Messiah

嘉禄(かろく)

Face to show nobody


これは、係長代理となった私のみの珍しい任務のこと。
その途中で北方の敵と相見えていた。


「…驚いたな、百瀬多々良とこんな所で会うなんて」
「私は会いたくなかったわよ」


そう軽口を叩くと途端に戦闘が始まる。
相手もかなりの手練、正直鈍った私の腕では後れを取るかもしれない。
その予想通り、私は少し後れを取った。
その結果、負傷も余儀なく受けさせられた。
でも、それで大人しく黙っている私ではなかった。


「あーあったまきたー…お前のこと殺してやるよ」


あの二つ名を名乗っていた私はもうここにはいないけれど、それでも今の本気を出す気になった。

結局引き分けのような形になり、相手は逃げ決着はつかなかった。
チャーチに戻り、手当てを受けていると雛森が入ってきた。


「…鈍ったな、人間シュレッダーと呼ばれたお前が」
「…うるさいわね、分かってるわよ」


口調はこれでも、睨む目は相当キツい自信はある。
私と雛森の間柄だから出来ることだ。


「それが治ったら俺と特訓でもするか?」
「冗談じゃないわよ…でもそうね、どうしてもと言うならやってやらなくもないわ」
「成立、じゃーな」


そう言うと雛森は出ていった。


「…確かに、腕を戻さなきゃならないかもしれないわね…」


その背中を見送り、私は呟いたのだった-



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