
 さっき、さらっと言っていたが、パールハーバー…真珠湾に表敬訪問?本当に戦争をやってないのか?
 すると、色んな物が散乱している机に乗っている一つの物が音をたて始めた。
 最上が急ぎ足で向かった。最上が手に取ったことで分かったが、どうやら電話らしい。

「え?!ニューヨーク?何を言ってるんだよ。……は?!レキシントン?他にも随伴艦が?」

 最上は、頭を抱えて溜め息をついた。ニューヨークといえば、ハワイ作戦の目標の一つだ。未来にもニューヨークという艦がいるということか?
 謎は深まるばかりだ。

「南雲司令長官。深刻な事態です。どうやら、貴方たちだけではないらしい。」
「私たちだけでは…?」
「信じていただければ幸いですが、ここは21世紀です。本来ならば、貴方たちがここにいるのはおかしい。…あの、ふねたちもです。」

 最上は、目を伏せる。

「何かがおかしくなった。あの侵略事件から…何かが……」

最上は、顔をあげた。目は見開いている。頭のネジが飛んだらしい。

「今度は、世界大戦の兵器が?有り得ない。何がおかしくしたんだ?これでは、また世界が戦火に包まれる…!」

最上は、崩れ込むように南雲司令長官に近付いた。

「貴方たちは…この時代に来てまでも戦いますか?」

 南雲司令長官は、黙ったままだ。この世界では、昔、何かがあったのであろう。いち軍人をここまでおかしくする何かが。

「最上海将!失礼します!非常事態です!」

 最上は酷い姿であったが、それに構わず男は報告を始めた。

「日本が…包囲されました!」
「…え?」

 もう、最上には驚く気力すらないのか。

「確認する限りでは、アイオワ級戦艦3隻!……ヨークタウン級航空母艦3隻!いずれも、大戦のものです。アイオワ級二番艦ニュージャージーからは既に発砲を受けています!損害は奇跡的に皆無です!」
「……やむを得ないか…」
「…やるの…ですね?」

 最上は、赤く腫れた目を気にせず、勢いよく立ち上がった。

「敵をテロ組織と仮定!自衛権を……行使する!!」

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