「 」

鳩の唐揚げ

幻覚の少年


           「あぁ、退屈だ。」

最近そればっかり言っている。

クラスにはまともな奴がいなくて、クソばっかだし。

大して可愛くもないのに可愛子ぶってる奴。
貧乏なくせに学校に通ってる奴。
裏ではいじめとか色々としてるのに表では良い子ぶってる奴。
いじめられてクラスに居場所がないくせに学校にくる奴。


あぁ、私も居場所ないか。


そう、私には居場所がない。
クラスはこんなだし、家に帰っても父親と母親は喧嘩ばかり。
私なんて見えていない。

趣味と言えるものなんて私にはないし、好きな物もない。

はぁ、何だろう。
生きるのもだるくなってきた。



      『退屈そうだね、キミ。』



そう言った少年は、私の席の上をふわふわと浮いていた。その少年の存在に気づいた時、世界が止まったような気がした。
やばい、退屈過ぎて幻覚も見えてきたのかな、
そう思ったけど、その少年は幻覚にしてはリアル過ぎてつい声をかけてしまった。

「誰?」

『誰...か、誰だろう、僕もあんまり自分の事は分からないから、誰とは言えないな、』

「自分の事が分からないとか、変な奴だね。しかも、浮いてるし...」

『そんな細かい事は気にしない!じゃあ、本題に入ろう!』

「細かくないでしょ...で、本題って何?私に何か用?」

『なんか、偉そうだなぁ。まぁいいや、退屈そうなキミに面白いものをあげようと思ってね、』

「面白いもの?私、何もいらないけど...」

『いいから、もらえる物はもらっておきなよ。でね、その面白い物っていうのは...』

その後、少年は信じられない言葉を口にした。


『人の身体を横取りする力。』


「よ、横取りって...」

『分からないの?詳しく説明すると、他の人の身体をもらうって事!まぁ、それなりの対価が必要になるけどね。』

「ふーん」

『どう?使ってみる?』

「ちょっと面白そうだし、もらっておくことにするよ」


少年が消えた頃、世界も動き出し、いつもの普通の教室に戻った。


少年からもらった、人の身体を横取りする力。
それを使った後のことを考えると少し怖かった。

でも、なんだか顔がにやけて仕方がなかった。


次の日、私は少年からもらったものを試してみることにした。

誰にしようか...

うーん、悩むな、

...

.....

そうだ!
あいつにしよう。
表ではいい子ぶってるあいつ。

この学校はイジメが多いんだけど、大体のイジメは裏でこいつが絡んでる。


         「ふふっ...楽しそうだ...」


私は、体が疼いて仕方がなかった。





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