異能学園のアークホルダー
はは、それがあいつのすごいところなのさ
錬司は信也が中学二年の頃に転校していった。その転校先が姫宮と同じ中学だったのだ。
「でも教室違うのによく知ってたな」
「うん! だって彼転校してきてすぐに有名人になったんだもん。彼ああいう性格だから周りに遠慮とかしないでしょ? それで転校生のくせに生意気ぃ、っていう人たちがいじめようとしたんだけど、代わりにぼこぼこにされちゃったんだって」
「ははは……さすがだな」
獅子王錬司恐るべしである。
「変わらないな、あいつは」
「じゃあ信也君の中学でも同じだったんだ?」
「ああ。たぶん変わってないよ。俺は特別だ、お前らとは違うんだって、自信満々に言ってさ」
「そうそれ! よく言えるよね、わたしには絶対に無理だよ~」
「はは、それがあいつのすごいところなのさ」
思い出す。いつも自信に満ち溢れ、己の生き方に真っ直ぐだった錬司のことを。……悪童でもあったが。
「なつかしいな」
それでも懐かしい。また会ってみたいと信也は素直に思った。
「そうだ! 姫宮錬司と同じ中学だったんだろ? なら知らないか、錬司の進学先。アークアカデミアに入っているはずなんだけどここにはいないし。まさか、落ちたってことはないと思うけど……」
どのような困難すら突破してきた彼だ、自分に出来て錬司に出来ないはずがない。そうは思うが見当たらない友人に不安になる。
「彼なら第一アークアカデミアに入ったって聞いたよ?」
「そっか! じゃあ錬司も無事アークホルダーになれたんだな! そっかー……、錬司は第一アークアカデミアか。ランクはいくつなんだろう」
「えっと、それなんだけど……」
「もしかして知ってるのか!?」
「うん……」
信也は姫宮に詰め寄った。対して姫宮は気まずそうに頷いた。
「いったいどんなんなんだ!? 錬司のアークは!?」
信也は瞳を輝かせた。あの錬司のアークだ、すごいに決まっている。自分と同じランクAか、もしくは誰も発現したことのない、第六次元への干渉を行なう未知のランクか。あり得る、あの錬司なら。
信也は期待に胸を膨らませ、早く知りたくてうずうずする。
「聞いた話だけど……」
「うんうん!」
逸る気持ちを抑え信也は姫宮の答えを待った。
そんな信也に、姫宮の表情は暗い。
神崎信也の憧れ、獅子王錬司。
そのアーク、それは――
「彼のランクなんだけど…………『――』だって……」
「え…………」
信也は言葉が出なかった。同時に熱がサーと退いていく。まるで冷水でも掛けられたように浮ついた気持ちが醒めていく。
その間にゆっくりと事実を受け入れ始めていた。目の前にいる彼女が、なんと言ったのか。
「錬司が、ランクF?」
「でも教室違うのによく知ってたな」
「うん! だって彼転校してきてすぐに有名人になったんだもん。彼ああいう性格だから周りに遠慮とかしないでしょ? それで転校生のくせに生意気ぃ、っていう人たちがいじめようとしたんだけど、代わりにぼこぼこにされちゃったんだって」
「ははは……さすがだな」
獅子王錬司恐るべしである。
「変わらないな、あいつは」
「じゃあ信也君の中学でも同じだったんだ?」
「ああ。たぶん変わってないよ。俺は特別だ、お前らとは違うんだって、自信満々に言ってさ」
「そうそれ! よく言えるよね、わたしには絶対に無理だよ~」
「はは、それがあいつのすごいところなのさ」
思い出す。いつも自信に満ち溢れ、己の生き方に真っ直ぐだった錬司のことを。……悪童でもあったが。
「なつかしいな」
それでも懐かしい。また会ってみたいと信也は素直に思った。
「そうだ! 姫宮錬司と同じ中学だったんだろ? なら知らないか、錬司の進学先。アークアカデミアに入っているはずなんだけどここにはいないし。まさか、落ちたってことはないと思うけど……」
どのような困難すら突破してきた彼だ、自分に出来て錬司に出来ないはずがない。そうは思うが見当たらない友人に不安になる。
「彼なら第一アークアカデミアに入ったって聞いたよ?」
「そっか! じゃあ錬司も無事アークホルダーになれたんだな! そっかー……、錬司は第一アークアカデミアか。ランクはいくつなんだろう」
「えっと、それなんだけど……」
「もしかして知ってるのか!?」
「うん……」
信也は姫宮に詰め寄った。対して姫宮は気まずそうに頷いた。
「いったいどんなんなんだ!? 錬司のアークは!?」
信也は瞳を輝かせた。あの錬司のアークだ、すごいに決まっている。自分と同じランクAか、もしくは誰も発現したことのない、第六次元への干渉を行なう未知のランクか。あり得る、あの錬司なら。
信也は期待に胸を膨らませ、早く知りたくてうずうずする。
「聞いた話だけど……」
「うんうん!」
逸る気持ちを抑え信也は姫宮の答えを待った。
そんな信也に、姫宮の表情は暗い。
神崎信也の憧れ、獅子王錬司。
そのアーク、それは――
「彼のランクなんだけど…………『――』だって……」
「え…………」
信也は言葉が出なかった。同時に熱がサーと退いていく。まるで冷水でも掛けられたように浮ついた気持ちが醒めていく。
その間にゆっくりと事実を受け入れ始めていた。目の前にいる彼女が、なんと言ったのか。
「錬司が、ランクF?」
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