Messiah

嘉禄(かろく)

The fledgling disguises himself



『雛森くん、君ウェイターになれますか?』
『…は?』


唐突にそう言われて放り込まれた場所は、ホストクラブだった。
と言っても、俺はキャストではなく黒服だが。
今回の任務内容は、ここの上客であるとある政治家に接触し情報を交換すること…なのはいいんだが…。
さっきから客にかなり声をかけられる。
接客中のホストに客が、


「ねえ、あの黒服のお兄さん名前は?」
「あいつ?最近入った新入りで雛っていうんだ」
「えーかわいー、なのに見た目イケメンてギャップだよねー。
なんか注文しちゃおうかなー」
「まじ?じゃあ呼ぶね、雛ー」


と声をかけ、流れで俺が呼ばれるのが定番と化してきている。
一嶋の言っていたこともあながち間違いではないみたいだ。


『君ならキャストも出来ると思いますがね』
『ごめんだね、俺は機嫌取りも接待もする気ない』
『ターゲットの機嫌を損ねなければ構いませんよ』


黒服の仕事に飽きてきた頃、ターゲットが来店した。
奥の個室に案内をし、ある程度いい気分になってもらったところで俺が接触というのがセオリーだ。

ということで、約一時間半置いてから人払いをして接触した。


「…お待ちしておりました」
「…あら、サクラね貴方」
「よくご存知で」
「一嶋とは懇意にしているから、何かとね。
いつもの情報交換?」
「ええ、このような場で無粋とは思いますが」
「構わないわ、雛森雪なら」


…知っていたか、俺の事。
まあ想定内だけど。
と思いつつ話すのを待っていると、顎を持ち上げられた。


「サクラにしているには惜しいわねぇ」


…この面食いババア、早く帰りたい。
とは言う訳にはいかず、表面上は笑顔で繕う。


「恐れ入ります」
「それで、お望みの情報だけれど…」


やっと本題に入り、なんとか任務を終わらせて帰った。
部屋を出る前に、ガチで夜の交渉されて超めんどくさかった。

百瀬に愚痴ってやる…そう決めてチャーチに帰還した。



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