適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。
6 とりあえず脱獄
自分のスキルが判明し無限の可能性をこの手に掴んだ俺は、終始ご機嫌だった。
何をしていても、何をしていなくても笑顔になってしまう。
というか、このまま何もせずにここにいたら魔物のエサにされちゃうんだけれど。
でもしかし【守り】を上げればケガをしないような気がするけどね。まあ、怖いから試さないけど。
「さて、じゃあまずは外に出よう! せっかく異世界に来たのにいつまでも牢屋の中に居たんじゃ台無しだ。俺の引きこもり生活はもう終わったんだ。もう、あの頃には戻らない! 今からはどんどん外へ外へと飛び出して行こう! 俺は今日からアウトドア派の人間になるんだーっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
「うるせえなっ! 何を1人で騒いでんだ、お前バカかっ⁈ まったく……」
ぬぅ。
看守さんに叱られてしまった。
と言うか、全部口に出していた事に自分でも全く気が付かなった。
かなり浮かれてんな……俺。
看守のおじさんはぶつぶつ言いながら元の位置に戻っていった。
よし。
じゃあ、気を取り直して。
「ステータス」
チキチキチキチキーーーー
【☆】 1
【名前】 ルキア神調整
【LV】 1
【力】 900 901 902……
【守り】 10
【速さ】 8
【賢さ】 0
【運】 5
【スキル】 ーー
・
・
・
・
・
・
「と、こんなもんかな」
俺は力の値をピッタリ900に調整した。
A型だからね、やっぱり。
そして。深呼吸を1つしてからなるべく音が出ないようにゆっくりと鉄格子を広げた。
静かに牢屋の外に出てそして、ぐにゃりと曲がった鉄格子を綺麗に元の真っ直ぐな状態に戻してから、
「ごめんね」
と、鉄格子を優しく撫でた。
そして、【力】の値をとりあえず50にセットしなおしておいた。
鉄格子があれなんだから、人間なんて……ねぇ。
諸々の準備を終えて出口に向かおうと振り返ったまさにその瞬間。
「…………」
「…………」
看守のおじさんと目が合ってしまった。
看守のおじさんは状況が全く理解できていない様子で俺の顔をぼんやりと眺めていて、俺のいた牢屋の中へと視線を移し首を傾げている。
俺は固まってしまっていたが、ある奇策を考えつきすぐに実行した。
俺は鉄格子を両手でガシガシ揺らしながらそして、
「おじさんっ! ねぇ出してよっ! ここから出してよ! 俺、何も悪いことしてないよ! 勝手に呼ばれて勝手に捨てられただけだよ! ねぇ、おじさん出してよっ!」
俺の迫真の演技が功を奏し、看守のおじさんは人差し指を口の前に立てて、
「だから静かにしろっての!」
俺にそう言い捨て踵を返して再び出口の方へと歩いていく。
上手くいくんだ……。
なんでもやってみるもんだな。
まさかの結果に自分でも驚きつつ俺は看守のおじさんの背中を見送った。
何をしていても、何をしていなくても笑顔になってしまう。
というか、このまま何もせずにここにいたら魔物のエサにされちゃうんだけれど。
でもしかし【守り】を上げればケガをしないような気がするけどね。まあ、怖いから試さないけど。
「さて、じゃあまずは外に出よう! せっかく異世界に来たのにいつまでも牢屋の中に居たんじゃ台無しだ。俺の引きこもり生活はもう終わったんだ。もう、あの頃には戻らない! 今からはどんどん外へ外へと飛び出して行こう! 俺は今日からアウトドア派の人間になるんだーっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
「うるせえなっ! 何を1人で騒いでんだ、お前バカかっ⁈ まったく……」
ぬぅ。
看守さんに叱られてしまった。
と言うか、全部口に出していた事に自分でも全く気が付かなった。
かなり浮かれてんな……俺。
看守のおじさんはぶつぶつ言いながら元の位置に戻っていった。
よし。
じゃあ、気を取り直して。
「ステータス」
チキチキチキチキーーーー
【☆】 1
【名前】 ルキア神調整
【LV】 1
【力】 900 901 902……
【守り】 10
【速さ】 8
【賢さ】 0
【運】 5
【スキル】 ーー
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「と、こんなもんかな」
俺は力の値をピッタリ900に調整した。
A型だからね、やっぱり。
そして。深呼吸を1つしてからなるべく音が出ないようにゆっくりと鉄格子を広げた。
静かに牢屋の外に出てそして、ぐにゃりと曲がった鉄格子を綺麗に元の真っ直ぐな状態に戻してから、
「ごめんね」
と、鉄格子を優しく撫でた。
そして、【力】の値をとりあえず50にセットしなおしておいた。
鉄格子があれなんだから、人間なんて……ねぇ。
諸々の準備を終えて出口に向かおうと振り返ったまさにその瞬間。
「…………」
「…………」
看守のおじさんと目が合ってしまった。
看守のおじさんは状況が全く理解できていない様子で俺の顔をぼんやりと眺めていて、俺のいた牢屋の中へと視線を移し首を傾げている。
俺は固まってしまっていたが、ある奇策を考えつきすぐに実行した。
俺は鉄格子を両手でガシガシ揺らしながらそして、
「おじさんっ! ねぇ出してよっ! ここから出してよ! 俺、何も悪いことしてないよ! 勝手に呼ばれて勝手に捨てられただけだよ! ねぇ、おじさん出してよっ!」
俺の迫真の演技が功を奏し、看守のおじさんは人差し指を口の前に立てて、
「だから静かにしろっての!」
俺にそう言い捨て踵を返して再び出口の方へと歩いていく。
上手くいくんだ……。
なんでもやってみるもんだな。
まさかの結果に自分でも驚きつつ俺は看守のおじさんの背中を見送った。
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