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ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第44話 ぷかぷか孤島とエルフ②

『ルーーーーっ!』


 勝鬨を上げるルーちゃん。その下にはさっきまで俺を殺そうとしていたエルフ3人が下敷きになっている。


 俺は頭を抱えるしかなかった。


「どうしてこうなった」


「ワンワンっ!」


 スーちゃんが何を言っているのか分からないけど多分慰めてくれてるのだろう。ありがとう。俺はスーちゃんをもふもふする。
 すると勝鬨を上げていたルーちゃんもぴょんぴょん跳ねてこっちへ来る。ルーちゃんも撫でて欲しいのか? ほら、よしよし。


「スーちゃんは私の方が強いって言ってる」


「しっ! こらヤミ、ご主人様に追い打ちをかけるのは良くないですよ」


「しかし、たまげたでござる。ルプル殿がここまで強いとは。あの3人なら海竜にかすり傷位は付けれるのではなかろうか?」


「・・・微妙なところ。陸での勝負は海竜の土俵じゃないし」


「そうですね。まぁ、人族の中ではかなりの手練でしたね」


 シャルル達がなんか喋ってるけど無視だ!無視! 俺はスーちゃんとルーちゃんをあまやかすんだいっ!


「な、なんだっ! あのスライムは! Aランク冒険者のジュピターを無傷で倒すなんて、、、」


「まさかここまで私の仲間が圧倒されるとは、、、」


 ムキハゲともやしもなんかAとかなんとか言ってる。何の話だよ。そこにシャルルが説明を入れてくれる。


「ランクとは冒険者の優秀さを表すものです。ギルドカードの色で見分けがつきます。ちなみに私達はEランク。上限はなく今この世界にいる最高ランクはSSランクですね。」


 へー、まぁ1ヶ月しか居ないんだしどうでもいいけどさ。


『ルーっ! ルーっ!』


 おっと、撫でる手が止まっていたらルーちゃんにぷよんぷよんと催促された。よしよし。可愛いなぁ、、、


 俺がスーちゃんとルーちゃんを愛で始めて数分経つと、周りで目を擦ったり互いの頬を引っぱたいたり抓ったりしていたキチガイ冒険者達が次第にざわつき始める。
 多分スーちゃんとルーちゃんの可愛さを語り合っているのであろう。是非とも俺も参加したい!


「ハールーさーまー!」


 ん? この声は、、、 あっ不味い、不味いですよっ! この展開はもしかして。


「大丈夫ですかっ!? 怪我してませんか!? 『聖女様』を怪我させたら私がただじゃおきませんからね!」


 リタがそう言って腕をブンブンと回す。


 いや、ほんとに。ほんとに辞めてくれ。俺職業聖女じゃないよ? 聖女って書いてあるけど。ニートだよ?


「せ、聖女だって? あいつらは聖女に楯突いたのか! 許せねぇ!!」


「そうよっ! 聖女はヴァルキリーと並んで私たちの旅の途中での目の保養なのよっ!」


「違ぇだろ! 聖女っつーのは精霊と特別仲がいいから怒らせちゃいけねぇんだよ! 精霊の怒りは自然の怒りとそっくりそのまんま同じだからな!」


 なんで男の方が正しいこと言って女の方が色気に惑わされてんの? おかしくね?


 でもまぁ確かに精霊とは仲良かったよ。全員妖精になっちゃったけど。というかここには精霊1匹もいないからそんな怒りかわないと思うよ?


 そんな冒険者達のやり取りを見ていると後ろからズドン!という重ーい音が聞こえた。振り向くとそこには地面が陥没するくらい頭を思いっきり地面に叩きつけたもやしの姿があった。


「ほんとーーっに、申し訳ないっ! 聖女様っ! どうかっ! どうかっ! こいつらを許してやってください! お願いします!」
 

 なんだなんだ? 聖女ってそんなに凄いの? まぁ俺ニートだけど。その事伝えるか。女の子のフリして。


「いや、私聖女じゃありませんよ? ニートですよ?」


 俺はこてんと首を傾けながらできるだけ猫を被った声で話す。多分鏡で自分の今の姿をやったら恥ずかしくて顔から火が出ると思う。


「に、ニート? なんですか? その職業は?」


 え? でも昨日シャルルが言ったときはみんな分かってたみたいだよ?


