モブは最強である

夜月

初バトルで3乙

数ヵ月後、二人目の嫁を作り、学校もさぼりまくり、引きこもりを続けている俺氏。想像していることに関しては、忘れていると思いきや、いつか俺が神になれるんじゃね、等などと考えていた。

 そんな時代が一カ月以上続き、高校一年生の一学期も終わりに近くなってきたある日、俺はヒーローになることばかりを考えていた。

 「う~ん、やっぱり皆の前でバサッと現れて、カッコよく敵を退治するのがいいよな~。いや、陰でこっそり敵を倒して後で偶然俺を見ていた人がいて、ニュースや新聞等で報道さえるのもいいな~。いや、やっぱりないな」

 と、(一人で)真剣に考えていた。

 今日はスーパー珍しく高校に登校しているとき、昨日友達に時間割を聞いたときに今日避難訓練があることを教えてもらったことを思い出した。

 ん、?そういえば避難訓練って、全校生徒が一度に校庭に集まるんだよな、てことは・・

 「うおーーーーー!頑張るぞーー!」

 気付いた俺は学校まで大疾走した。

 学校に到着し、あっという間に1~4時間目が終わり(睡眠という名の勉強)、食堂でカレーを頼んだ俺は、軽く5カ月以上食べていなかったまともな飯を味わいながら、これからおこるであろうことについて考えていた。

 おそらく今日の6時間目の後にある避難訓練で敵が地球に侵入、神の子である俺はそいつに狙われてしまう。

 しかし俺はこの物語の主人公、天童てんどう  輪廻 《りんね》(本名吉野 はやと)
 カッコよくやっつけてやる。

 奴が剣を抜いているときに自分の剣を抜き、すかさず奴のところまで走り、まずフリアで氷を出して奴の足を固め、右のわき腹を切り、「サフラ」を使い雷を奴に落とし、弱ったとこころをに真っ二つに切る。 よし、イメトレは完璧だ。

 つらい社会の時間が終わり、(先生が起こしてからので寝られない)避難訓練が始まった。

くっそ山梨のやつ睡眠は人間の義務だぞ!それを妨害するとは許せん。

 皆が廊下に出ていく。
 あるやつはしゃべり、あるやつは笑っている。
 たく、緊張感もてバカ野郎。
 まあ、数分後にはあいつら全員恐怖のあまり一言も発せなくなるさ。
 ざまあみろ。 

 ってあれ、俺が悪い奴みたいになってね? 

 全員が校庭に出てから校長先生先生の長い話が始まった。
 さあ、もうすぐ来るはずだ。

 五分経過 

 「おかしいな。おそいな。宮本武蔵的な?いや、だったら俺負けるじゃん。やっぱ今の例えなしにしよう!」
 「ねえ、吉野君大丈夫?さっきから何ぶつぶつ言ってるの?夏バテしちゃった?保健室行く?」

 おおおおおお いきなり隣にいる渡辺さんから優しいクエスチョンマーク四連発!

もしもしボス、こちら天童輪廻、女子との接触に五カ月ぶりに成功しました。

 現在吉野はやと15歳、高校生、アドレナリンドバドバでございます!

 ありがたい!この子のためにも頑張らねば!

 「別に大丈夫だよ。もし何かあって怖くなったら僕に抱きついてもいいんだよ」

しっかりとグッドマークをおくっておく。

 「ねえホントに大丈夫?保健室に行ったほうがいいと思うよ」

 と、その瞬間、先生の話が終わった。

 「はい、解散でーす。皆立ってー。気分悪い人いたら先生に言ってねー」

 うそん。
 襲撃イベントないの?まじで?おまえ俺のここまでの期待と努力をかえせ。

 あ、久しぶりに外に出て長時間直射日光浴びたからか頭が、くらっと、、

「せんせー!吉野君が倒れましたー!顔がめっちゃ青いです!」
 「吉野ーーーーーー!だいじょーぶかーーー!」

 渡辺さん、先生、さーせん(泣)。 

 そのあと保健室に行き(連れて行かれ)起きるときに、もしかしたら渡辺さんが看病してくれているかもしれないと期待しながら目を開けたら、目の前にはしわくちゃババアが。
 「うわぁ妖怪!」
「なんてこというんですか!」

