異能学園のアークホルダー
エピローグ 4
もう一つのエピローグ
ここは第三アークアカデミア。まだ桜が春の輝きを残す学園前を一人の女子生徒が走っていた。
「しまったぁああ! 時間がやばいぃいい!」
慌ただしい表情で大声を出しながら姫宮詩音はただいまアークアカデミアに向け激走中。綺麗な髪が宙に流れるが本人は焦っていた。
「どうしてしまったんだ姫宮詩音! お前はそんなやつだったのかい? どうして遅刻しそうなんだよ昨日の深夜にアイドルアニメ見てただけなのに。あーたいへんだぁ!」
刻々と時間は進んでいく。時計に目をやれば長針が今度は負けぬとばかりに姫宮を急かしてくる。時間は残りわずか。もう無理だ。
「はあ、駄目だ。間に合う可能性なんてないのかも~」
弱音を吐いた、その瞬間だった。
「そんなことはない!」
「なにやつ!?」
突然頭上から聞こえてきた声に顔を上げてみた。
そこには太陽の光を背に、学園の塀の上に立つ信也が姫宮を見つめていたのだ。
「人間に可能性はある! 俺が証明してみせる!」
「どうしてそんな場所に立ってるの?」
「とう!」
信也は跳び降り姫宮の隣に着地した。一緒に正門へと走り出す。
「この時間でも間に合うということを、この俺が証明するんだ! どうかな姫宮? 俺いい感じ? 俺輝いてる? 俺可能性に満ち溢れてる?」
「遅いよ信也君! 激おそだよ!」
可能性を証明しようと現れた信也だが姫宮はすでに先を走っていた。
「なんで私よりも遅いのに出てきたの!?」
「出来ると思ったんだぁああ! 俺でも証明できると思ったんだぁああ!」
「ぜんぜん出来てないよ、わたしの方が可能性を感じるよ!」
「はあ、待ってくれ姫宮、はあ、疲れた」
「信也君なにしに来たの!?」
そうこうして二人は正門にたどり着いた。時刻はぎりぎりセーフ。姫宮はピンピンしているが信也は両膝に手を置いて呼吸していた。
「早くしないと遅刻しちゃうよ信也君! 早く早く!」
「はあ、はあ、ちょっと待ってくれ……」
姫宮が急かしてくるが信也はぐったりだ。凡人すぎる。
「もう、ぜんぜん証明できてないよぉ!」
「分かった、すぐ行く。すぐ行くから」
信也はなんとか起き上がった。可能性を証明するのはここからだ。
しかし、そんな二人に声が聞こえてきた。
「さっさとしろよランクFが」
険悪な声だ。見れば数人の男たちが誰かを囲っていた。
「や、やめてください」
「ああ? 誰にもの言ってんだ、俺はランクDだぞ? お前よりも上なんだよ」
囲っている一人の男が言う。それに合わせて他の人たちもそうだと合わせ笑っていた。
ランクの優越に浸り、自分よりもランクが下の者を蔑む。
そして、誰かが言うのだ。
「ランクFに可能性なんてないんだよ、諦めるんだな!」
彼らの高笑いが広がる。
「そんなことはない!」
しかし、断言がその笑い声を引き裂いた。
その声に皆が注目する。
神崎信也は、まっすぐな目で彼らを睨みつけていた。
「人間には可能性がある! ランクなんて関係ない!」
たとえ誰が見て見ぬふりをしても。たとえ誰もが諦めたとしても。
神崎信也は諦めない。
「俺が証明してみせる! 俺はランクA異能『平行世界・自己投影発動!』」
アークアカデミアはランク至上主義の学園だ。ランクが絶対の学校だ。そこで異を唱えるのはイレギュラー、神崎信也。
自分の理想に向かって、今日も彼は突き進む。
「俺は、絶対に諦めない!」
諦めなければ道は開ける。自分を信じる心、人間の可能性。
神崎信也の夢は、まだ始まったばかりだ。
ロウランクの冷遇に屈した敗者よ歓喜するといい。
生まれつきの才能に絶望する弱者よ喝采するといい。
ランク至上主義の終わりの時だ。
これは、『平凡なランクA』が時代を変える物語――
