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異能学園のアークホルダー

奏せいや

落ち込んだ心を打ち抜け必殺姫宮パーンチ!

 突然現れた姫宮になぜと思うが、それよりも姫宮は信也を見つけるなり猛ダッシュで近づいてきたのだ!

「うおおおお!」

「え、なに!?」

 闘牛のような勢いで姫宮が近づく。そして、

「落ち込んだ心を打ち抜け必殺姫宮パーンチ!」

「ぐはぁあ!」

 左胸を思いっきり殴られた!

「な、なにするんだよいきなり!?」

 痛い。かなり痛い。ズキズキする左胸を両手で押さえるが姫宮は反省してなかった。

「それはこっちの台詞だよ! 私信也君呼び止めたのに、どうして出て行っちゃうのさ」

「それは……」

 姫宮はプンプンだ。信也は顔を背けた。

「別にいいだろ、俺のことなんてほっといてくれよ」

「ほっとかないよ!」

「どうして?」

「だって」

 横目で姫宮を見てみる。彼女は信也をまっすぐ見つめながら力強く言い切った。

「信也君は、私の友達だもん!」

 その言葉に、信也の胸は震えた。

(友達)

 クラスではみんなから笑われ、妬まれ、嫌われてしまった。そんな自分を目の前の女の子は友達だと言う。当たり前のように。

 それが、嬉しかった。

「あれ!? 私、ヘンなこと言ったかな!?」

 姫宮が慌て出す。あわわわとよく分からない動きをしている。

 そんな姫宮に信也はほっとした表情を浮かべた。

「いや、ううん。ありがと。姫宮はアークアカデミアで出会った、初めての友達だよ」

「ん? えへへ~」

 そんな信也を見つめて、姫宮も笑った。

 二人は一緒にフェンスにもたれて青空を見上げた。そこに暗い雰囲気はなく、この青空のように晴れた空気が漂っていた。

「なあ、聞いていいかな。どうして姫宮はアークアカデミアに入学しようと思ったんだ?」

 ふと思い、信也は隣に顔を向けてみた。質問に姫宮も顔をこちらに向けてくる。

「私が入学した理由? ふふふ~、知りたい~? ならば教えよう!」

 姫宮は「とう!」と信也の横から正面にジャンプすると、くるりとその場で一回りした。制服のスカートがふわりと浮かぶ。

 そして姫宮の正面が信也で止まった時、姫宮は恥ずかしそうに笑っていた。

「私、アイドルになるのが夢なんだ」

「アイドル?」

「うん!」

 はにかんだ笑顔で、姫宮は自分の夢を語った。

「昔から憧れてたんだ、アイドルになること。歌を歌って、それを聞いてみんなが笑顔になるんだ。私の歌で元気になってくれたり勇気を持ってくれたら、とっっっっても嬉しい! そんなことが出来たらいいなって」

 夢を語る姫宮の顔は輝いていた。子供のように無邪気で純粋な笑顔がそこにある。

 その、眩しいほどの可能性に満ちた顔。信也は温かい気持ちになった。

「それで体も鍛えてたのか」

「アイドルは歌うだけじゃなくてダンスもあるからね」

 姫宮はニッと笑いながらピースサインする。正門から体育館まで走り切ったスタミナの謎が解けた。

「アイドルと言ってもいろいろあるけど、アークを持ってるアイドルは特に人気が高いんだ。だから私はアークアカデミアを志望したの。夢は一番のアイドルになること! それが、私が選んだ理由なんだ」

「そっか」

 彼女の気持ちに信也は小さく、だけど力強く頷いた。

「姫宮ならなれるさ。俺応援するよ、姫宮のこと!」

「ほんとに!? やったー! ファンゲットだー!」

 その場で跳んで跳ねて姫宮が喜んでいる。本当に子どもみたいだ。

 そんな姫宮を見つめながら信也はさらに聞いてみた。

「そういえば、姫宮のアークはどういうものなんだ?」

 彼女のランクがFだというのは知っている信也だがその中身までは知らない。

「んもう、仕方がないな~。信也君には特別に教えてあげるね」

 上機嫌な表情で姫宮が近づいてくる。そしてなにをするかと思えば、人差し指を立て信也にゆっくり近づけてきたのだ。

「私が人差し指を近づけるから、信也君も人差し指を私の人差し指にくっつけてもらえる?」

「? 分かった、人差し指同士をくっつければいいんだな?」

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