 「吉野くーーーん!」

 本日二回目です。倒れるの。 

 あの後しっかり起きて家に帰り、またパソコンをいじる。はあ、とんだ災難だった。
 現実と理想のギャップありすぎだろ。

 現在パソコンを使って情報(アニメ関連)を収集中。

 「お~~。次期アニメはこんな感じか~。」
 「どれどれ、ほーほー成る程。お、このアニメ二期やるのか!よっしゃ!」

 情報収集はオタクにとって必要不可欠。
 大切な仕事だ。ってあれ?

 何かに引っ張られてる、、
 後ろを見るとそこには魔法陣的なやつが!?

 ここで普通の主人公だったら「きゃー。」とか「うわー。」とかほざいて飲み込まれることを嫌がり、抵抗するかもしれない。

 しかし俺はこういう状況を長年夢見てきたんだ!

 「さあ、魔法陣ちゃん!俺を異世界に連れて行ってちょーだい!」

 俺はすんなりと魔法陣的なやつに飲み込まれた。

 ドサッ

 落ちた衝撃で気が付き、目を開けると、すぐにそこがどこだか分かった。

 高校だ。
 成る程、確かに高校なら守るべき人も多いから感じる責任感も多い。最適な場所だ。で、敵はどこにいるんだ?

 俺が今いるところはちょうど学校の校庭のド真ん中で って、よく見たら皆こっち見てる。

 いや、半分くらいはこっちを見ていない、となればどこを見ているんだ?あ、後ろか、
 後ろを振りむくと、

 体が上半身しかない骸骨が大きな剣持って浮いてましたとさ。
 あ、オワタ。

 いやイケる!おそらく技の一つや二つくらい使えるはずだ。

 やってみるかっ!! ってあれ?俺身長高くなった?成る程、確かにさっきまでの俺の体だったら、あいつとは対等には戦えない。ちゃんと体改造してくれてるんだ。やさしい~。  

 なんてことはなく、俺は敵にギロチンされて死んでいたのであった。


 きずくとそこは真っ白い部屋。だだっぴっろく、少し霧がかかっていて寒い。てかここどこだ?
 よく見ると数十メートル先には女の子が。

彼女の特徴ではないが、そこらへんにビールの空き缶とおかしの袋が

想像と全然違う。え、女の子ってこんなもん?

こいつが復活さしてくれる女神とかじゃないよな。

 「あの~」
 「君さ、
 「あっはい、何でしょうか」

 「死ぬのはやすぎるよ。せめてパンチ一発くらい当てるように、いや、もうかすってっもいいし当たらなくてもいいか頑張ろうよ。こっちもそれくらい早く死なれると困るよ。次頑張れよ 」

 こんなかわいい子に励まされてチョーうれしいはずなのに悲しい。

 言葉に刃があることが逆に苦しい。
 てか一番最初の発言これかよ。
 てかポテチ食べて死んだ人待つってどんな女神だよ 
 てかこいつ女神なのか?
 てか部屋汚すぎるだろ
 てかこいつ誰だよ
 脳内ではtekaの嵐だ。

 「と、いうことで、いってらっしゃい!」
「は?てかまず君誰?」

 実際には俺はこんな質問をする時間もなく、こいつがロープを引っ張った瞬間に床が抜けて俺は下に落ちたのであった。

 「ああああああああーー!!!!!!!」  

 落ちてるんだからこんぐらい叫ぶのはいいだろ。

 それよりさっきからものすごいスピードで落ちてるはずなのに風をまったく感じねえ 。なんでだ?

