ぷかぷか孤島になっちゃった?
第23話 アイツの帰還2
 突然俺のスキルで作り出した空間を破壊してやってきたディースは青髪と勇者に罵詈雑言を浴びせられた。 
 「あ、あれは! 六勇神が悪しきものを相手にしている時裏切ったとされる邪神、ディース!!」
 「あぁ、俺もこの国に来てから何回か本で読んだことあるぜ。悪しきものに凄まじい加護を与え、他の神々を苦戦させたと言われる、邪神!」
 まぁ、やってる事としてはあながち間違っていないのが辛いところなのだが。
 「ち、違いますよう! 私だってわざとやったわけじゃ、、、」
 「黙りなさい! あなたはこの世界に存在してはいけない者なのよ!」
 ディースの言い分を聞くつもりもない青髪と勇者。というかディースへの認識が種族によって全く違うのはなんなのだろうか。アイネとリーフィアは邪神だと決めつけていた。だが、ムガルなどドワーフ達は確か七勇神と認めていたはずだ。一体この2つの派閥の間に何の違いがあるのだろうか。
 まぁ、そんなこと今はどうでもいいか。
 「ううっ、うっ、うう。」
 島民が訳の分からん侵入者どもに泣かされてんだ。他のこたぁ今はどうだっていい。
 「おい、お前。俺の住民がなんだって?」 
 「あっ、、、あうっ、、、あぁ、、、」
 青髪はさっきまでの態度と一変して、口からヨダレを垂らし目はまるで焦点が定まっておらず、ビクッビクッと痙攣もしている。勇者も同様である。
 「す、すまん、、、ちと殺気を抑えては貰えんかのぉ? い、息苦しくてたまらん故な、、、」
 その声の主は白いあご髭をたんまりと蓄え、真っ黒なローブに身を包んでいる老人がいた。その僅かな隙間から見える顔にはびっしょりと汗をかいていた。
 
 「殺気? 俺には心当たりなどないんだが。というよりお前は誰だ?」
 「わしは海竜じゃよ。ほれ、さっきまでおったウミヘビのような体が消えとるじゃろう? この姿になったのは降伏の意を表すんじゃ。この体じゃ魔法ぐらいしか打つ手がないのでのう。」
 そこまでいうと海竜と名乗る老人は肩で息をして座り込んでしまった。
 「ハルさん、ハルさん! 私のために怒ってくれるのは嬉しいんですけどもう少し落ち着いて! こういう時は深呼吸です!」
 ディースは涙目のまま、俺に笑いかける。そして俺に深呼吸を強要してくる。
 「吸ってー」 
 「いや、別に、、、うっ!」
  
 ディースは無言で俺の腹にパンチを入れてきた。なんなの? 腹パンブームなの?
 「吸ってーー!」
 「スーーっ」
 従うしかなかった。だってディースの顔が今まで見た中で1番怖かったんだもん。思わず痙攣して口からヨダレを垂らしかけた。あぶないあぶない。   
 「吐いてー!」
  
 「はーーっ。」
 そんなこんなで深呼吸を続けていると老人が立ち上がりディースに礼をした。
 「すまぬの七勇神が1柱、慈愛の神ディース。恩に着るぞい。そして、我が盟友達がそなたに許されざる無礼を働いたようじゃ。誠に申し訳ない。この罪はどうか、ワシの右腕とあ奴らの命で勘弁していただきたい。」
 そう言われるとディースは首をフリフリして断る。
 「だ、ダメですよ! そんな命とか自分の体を粗末にしちゃ! 良いですから! 許しますから!」
 まぁ、ディースが許しても俺は許すつもりないけどね。
 「ハルさん! ダメですよ!」
 あっ!また心読まれた!
 「ほっほっほっ。そなたの感情は表に出やすくて面白いのぉ。それよりあの濃密な殺気。ワシでさえぶっ倒れそうになったわい! 内包している力が半端ない証拠じゃの。あと、決闘の時の手加減に感謝するぞい。その武器ならワシの首など一瞬でチョンパじゃろうよ。」
 「そうですね、確かにその武器は凄まじいです。まるでグランドドワーフの作品みたいです!」
 ドワーフはドワーフでもグランドドワーフってなんぞや?うちにいるのは普通のドワーフだけだぞ?