 するとムキハゲが口を開く。


「俺も分からなかったんだ。ほかの連中も全く分かんなかった見てぇだしな。みんなはぁ?って感じの微妙な顔で見てたんだぞ。そういやリタはなんか舞い上がってたな! まぁアイツは珍しい職業のやつが好きだからそれでだろ」


 えっ? でもリタは知ってたよね? 真っ白だって言ってたし。俺はリタの方に目を向ける。するとそこにはダラダラと汗を流すリタの姿が。


 その姿を見た瞬間俺はピンっと来た。
 あっ、リタって転生者だ。って。


「なぁ、リタって転せ、むがぁっ!」


 俺がその事実を口にしようとした瞬間リタが俺の口を押さえつけた。


「リタっ! お前なんてことをっ!」


 ムキハゲがリタに怒鳴りつける。しかしリタは手を退けようとしない。えっ? 転生者ってことそんなにバレたくないの? 
 俺が元凶のシャルルの方を見るとヤミと一緒にお腹を抱えて笑ってる。半蔵はポカーンとした表情で佇んでいるだけだった。


 あっ、これシャルルがリタのこと嵌めたんだな。


「だ、だめですよぉ! それ言っちゃうと私徴兵されちゃうんです! 私、戦いたくありません! だから黙っててくださいっ! おねがいしますぅ」


 リタが涙目で俺に囁いてくる。まぁ、確かに戦争に出向くのは嫌だよな。分かるよ。だから俺も了承の意を込めて頷いた。今しかないよな?


 するとリタは安心したようにふーっと息を吐き出して口から手を離す。


 俺は思いっきり息を吸い込む。


「リタは転生者でーーーーすっ!! サラバだー!」


 俺はリタを脇に抱えて大きくなったスーちゃんに跨りその場から逃げ出す。もちろんルーちゃんも乗っている。俺はみんなに隠滅をかける。


「なっ! ご主人様! お待ちなさいっ!!!」


「主殿!」


「主、ダメっ!」


 腹を抱えて笑っていたシャルルとヤミ、そして気を抜いていた半蔵は俺の突然の動きについて来れなかった。


「ふははぁーー! スーちゃんに追いつけるものなら追いついてみろやーいっ!」


 流石の3人でもスーちゃんに足でかなうものはいない。俺達はシャルル達を引き離し漁港にたどり着くことが出来た。


「ふっふっふー! この時のために開発していた魔法があるのだぁ!」


 俺はその魔法をスーちゃんにかける。効果は簡単。液体の上を走れるようになる魔法だ。スーちゃんにはルーちゃんを通して予め効果は伝えてある。


「スーちゃん!GO!」


「わふーん!!」


 スーちゃんはひと鳴きすると海の上を走り出す。


「よっしゃぁー! これで島に帰れるぞぉー!」


 俺がバリバリテンション上がっているなかリタは気絶していたが、その事に気がつくのは島に着いてからだった。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「やられましたわね」


「そうでござるな」


「悔しい」


 シャルル達は漁港で海を眺めながら呟いた。


「まぁ、直ぐに帰ってくることになるでしょうがね」


「・・・ほんと主殿は可哀想な運命にあるでござるな」


「分かる」


 シャルルがニコニコとしているのに半蔵とヤミは気の毒そうな顔をしている。


「とりあえず後始末からです。まずは冒険者の記憶の1部分を消しましょうか」


「そうでござるな」


「わたし、そういうの苦手。パス」
 

「ならヤミにはこの仕事を頼みますよ」


 シャルルはそういってとあるものを渡した。


「分かった。これは任せて。得意」


「では半蔵。行きますよ」


「了解でござる」


 そういうと3人はそれぞれ姿を晦ましたのであった。

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