 その理由は自分の体を見てみればすぐに分かった。

 自分の体がない、代わりにあるのは火の塊のみ。
 おそらく魂だけなのだろう。さすが主人公、状況を把握する力が高い。

 え、じゃあどうやって戦うんだ?
 上を見上げれば俺の体が落ちて来ている。

 「いやあああああああ、キモいキモいキモいキモい!いや落ちつけ吉野はやと、安心しするんだ。自分の体じゃないか。きゃーーかっこいいー!王子様、そっとあたしを抱きしめて」 

 やっぱこれキモいな、落ちつけ深呼吸だ、ってできないんだ。

 うぶっ。
 戻った。よっしゃ戻ったぞ!よし、技とか使ってみよう。俺ならいけるはずだ。適当に頭に浮かんだ技をいってみる。

 「ファイヤ!」

 驚いたことに、手から真っ赤な炎が。しかもデカい。ウハウハー

 「きたきたきたきたーーーーー!」

やばい、今人生で最大レベルのテンションだわ。長年夢見てきた光景が今ここに。ここまで人生頑張ったかいあったわ。
つらい時も、
悲しい時も、
さびしい時も、
500円玉落とした時も、
俺だけ紅白餅が1つなかった時も、
財布すられた時も、
初めて告白したときに相手に鼻で笑われて学校全体の笑いの的になった時も、
よく頑張った俺、褒めてやる!

よし、このままこの火をあいつにくらわしてやる。
ってまた視界がだんだん上がってきてる。

 下には頭から地面に着陸し首が変な方向に曲がっている俺の体が。

 「あーー!やってしまったー!」

 てかテンション高すぎて地面に衝突する痛さも感じないって俺の体大丈夫なのか?

 ー再びあの女の子(おそらく『子』ではない)の部屋にて

 「まあ最初のほうはそんな感だね。次はいけるよ!どんな冒険者も最初のほうはよく死んでたものだよ。多分」

 おい最後の多分ってなんだ。そして励ましが逆に悲しい。

 「そういえば俺って武器とかないんですか?」
 「あ~君さっきすぐ落ちちゃったから渡せてなかったね」

 いやあんたが落としたんだろ。話も聞かずに。

 「では!」
 「え、」

 女神(死ねばいいのに)がまたロープを引き、床が落ちる。自分のところだけ。

 ちゃんとさっきと立つ位置変えたのに何でドストライクで俺の下が開くんだ、、

 「あってか俺の武器はどうなったの!」
 「今投げるよーー」

 よし、まず武器は確保だ。一応体とも合体してある。
 何の武器だろう。剣?ダガー?アックス?太刀?銃?杖とか?

 こういうの場合だいだい主人公にはくそみたいな武器が渡されて、そこから頑張らなければいけないことが多い。でも、俺の場合は違かった。

「はいっ」

 魔道書らしきものが飛んできた。

 「きたーー!こういうのが欲しかったんだ!」

 女神(まじ天使)が投げてくれた魔道書は見事にピンポイントで俺の頭のほうに飛んできて、

 そのまま俺の頭にものすごい勢いでぶつかった。

 高一、高二で全く運動してこなかった俺の頭は強化された体と息が合わず、手で受け取るはずだった魔道書はかすりもせず俺の頭に当たったのだ。

―女神の部屋

 「えーと、、何かごめんなさい」
 「いや別に、受け取れなかった俺が悪いですし。あなたのせいじゃないですよ」

 何だろうこの雰囲気。めっちゃ気まずい。

 「ええと、あ、魔道書受け取りますね」
 「あ、ああ、その、はい、どうぞ」
 「じゃあ、行ってきます。」
 「気をつけて」

 ガコン

 下が抜けて落ちていくのを感じる。ああ憂鬱。完璧やってしまった。

 「やってしまったーーー!!」

 何秒後かに俺はうまく着地した
 敵はまだ校庭にいた。
 まだ誰もやられていない。
 何でだろう。

 「あ、吉野君?こっちこっち!」

 魔道書がしゃべってる。声は、 女神さんだ。

 「わたしあの後よく考えたんだけどさ、やっぱりさっきのは上手くキャッチできなかった君が悪いと思うんだよね。だってあれ私はちゃんと、『今投げるよー』って言ったもん。そこでキャッチできなかったの君が明らかに悪いよね。ということで私は無罪。君の自殺行為と考えます!うん!あ、魔道書の表紙に手を置けば自然と魔法を覚えて使えるようになるから。頑張れ!ファイト!ふっ。次はミスするなよ!」

