Messiah

嘉禄(かろく)

Pains of the HINA



俺は何度もお前の墓前に立つ。
記憶が曖昧だった頃は、俺がお前に何をしたのかも分からず問いかけることしか出来なかった。
思い出した今は…あの時俺がした選択は正しかったのかと自問自答する日々を繰り返している。
周囲の人間は、


『あれは仕方の無いことだ』
『気に病むな、ああするしかなかったんだ』


と口を揃えて言った。
けど、俺は心の中でそれに疑問を呈した。

本当に、仕方の無いことだったのか。
本当に、それしか方法はなかったのか。

否、心がそんなことは無いと否定した。


『…何かあったはずなんだ、他に方法が…!
あいつを殺さなくていい方法が…あったはずなんだ…俺は…』


一度絡めとられれば、二度とその鎖から逃げることは出来ない。
これは呪縛だ、そして贖罪の証。
…いや、こんなことをしたところで罪は消えない。
俺は死ぬまで永遠に、きっとあいつのことをどこかで追うんだろう。
今ある絆を、なくさないように必死に繋ぎ止めながら-






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