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閃光の勇者 〜転生したら伝説の竜になってました〜

雨猫

第4話 力の証明


10年後の見習い騎士寮には、当然だが見ない顔しかなかった。
元上官だったミレルは、更なる成果を残し、今や王の護衛騎士に昇格していた。
同期だった見習い騎士たちも、各々が立派な騎士になっているようだった。
これだけ栄えているドレイドを見ると、あの時の戦争はどうやら勝てたらしい。

「クソ、俺だけまた見習いからかよ」

ボヤいていると、長身の男に声をかけられた。

「おい、そこの見習い止まれ」

振り返ると、そこにはかつての同期の中で一番優れた剣士だったレオがいた。
ついつい明るく話そうとしてしまったが、俺は己の口を制した。

「どうされましたか?」

レオはやはり他の同期よりズバ抜けているようで、特別視察騎士に昇格していた。
特別視察騎士とは、まだ開拓されていない森や洞窟、いわゆるダンジョンと呼ばれるところに視察に行く騎士で、どんな危険が待ち受けているか分からない為、上層部から選ばれた騎士のみが配属される。

「お前が最近噂の見習いだな」
「そうすね。なんだか噂されてるみたいで」

レオは眉間にシワを寄せていた。
そうだ、コイツは自分よりチヤホヤされている奴を見ると酷くキレるんだ。
レオは貴族の出で、自分より優れている奴を断じて許さない男だった。

俺の適当な返答がレオの怒りを買ったらしい。

「貴様、いい度胸だ。俺と決闘をしろ。俺に勝てたら王に直々に頼んで俺と所属を代わってやる。まあ、万が一にもどこの出かも分からん奴に負けるわけがないがな」

コイツ、相変わらず自分勝手だな。
まあでも、見習い訓練には飽き飽きしていたところだ。
コイツが自分の所属と変わってくれるってんならそれはそれはありがたい。

そして明日、俺とレオは『実戦訓練』と称して、ただの喧嘩をすることになった。







レオはこれでもかって程の観客を集めていた。
王を始め、手の空いてる上層部、レオの所属する特別視察騎士団、そして現俺の同期である見習い騎士団 etc。

レオの剣術は独特で、それ目的の奴らも多いだろうが、噂の俺の力を見たいって輩も多数に集まっていた。

「それでは、特別視察騎士レオ殿と見習い騎士リゼル殿の公式実戦訓練を行います」

進行の合図で俺とレオは向かい合った。

「それでは・・・始め!!」

「貴様、どこまで舐め腐る気だ。剣と鎧はどうした・・・」

レオが声を震わせながら話していた。
剣も鎧もしない俺に苛立ちが治らないようだ。

「大丈夫だ。どうせ鎧を着ててもアンタの攻撃一発でも食らっちゃそれで終わりだろ?これは訓練だぜ?熱くなるなよ、レオ"さん"」

「話し方と言い戦闘スタイルと言い、貴様を見ているとアイツを思い出して腹が立つんだよ!!」

そう言い放つと、レオは俺に剣を振りかざして向かってきた。
アイツってのは俺のことか。剣では当然勝てたことないが、素手の喧嘩で何度もコテンパンにしてるもんな。

秒で蹴りがついても面白みがないだろうと、まずは避けることに専念した。
リンドブルムの力も、早いってだけのことはないだろう。これだけでもかなりの脅威なので、期待しない程度に試すことにした。

剣術が独特ね・・・こんなゆっくりな剣術じゃ俺からしたらどれも同じに見えるな。

ここで気が付いたことがあった。
『さっきまで周りの人が歩くペースや襲い掛かってくるレオは普通に見えたのに、今はなんでこんなに遅く見えてるんだ?』

その答えはすぐに分かった気がした。
所謂『戦闘モード』ってヤツだ。
視覚の変動がある動物は分からんが、戦闘態勢に形態を変える動物は様々いる。
魔法とは違うが、リンドブルム独自の自身のスピードに対して視覚が強化されるのだろう。
これは意識するとかではなく、無意識のうちに習得していたものだった。

避けているうちに四隅に追いやられ、自分がどれくらいのスピードを最大に出せるのか調べる為に、真逆の四隅に移動することにした。

バン!と大きな音と共に、俺はあっという間に四隅に移動した。
周りの観客も、さっきまで目の前にいたはずの俺を見失ったレオも驚いていた。
そして、俺が元いた場所には光の結晶がパラパラと散っていくように見えた。

「なんだこれ・・・」

ついつい口から出てしまっていた。
すると、頭の中に直接声が聞こえていた。

『爆発音が出たのは音速を超えた光速の速度でお前が移動したからだ。光の結晶は太陽に照らされていたはずのお前の分身が時間と共に消えたからだ。まったく、人前で加減をしない奴だな』

自分の常識を超える速度に絶句した。
流石は伝説の竜と謳われるだけのことはある。

俺の速度に流石に手も足も出ないと悟ったか、投げやりな風に俺に襲い掛かってきた。
潮時かと、俺は再び爆発音と共に、レオの首裏をそっと手刀で打ち付けた。
俺が背後に回ってしばらくし、レオの体はようやく地に伏した。

会場が歓声で溢れかえっていた。

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