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異能学園のアークホルダー

奏せいや

お前がハイランクだからさ

 肩まで伸びた白い髪が踊る。露わになった表情は不遜なまでに自信に満ちた笑みを浮かべており、追い詰められた危機感はまるでない。

 けれどもそれこそが彼だ。信也の胸を焦がす憧れの人の。

 そこにいたのは、なつかしい友人の顔だった。

「錬司……」

 錬司はいつもの笑みでそこに立っていた。

 まるで、ふと再会したかのような気軽さで。

「久しぶりだな信也、二年ぶりか? それで早速なんだがツッコんでいいよな? なんだその格好!? お前いつからコスプレイヤーなんかになったんだよ! はっはははは! マジウケるんですけど!?」

「ち、ちげーよ!」

 そのいつも通りの口調に信也も慌てて変身を解いた。錬司に笑われたことがなんだか恥ずかしい。

 本当に、本当に自然だった。深刻な雰囲気なんてまるでない。二年ぶりに友人が再会したような、そんな自然さだった。

 なつかしい思いとともに、信也は嬉しかった。

 だが、錬司の目つきが変わった。

「ほう、衣服の変身。ランクDか。お前もアークホルダーになったみたいだな。それがお前の異能(アーク)か?」

「それは……」

 信也は表情を気まずく引き締めた。

 錬司はジャッジメントだ。ここでランクAだと明かせば、もしかしたら戦いになるかもしれない。

 信也は覚悟を決めて、そっと聞いてみた。

「錬司、どうしてこんなことをしてるんだ?」

「…………」

 錬司は答えない。笑みはなくなり真剣な表情で信也を見ている。

「どうしてハイランカーを襲うようなことを? そのせいでアークアカデミアはお前を狙ってる。こんなことはもう止めるんだ。そもそも、何故錬司が――」

「そんなに俺と戦いたくないか?」

「なっ!?」

 錬司の言葉に信也は凍りついた。

「分かるさ。光を屈折させた俺が分かったんだ、そして今の変身。ランクB以上は確定だ」

 錬司は両手を上げるとスッと下ろした。

「錬司……俺は!」

 戦いたくない。錬司は信也にとって憧れの人だ。こんな風になりたいと、人間の可能性を教えてくれた人だった。何度も助けてくれた人だった。

 しかし。

「なら話は早い」

「!?」

 錬司は右腕を上げ、信也に向けたのだ。

「狩らせてもらうぜ、ハイランカー」

「どうして……」

 明確な宣戦布告。

 信也の意識が昏い闇に引きずり込まれていく。目の前の現実に心が砕けそうだ。

 しかし錬司は止まらない。錬司の周囲で地震のような揺れが起こると床が砕け始めた。床に披裂が入ると今度はいくつもの破片が浮上し始める。

「なんだ!?」

 錬司は光や音を操るだけでなく物体も操っている。しかしこんなことはあり得ない。

 ランクアップと共に不可能だと言われているもの。それが複数の異能、マルチアークの獲得だ。

 しかし現に錬司は複数の異能を発動している。そして、信也を襲おうとしている。

「止めてくれ錬司! 俺はお前と戦う気なんてない!」

「俺にはある」

「どうして!?」

「お前がハイランクだからさ」

 いくら叫んでも変わらない。錬司は信也を攻撃する気だ。このままでは危険だ。

 信也は、仕方がなく発動した。

「俺はランクAアーク『平行世界・自己投影パラレル・フュージョン』発動!」

「へえ、ランクAだったか」

「パラレル・フュージョンの効果! 平行世界にいるもう一人の自分の技能と姿をコピーする。俺はパラレルワールドにパスゲートをセッティング! こい、ソードマスター!」

 信也の姿が変わる。軽装の赤の甲冑姿。腰に剣を携え最高の騎士は現れた。

「すげえな、五次元能力か。おもしれえ。見せてみろ、お前の力を」

 錬司の周囲で浮遊していた破片が動き出した。すべてが信也に向かい迫ってくる。

「させるかッ」

 それらを叩き切る。超速の剣技は十以上もの残像を空間に刻んでいた。その技巧、人の域を超えている。肉体になにかしらの異能が施されている証拠だ。

「いいね。接近戦はまずいな」

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