ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第33話 ぷかぷか孤島とガチャ!ガチャ!ガチャ!

 島に訪れていた危機が去ったことにより、すっごい暇になった。やることがなくなったといった方が正しいのかもしれない。


 「マスター、そんなにだらけてたら牛になりますよ!」


 「それって飯食った後に寝てたらいう言葉じゃないの?」


 俺のツッコミが気に入らなかったらしく、ディアンヌは頬を膨らませた。


 「なら言い方を変えましょう。牧場にぶち込みますよ!」


 「トラウマが蘇るからそれだけは勘弁してください」


 あの時のアイネとディースの怒り具合は今でも夢に出てくるほどだ。前も言ったけど出荷って呟かれた時は死を覚悟した。


 「んー、なら、、、温泉をつくりましょう!温泉!」


 はぁ? いきなり何言い出すんだこいつ?


 「でも、マスターもそろそろお風呂入りたくありません? 濡らした布で体を拭く生活からおさらばしたくはありませんか?」


 「た、確かにお風呂に浸かりたいって気持ちはあるけどさぁ、俺から温泉が湧くわけないじゃん? こんな小さな島に湯脈なんてなさそうだし」


 俺がそう言うとディアンヌがふっふっふっと笑った。


 「マスター! マーシーの存在を忘れてはいけません! マーシーから湯脈も売っているに違いありません!!」


 おぉ! なるほど! こりゃ盲点だった! 実際俺も久しぶりにお風呂に入りたいし早速マーシーの所へ行こう!!


 「はぁ? 湯脈? そんなの売ってねぇぞ。俺が売れるのはこの島にある施設と建物のマナ変換の変換範囲内だけだ。鉱脈なんか普通はマナ変換で呼び出せるもんじゃねぇよ」


 ダメだった。期待していた分落胆が凄かった。
 

 「あーー! わかったよ! 何とかしてやるからそんなしょぼくれんなよ!」


 「「やったーー!」」


 「現金なやつだな、お前らは」


 マーシーがやれやれと言ったふうに首を横に振った。


 「まぁ、俺は今からそのためにやることがあるから外すぜ」


 そういってマーシーは俺達の居住区の方へと飛んで行った。


 「やりましたね! マスター! これで温泉に入れますよ!」


 「正直俺はただのお風呂でもいいんだけどな」


 「何を言ってるんですか!! 温泉とお風呂じゃ疲れの落ち方が全く違うんですよ!!! それにこのマナの溢れる島の温泉となると、、、うへへぇ」


 なんだこいつ気持ち悪いな! ディアンヌは置いといて、確かに崖の上とかに温泉を設置して、そこから水平線に沈んでいく太陽を一望出来たら最高だよね! うんうん! 夢が広がるね!


 そんな妄想をしていた俺達の所にマーシーとルージュがやってきた。


 「おーい、一応湯脈は入手可能になったぞー。ただな、、、」


 「「やったーー!」」


 「おい、お前ら人の話を聞け」


 俺達が温泉への喜びに浸っていたところに水をさしてくるマーシー。


 「ただで、湯脈が手に入ると思ってるんじゃあないだろうな」


 「おう! でいくらなんだ?」


 「いくらかは運次第だな」


 「えっ?」


 ま、まさか。そ、そんなわけないよな? 
 

 「はーい! そこからは私が説明しまーす!」


 そう言って手を上げたのはルージュだった。


 「今回、湯脈を入手するにあたってマーシーの能力では入手出来ませんでした。そこで、私とマーシーの合同で湯脈をゲット出来るように設定しました! 
 その名も湯脈ガチャ! 1000MPお買い上げにつき1回引けます! あっ、ちなみにガチャの中身に上限はないんで引けない時はなんど引いても引けません!」


 で、出たぁぁぁぁ!! ガチャ! ガチャですよ! 爆死不可避! 業が深い!!


 俺は恐る恐る尋ねる。


 「それって湯脈はなん等? 確率どのくらい?」


 「特賞ですよ! 確率は1000回に1回でるか出ないかぐらいですね!」


 ごっ、ごふぅ! 確率0.1%・・・!


 「ちなみに他の景品もお風呂に関するものですので引いてそんはありません!」


 確かに序盤は有難いよ? でもさ、桶が100個とか来たらどうすんの? 邪魔なだけじゃん! 木製なら薪として使えるかもしんないけどさ、プラスチックだったらどうすんだよ!
 

 い、いや! ダメだ! 弱気になったら負けなんだ! まだ希望はある! 


 「じゃあ早速、、、」


 俺は震える手で野菜盛り合わせを3000MPと交換する。


 「毎度! そんじゃ湯脈ガチャ3回まわしていいぜ!」


 ガラガラー ポンッ!
 10等の桶でーす。


 ガラガラー ポンッ!
 10等の桶でーす。


 ガラガラー ポンッ!
 9等の石鹸でーす。


 ちなみにこれは効果音などではない。全部口でルージュが言っている。
  

 「ぬぁぁぁぁ! やっぱりダメだァァァ!」


 「おいおい! まだ3回しか引いてねぇんだぞ?そんなんで諦めてどうすんだよ!」


 そ、そうだった! 俺にはまだまだMPがある! ここで終わる訳には!!!


 













 「な、なぁ。だ、大丈夫か? 」


 「うぅうぅぅぅあぁぁぁ」


 「だ、ダメだこりゃ」


 俺は全てのMPを使い果たした。累計250回は引いているだろう。


 結果は桶99個、石鹸30個、タオル30枚、バスタオル30枚、リンスインシャンプー40本、コーヒー牛乳20ダース、マッサージチェアー1台、、、


 大爆死、、、ぐはぁ、、、


 「ま、まぁ試行回数千回いってませんしねー。妥当な結果ですよ、ご主人様!」


 いや、分かってる。そんなこと分かってるんだけどやっぱり自分の持ってるもの全部注ぎ込んで最高が3等だなんて、、、 うぐぅ、、、


 そして、爆死で傷んだ俺の心に死体蹴りをかましてくるのはディアンヌである。 
 

 「なにやってるんですか! ちゃんと当てて下さいよぉ!!!」


 うぅ、俺だって当てたかったさ! でも、もう無理なんだよ、、、!


 そのとき、俺の腹の奥からなにか暖かいものが湧き出るのを感じる。


 「こ、これは! はっ、ハハ! すげぇぜ! こいつ! 妖気をマナに変えやがった!!」


 「えっ!? それってご主人様は大丈夫なんですか!?」


 「平気だよ、妖気も使えば使うほど上限が上がるんだ。悪いこたァねえよ!」


 俺は!俺は!! 湯脈を引くんだ!! この手で! 絶対に! 


 俺の体には妖気を変換して入手したMP10000がある! 俺はこの10連で引くんだ!!






























 「あぁぁぁぁううぅぅうあぁぁぁ!」


 「まぁ、そんな上手くいくわけねぇよなぁ」


 「いつものご主人様で安心しました!」


 「マスター! 私は感動しました! マスターがこれほど湯脈への思いを持っているだなんて!!! いいんです! 明日! 明日こそ頑張りましょう!」


 「あぁぁぁぁううぅぅうぁぁぁ」


 「ちょっとぉぉぉ!! あんたら私たちの夕食のための妖気もマナも全部使い果たすってどういうことよ!!!!」


 その夜の夕飯はとんでもなく豪勢なのにお通夜モードだったのは言うまでもない。
 



 


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