 「おお、そんなに自分の作った武器が褒められたんならムガル達もさぞ喜ぶだろうなぁ!」
 するとディースと海竜の二人とも目が点になっていた。
 「えっ? ムガルさん達がこれを? 確かムガルさんって王様だとか言ってましたよね?も、も、もしかして! というより確定です! 私のことを七勇神って呼んでましたし確定です!! 凄い! 凄いですよ! ハルさん!」 
 俺の手を握ってぴょんぴょん跳ねているディース。もしルージュなら、、、おっと、どっかから殺気が飛んできている。止めておこう。
 それはともかく俺にはなにが凄いのか俺には全く分からない。そんな俺の心を読みディースは説明してくれる。
 「グランドドワーフというのはですね! ドワーフ族のなかでもかなり長生きする種族のことで別名、半神とも呼ばれています。余裕で1万年とか生きますからね。 
 そして、やはり亀の甲より年の功というようにドワーフの中でもあらゆる能力が高いです。
 特に鍛冶のことになるとグランドドワーフを上回るのは鍛冶神のみなんじゃないでしょうか? そしてなにを隠そう!ムガルさん達はきっとそのグランドドワーフと呼ばれる人達なんです!」
 「うん、よくわかんないけど凄いのは分かった。」
 「分かっていませんね!」
 ディースは頬をぷくーっと膨らませて怒っている。
 「ム、ムガルと言ったな? あいつはお前の島におるのか?」
 「あぁ、いるけどどうしたんだ?」
 そう答えると老人は急に笑いだした。
 「ほっほっほっ! 遂にあのバカも隠居生活か! 死ぬまで現役じゃ! とか言ってたあのバカがか!」
 なんか海竜さん盛大に勘違いしてません? 隠居するようになったの、あんたらのせいですよ?
 「いや、隠居というよりは逃げてきたというのが正しいですね。ブリクストに攻められて迎え撃つのも億劫なので逃げてきたらしいです。」
 ディースがその事を告げると海竜は固まった。
 「な、なんじゃと? ブリクストがドワーフの国を襲ったじゃと? ム、ムガルの国をか?」
 「あぁ、そんなこと言ってたな。」
 海竜はそれを聞くとプルプルと震えだした。怒りで、だ。それは俺にも分かる。ムガルのことを話していた海竜はとても楽しそうだったことから友人だったのだろう。そんなムガルの治める国を自分と関わりのある国が攻め滅ぼしてしまった。悔やんでも悔やみきれない。攻め込んだブリクストに、それを勘づくことすら出来なかった自分への怒りが収まらないんだろう。
 やがて海竜は重い口を開けた。
 「どうやら、ワシの恩返しもここまでのようじゃの。巫女よ。」
 巫女はまだ気絶したままヨダレを垂らしているので返事など帰ってくるはずもない。
 「命を救ってくれたお主らの先祖には感謝しとる。あの者がいなければワシは今ここにはおらんかったじゃろう。だが、その恩返しもここまでじゃ。契約は破棄された。」
 そう言うと海竜の体にビッシリの巻きついている鎖が現れ、それは一瞬のうちに崩れ去った。
 「予言のスキルは残しといてやる。だがもう二度と海竜の巫女の名を名乗ってくれるな。」
 そう言うとそこにあった戦艦5隻は一瞬にして消えた。
 「スマンの。あいつらはブリクストに送り返した。これがワシの最後の恩返しじゃ。それが許せないなら、、、ほれ、わしの首取ったらええ。」
 取れるわけがなかった。取りたいとも思えなかった。ずるい。俺の怒りは全てこの一瞬霧散してしまった。自分を受けた恩で縛り付けながら生きてきた海竜。そんなやつの首を取れるわけがなかった。
 「いいよ。そんなの貰ったところで嬉しくない。」
 「良いのか? わしの素材は自分で言うのもあれだがかなりの金になるぞ?」
 「金なんかいらねぇよ。それよりうちの島来るか? と言うより来い。色々聞かせてもらいたい。」