 ふーん。

 何だこいつ!さっきまで自分が悪いって言っていて、数秒後にこのテンション。なめてんのか。

 「このクソ無責任女神が!お前絶対女神向いてないわ!死ね!死ね!死ね!」
 「聞こえてるよ」

 マジか。いや、今はこんなんにかまってる暇はない。目の前の敵に集中。でも何でこいつずっと動かないんだ。

 「私がやったからよ。ここで一般の人が攻撃されたら明らかに私の責任になるでしょ。そしたら色々とめんどくさくなるのよ」

 こいつ、まじでクズだ。人間のゴミじゃなくて神のゴミだ。

 てかこいつ俺の心の声きこえてるのか?やば。
 さっきの悪口も全部あいつ聞いてるやんけ。
 まあしょうがない。これはこれであいつへのいい攻撃になる。

 よし、やってみるか。魔道書の表紙に手を置いてみる。
 魔道書が光り、それと同時に自分の体が何かを吸収しているのを感じる。

 敵はまだ動けていない。てか、あいつが倒せばいいんじゃね?まあ、ここで主人公である俺が倒すことでストーリーが進むのか。

 息をのむ。冷や汗を感じる。
落ち着け、落ちつけ、落ち着くんだ。頭の中で色々な魔法がめぐっているけれど、どれを使えばいいのか分からない。

 「はやく攻撃してよ。もうすぐ動きだしちゃうよ」
 やらなきゃ。どうしよう。体が震えているぞ!武者震いか?いや、マジで怖い!いや、男吉野、ここはかっこよく決めるんだ!
 決心した俺はぱっと頭に出てきた呪文を言った。

 「ヅイルボ!」

 その瞬間敵の頭上はるか40メートルほど上に魔法陣がかかれ、雷が落ちてくる。
 その雷は見事敵にヒットした。

 「おーー。さすが主人公、一発目からしっかりと敵にあてるね、でも、まだ奴は死んでないよ」

 よし、次の攻撃だ。どんな技に使用かな~ 次は土とか水とかそこらへんの属性使ってみたいんだよな~

 「来るよ!」

 見るとさっき俺が魔法撃った後にたった砂煙の中にうごめく影が。あいつもう回復したのかよ。早いな。
 敵が砂埃から現れ、こちらに向かってくる。超高速で。

手からは闇の塊といったらいいのか、黒い煙といったらいいのか分からないけど、そんな感じのものが出ている。多分あれをあててくるな。

よし、何の技使おうか決めよう。う~ん、迷う。正直どれも強そうだし、どれもかっこいい。いや、この状況を整理すればおのずと使うべき技がわかるんじゃないか?

今、奴はこちらに向かってきている。

 おそらくあの手にある何か黒いものをあてて攻撃してくる。あいつの攻撃がどれくらいの威力のものなのか俺は知らないわけだから、あれに当たるのは危険だ。それに俺としても、痛いのは絶対に避けておきたい。

 だとしたら、このプランでいけばいいんじゃないか?
 やつは1・2メートル先にいる。俺は後ろ向きにジャンプしながら呪文を唱える、う、なんだか頭が熱い。

 「ウォーマ!」

 土の壁ができ、敵がそこにそのまま突っ込み壁に攻撃した。

 よし、もし相手の攻撃が壁を貫通したらそのまま手を壁の中に拘束し、貫通しなかったらすきを見て下から植物属性の魔法を使って攻撃。よし、我ながらいい考えだ。

 結果としては敵の攻撃は壁を貫通し、そのまま壁に固定、そこを俺に拘束され、        
 フルボッコにしてやった。

「敵さん分かってますか?これ俺の初めての戦いなんですよ。それにもかかわらず俺はもう二キルもされてるんです。この悲しみと怒りがわかるか! 」

 思いっきり炎の拳を敵にぶつける。

 「おら!喰らえ!どんだけ俺死んだと思ってるんだ!お前なんかあの世いきだ!」

 とくに何もしていないのに、ただ拘束されていただけなのに殴られる敵。おそらく相手側からしたらこちらが敵だ。
 そしてそのまま敵は動けないまま30発くらい俺に攻撃されたのであった。

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