Messiah
To the back two crosses
─彼がその背に背負うのは、二つの十字架
それは、一人で背負うには重すぎる代物である
有明幸樹が命を断ち、数ヶ月が経った。
俺だけは、藤瀬結月の意思と使命と咎を知っていた。
『…頼みがある。
俺の犯した罪と、使命を忘れない為に』
そう言われて差し出されたのは、十字架の焼印だった。
小ぶりだが、片方の肩を覆うには充分な大きさだ。
『…これを押し付けろと?』
『そうだ、二箇所に。
頼むから…』
そんなことをすれば、その後安定するまで痛みに苦しむことになる…いや、安定しても多少なりとも苦しむことは避けられない。
それでも、強い意志を宿した瞳に俺は反論出来なかった。
そして、熱した焼印を左肩に二回押し付けた。
藤瀬の悲鳴に俺は耐えるしか無かった。
あの悲鳴がずっと耳を離れない。
今でも俺は後悔してる。
でも、藤瀬はまだ安定仕切ってない時…包帯を巻かれた左肩が痛々しいながらも起き上がって俺に礼を言ってきた。
『…ありがとう、これで忘れないで済む』
安定したあと、左肩を押さえて藤瀬は任務に出ていった。
無茶だと思う。
まともに動けるはずがない。
それでもあいつを動かすのは…
「その背に背負った、咎と使命か…」
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