 勿論、なにも聞かせてもらうことなどない。ただ合わせてやりたかった。ムガルが今ここでなにをやっているのかを。
 「あ、あれは! 六勇神が悪しきものを相手にしている時裏切ったとされる邪神、ディース!!」
 「あぁ、俺もこの国に来てから何回か本で読んだことあるぜ。悪しきものに凄まじい加護を与え、他の神々を苦戦させたと言われる、邪神!」
 まぁ、やってる事としてはあながち間違っていないのが辛いところなのだが。
 「ち、違いますよう! 私だってわざとやったわけじゃ、、、」
 「黙りなさい! あなたはこの世界に存在してはいけない者なのよ!」
 ディースの言い分を聞くつもりもない青髪と勇者。というかディースへの認識が種族によって全く違うのはなんなのだろうか。アイネとリーフィアは邪神だと決めつけていた。だが、ムガルなどドワーフ達は確か七勇神と認めていたはずだ。一体この2つの派閥の間に何の違いがあるのだろうか。
 まぁ、そんなこと今はどうでもいいか。
 「ううっ、うっ、うう。」
 島民が訳の分からん侵入者どもに泣かされてんだ。他のこたぁ今はどうだっていい。
 「おい、お前。俺の住民がなんだって?」 
 「あっ、、、あうっ、、、あぁ、、、」
 青髪はさっきまでの態度と一変して、口からヨダレを垂らし目はまるで焦点が定まっておらず、ビクッビクッと痙攣もしている。勇者も同様である。
 「す、すまん、、、ちと殺気を抑えては貰えんかのぉ? い、息苦しくてたまらん故な、、、」
 その声の主は白いあご髭をたんまりと蓄え、真っ黒なローブに身を包んでいる老人がいた。その僅かな隙間から見える顔にはびっしょりと汗をかいていた。
 
 「殺気? 俺には心当たりなどないんだが。というよりお前は誰だ?」
 「わしは海竜じゃよ。ほれ、さっきまでおったウミヘビのような体が消えとるじゃろう? この姿になったのは降伏の意を表すんじゃ。この体じゃ魔法ぐらいしか打つ手がないのでのう。」
 そこまでいうと海竜と名乗る老人は肩で息をして座り込んでしまった。
 「ハルさん、ハルさん! 私のために怒ってくれるのは嬉しいんですけどもう少し落ち着いて! こういう時は深呼吸です!」
 ディースは涙目のまま、俺に笑いかける。そして俺に深呼吸を強要してくる。
 「吸ってー」 
 「いや、別に、、、うっ!」
  
 ディースは無言で俺の腹にパンチを入れてきた。なんなの? 腹パンブームなの?
 「吸ってーー!」
 「スーーっ」
 従うしかなかった。だってディースの顔が今まで見た中で1番怖かったんだもん。思わず痙攣して口からヨダレを垂らしかけた。あぶないあぶない。   
 「吐いてー!」
  
 「はーーっ。」
 そんなこんなで深呼吸を続けていると老人が立ち上がりディースに礼をした。
 「すまぬの七勇神が1柱、慈愛の神ディース。恩に着るぞい。そして、我が盟友達がそなたに許されざる無礼を働いたようじゃ。誠に申し訳ない。この罪はどうか、ワシの右腕とあ奴らの命で勘弁していただきたい。」
 そう言われるとディースは首をフリフリして断る。
 「だ、ダメですよ! そんな命とか自分の体を粗末にしちゃ! 良いですから! 許しますから!」
 まぁ、ディースが許しても俺は許すつもりないけどね。
 「ハルさん! ダメですよ!」
 あっ!また心読まれた!
 「ほっほっほっ。そなたの感情は表に出やすくて面白いのぉ。それよりあの濃密な殺気。ワシでさえぶっ倒れそうになったわい! 内包している力が半端ない証拠じゃの。あと、決闘の時の手加減に感謝するぞい。その武器ならワシの首など一瞬でチョンパじゃろうよ。」
 「そうですね、確かにその武器は凄まじいです。まるでグランドドワーフの作品みたいです!」
 ドワーフはドワーフでもグランドドワーフってなんぞや?うちにいるのは普通のドワーフだけだぞ?
