よっしゃ学園!楽しめ首領!

riu

出発

ああ、えっと...次は書類だろ...その次は新開発の武器と薬を試さねば...さらにそのあと...

「...駄目だ、言い出したらきりがない。疲れた、娯楽をくれ。」

そう机に突っ伏しながら呟く俺はフィルナ・アディーセ。先程の内容からして40代の可哀相なおじさんとか思った奴素直に表出ろ。今なら全治半年の刑だ。
...冗談だ。ちなみに歳は今年17歳。どうでもいいと思うだろうが金髪に青い瞳だ。
突然だが。誰か娯楽持ってないか?...無いよな、悪い。
最近本当仕事仕事仕事でだな...成人すらまだなのに枯れそうなんだ。...頭髪は問題無いからな?バッチリふさふさだ。
...あ?仕事ってなんだ、って?

...裏組織の一員なんだよ、俺は。

組織の名前はディール。意味は...多分無いんじゃないのか?役職は上から首領、幹部、隊員だ。そして部隊は3つに分かれている。アサシン(暗殺)、サイエンス(科学)、インフォメーション(情報)、の頭文字を取ってA、S、Iだ。
Aが暗殺が得意な奴、Sが薬、毒の開発をする奴、Iが情報操作が上手い奴が集まっている。

そして俺は──あ、俺一員とか言ってたけど首領だわ。ボスね、ボス。だからお仕事多いの、俺。まあ隊員でも仕事多いけどな、首領はもう比べちゃいけないレベルでやべぇの。

─コンコン

ん?誰だよこんな時に。

書類の整理が終わり、武器と薬を試しに行こうと席を立ったところで部屋をノックする音がした。

"...幹部のシューカ・チナさんです。"

今のは他の隊員の声だ。あー多忙だー!と泣きそうになっているが仮にも俺は組織のトップだ、数え切れない程の奴らに命を狙われている。だから首領専用の部屋に訪れる奴の確認を、部屋の外でしてもらっている。
そしてシューカ・チナとは眼鏡を掛けた常に敬語の男だ。Iの幹部をしている。怒るとものすんごく恐くて一部には鬼なんて言われてたな。

"通せ。"

そんなことを思い返しながら隊員にそう言うと、失礼しますという声と共にシューカが入ってきた。

「コホッ...シューカ、何の用だ?」

「ああ...最近、体調はどうですか?と聞きたかったんですよ。」

最後に首領最近眠れてないでしょう?と付け足したシューカに、俺はこいつには隠し事ができないのではと本気で思った。

「最悪極まりねぇよ。確かにお前の言う通り仕事仕事で一週間は、睡眠時間2時間という生活をしている。だが、それがどうしたんだ?」

「...首領は...もう少し子供らしくなってもよろしい気がするのですが。首領はどうですか?」

...突然だな。どうしたんだ、本当。

「子供らしく、ねぇ...俺がどんな仕事してるか分かっていながらその発言はねぇな。俺はガキの頃からこうなるために10年以上血を流しながら耐えてきた。そんな俺が今更フツーのガキみたいになるのは不可能だ。」

「ですが!!...ああ、もう!貴方は完璧そうに見えていろいろ欠落していいます...人を信頼していないところや感情が。...貴方には、しばらくの休暇をオススメします。」

ほう、そこまで言ってくれるのか。

「...今の録音したぞ?これで俺は心置きなく楽しめる。まさか即興で考えた"自発的に休暇を促す発言をさせる作戦"におもいっきり引っ掛かってくれるとはな。お前もまだまだだな。」

そこまで言うと、どういうことか理解したシューカはしまった!!という顔をした。

そう、俺は引っ掛けたのだ。
序盤の方で娯楽を渇望していた俺はシューカが入ってくる前に、思い付いたのだ。他人から休暇の言葉を言わせる方法を。
まあ実際一週間2時間しか寝てねぇし、相当疲れていたのだが、俺は首領だからな。休暇を求めたところでどうぞ、お休みなさいとなる訳が無い。なら、他人からしてくださいと言わせたら?と、思った訳だ。シューカの優しさに付け込んだのは心の中で謝罪しておく...一応な。

「ま、さか、その咳と掠れた声も...!?」

肯定としてニヤリと笑うと案の定悔しそうな顔をした。そして俺はサッとシューカの背後に回り込み手刀で気絶させると堂々とディールから出た。...出る前に油性マジックでシューカの顔に落書きをしたのは内緒だ。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品