Messiah

嘉禄(かろく)

Finally shining



それは、ある日の単独任務でのこと。
珍しく国内での任務だった。
涼には言っていないけど、少し厄介な件に巻き込まれていた。
任務、と言えばまだ聞こえはいいが実際今の状況は拉致に近かった。
目覚めると見たことの無い部屋にいた。
周りには誰もいない、たった一人だ。


「…ナイトメアを思い出すな、あの時もこんな感じだった」


そう呟いて動き出すと、鎖の音がした。
右手首に鎖付きの枷がついていた。


「…まじでぽいな」


幸い銃は取られていない。
鎖を撃って枷を外し、部屋の様子をくまなく見る。

特に何も落ちてはいない、監視カメラが一台。
それから俺を見ているかいないかは不明。
ドアは手動性で、簡単に開いた。


「…捕らえる気あんのか」


そう呟いて部屋を出る。
部屋は多そうだが、何も接触して来ない。
このままじゃ普通に出ちまう、と思った時のことだった。
突然馴染みのあるものを感じて立ち止まる。
それを追って進むと、何らかの研究室に辿り着いた。


「…ここで途切れてる。
どうして涼の匂いがする?」


本人はいないみたいだ、という事は涼の匂いの原因があるはず。
そう思って部屋をよくよく見ると、涼の銃が落ちていた。
けど、その銃を見て俺は違和感を覚えた。


「…これ、涼がしまい込んでた銃?
一嶋さんに渡されたものか…?
それがどうしてここに?」


ここに涼がいるのかどうか、確かめなければならない。
そう思って、銃を持って立ち上がり部屋を出ようとした。

けど、出た瞬間に首元に何かが当てられた。
スタンガンだろう、意識が遠のく。
暗くなる視界で、俺は驚きの人物を見た。


「…なん、で…あんたが…」


そこで俺の意識は完全に落ちた。



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