ここは第三アークアカデミア。まだ桜が春の輝きを残す学園前を一人の女子生徒が走っていた。
「しまったぁああ! 時間がやばいぃいい!」
慌ただしい表情で大声を出しながら姫宮詩音はただいまアークアカデミアに向け激走中。綺麗な髪が宙に流れるが本人は焦っていた。
「どうしてしまったんだ姫宮詩音! お前はそんなやつだったのかい? どうして遅刻しそうなんだよ昨日の深夜にアイドルアニメ見てただけなのに。あーたいへんだぁ!」
刻々と時間は進んでいく。時計に目をやれば長針が今度は負けぬとばかりに姫宮を急かしてくる。時間は残りわずか。もう無理だ。
「はあ、駄目だ。間に合う可能性なんてないのかも~」
弱音を吐いた、その瞬間だった。
「そんなことはない!」
「なにやつ!?」
突然頭上から聞こえてきた声に顔を上げてみた。
そこには太陽の光を背に、学園の塀の上に立つ信也が姫宮を見つめていたのだ。
「人間に可能性はある! 俺が証明してみせる!」
「どうしてそんな場所に立ってるの?」
「とう!」
信也は跳び降り姫宮の隣に着地した。一緒に正門へと走り出す。
「この時間でも間に合うということを、この俺が証明するんだ! どうかな姫宮? 俺いい感じ? 俺輝いてる? 俺可能性に満ち溢れてる?」
「遅いよ信也君! 激おそだよ!」
可能性を証明しようと現れた信也だが姫宮はすでに先を走っていた。
「なんで私よりも遅いのに出てきたの!?」
「出来ると思ったんだぁああ! 俺でも証明できると思ったんだぁああ!」
「ぜんぜん出来てないよ、わたしの方が可能性を感じるよ!」
「はあ、待ってくれ姫宮、はあ、疲れた」
「信也君なにしに来たの!?」
そうこうして二人は正門にたどり着いた。時刻はぎりぎりセーフ。姫宮はピンピンしているが信也は両膝に手を置いて呼吸していた。
「早くしないと遅刻しちゃうよ信也君! 早く早く!」
「はあ、はあ、ちょっと待ってくれ……」
姫宮が急かしてくるが信也はぐったりだ。凡人すぎる。
「もう、ぜんぜん証明できてないよぉ!」
「分かった、すぐ行く。すぐ行くから」
信也はなんとか起き上がった。可能性を証明するのはここからだ。
しかし、そんな二人に声が聞こえてきた。
「さっさとしろよランクFが」
険悪な声だ。見れば数人の男たちが誰かを囲っていた。
「や、やめてください」
「ああ? 誰にもの言ってんだ、俺はランクDだぞ? お前よりも上なんだよ」
囲っている一人の男が言う。それに合わせて他の人たちもそうだと合わせ笑っていた。
ランクの優越に浸り、自分よりもランクが下の者を蔑む。
そして、誰かが言うのだ。
「ランクFに可能性なんてないんだよ、諦めるんだな!」
彼らの高笑いが広がる。
「そんなことはない!」
しかし、断言がその笑い声を引き裂いた。
その声に皆が注目する。
神崎信也は、まっすぐな目で彼らを睨みつけていた。
「人間には可能性がある! ランクなんて関係ない!」
たとえ誰が見て見ぬふりをしても。たとえ誰もが諦めたとしても。
神崎信也は諦めない。
「俺が証明してみせる! 俺はランクA異能『平行世界・自己投影発動!』」
アークアカデミアはランク至上主義の学園だ。ランクが絶対の学校だ。そこで異を唱えるのはイレギュラー、神崎信也。
自分の理想に向かって、今日も彼は突き進む。
「俺は、絶対に諦めない!」
諦めなければ道は開ける。自分を信じる心、人間の可能性。
神崎信也の夢は、まだ始まったばかりだ。
ロウランクの冷遇に屈した敗者よ歓喜するといい。
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ランク至上主義の終わりの時だ。
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