 「おお、そんなに自分の作った武器が褒められたんならムガル達もさぞ喜ぶだろうなぁ!」
 するとディースと海竜の二人とも目が点になっていた。
 「えっ? ムガルさん達がこれを? 確かムガルさんって王様だとか言ってましたよね?も、も、もしかして! というより確定です! 私のことを七勇神って呼んでましたし確定です!! 凄い! 凄いですよ! ハルさん!」 
 俺の手を握ってぴょんぴょん跳ねているディース。もしルージュなら、、、おっと、どっかから殺気が飛んできている。止めておこう。
 それはともかく俺にはなにが凄いのか俺には全く分からない。そんな俺の心を読みディースは説明してくれる。
 「グランドドワーフというのはですね! ドワーフ族のなかでもかなり長生きする種族のことで別名、半神とも呼ばれています。余裕で1万年とか生きますからね。 
 そして、やはり亀の甲より年の功というようにドワーフの中でもあらゆる能力が高いです。
 特に鍛冶のことになるとグランドドワーフを上回るのは鍛冶神のみなんじゃないでしょうか? そしてなにを隠そう!ムガルさん達はきっとそのグランドドワーフと呼ばれる人達なんです!」
 「うん、よくわかんないけど凄いのは分かった。」
 「分かっていませんね!」
 ディースは頬をぷくーっと膨らませて怒っている。
 「ム、ムガルと言ったな? あいつはお前の島におるのか?」
 「あぁ、いるけどどうしたんだ?」
 そう答えると老人は急に笑いだした。
 「ほっほっほっ! 遂にあのバカも隠居生活か! 死ぬまで現役じゃ! とか言ってたあのバカがか!」
 なんか海竜さん盛大に勘違いしてません? 隠居するようになったの、あんたらのせいですよ?
 「いや、隠居というよりは逃げてきたというのが正しいですね。ブリクストに攻められて迎え撃つのも億劫なので逃げてきたらしいです。」
 ディースがその事を告げると海竜は固まった。
 「な、なんじゃと? ブリクストがドワーフの国を襲ったじゃと? ム、ムガルの国をか?」
 「あぁ、そんなこと言ってたな。」
 海竜はそれを聞くとプルプルと震えだした。怒りで、だ。それは俺にも分かる。ムガルのことを話していた海竜はとても楽しそうだったことから友人だったのだろう。そんなムガルの治める国を自分と関わりのある国が攻め滅ぼしてしまった。悔やんでも悔やみきれない。攻め込んだブリクストに、それを勘づくことすら出来なかった自分への怒りが収まらないんだろう。
 やがて海竜は重い口を開けた。
 「どうやら、ワシの恩返しもここまでのようじゃの。巫女よ。」
 巫女はまだ気絶したままヨダレを垂らしているので返事など帰ってくるはずもない。
 「命を救ってくれたお主らの先祖には感謝しとる。あの者がいなければワシは今ここにはおらんかったじゃろう。だが、その恩返しもここまでじゃ。契約は破棄された。」
 そう言うと海竜の体にビッシリの巻きついている鎖が現れ、それは一瞬のうちに崩れ去った。
 「予言のスキルは残しといてやる。だがもう二度と海竜の巫女の名を名乗ってくれるな。」
 そう言うとそこにあった戦艦5隻は一瞬にして消えた。
 「スマンの。あいつらはブリクストに送り返した。これがワシの最後の恩返しじゃ。それが許せないなら、、、ほれ、わしの首取ったらええ。」
 取れるわけがなかった。取りたいとも思えなかった。ずるい。俺の怒りは全てこの一瞬霧散してしまった。自分を受けた恩で縛り付けながら生きてきた海竜。そんなやつの首を取れるわけがなかった。
 「いいよ。そんなの貰ったところで嬉しくない。」
 「良いのか? わしの素材は自分で言うのもあれだがかなりの金になるぞ?」
 「金なんかいらねぇよ。それよりうちの島来るか? と言うより来い。色々聞かせてもらいたい。」
 勿論、なにも聞かせてもらうことなどない。ただ合わせてやりたかった。ムガルが今ここでなにをやっているのかを。
「ファンタジー」の人気作品
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