NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?

激しく補助席希望

第67話 #9『娯楽と堕落の街カッポン』


「なんでアイツ…あんな所に居るんだ?」

 ステージに現れたカルガモットの姿には驚かされたが、ずっと居なかった仲間が現れた事への安心感に勇者の心はホッとした。


「お!おい!カルガモット!こっちだ!!」ブンブン

 勇者は大声を上げて手を振る。しかし、カルガモットは全くこちらを見ようとしない。


「気付いて無いのか?おーい!!」

「なんだ?騎士殿はあえてこちらに目を合わせないようにしていないか?」

 確かにその様な素振りが見えた。




「次に戦う挑戦者一同は、前に出てくるように!!」




 警備の者にせっつかれて、勇者達はステージの前に連れてこられる。

 そこでカルガモットと完全に目が合うも、カルガモットの表情には何ら変化は無かった。たった今初めてあった人だという素振りをしている。



「うむ。名もなき挑戦者達よ。そなた等に賭けるのは些か心配ではあるが…ぜひ健闘をしてもらいたい。」

「はぁ?何言ってんだ?おい!」

「目上の者への口の聞き方も知らぬか。余程酷い環境で育ったのだろうな。」

 なぜかカルガモットは『知らない人のフリ』をしている。一体何があったのか。

「おいてめぇ!ふざけてる場合じゃねーんだぞ!マリーナが今…」グイッ

「貴様ぁ!!領主様に無礼な態度はやめろ!!」ガンッ

 カルガモットの胸ぐらを掴もうと手を伸ばすと、警備員に無理やり羽交い締めにされてしまった勇者。

「痛ってぇ!なんだよ離せお前ら!」

「勇者殿!」


「…ふん、身の程知らずが。これは激励の挨拶と受け取ってもらおう。」

「何?」

 カルガモットは一切の遠慮もなく思いっきり勇者を殴りつけた。

「ぐあぁ!!」



「…次の闘いに出るものは誰だ?」

「私だ。」

 タリエルが怒った表情で前に出る。

「…精々死なないように闘うのだぞ、途中で離脱する事は許さないからな。」

 そう言ってカルガモットはアンジェラと握手をした。

「……??」

 アンジェラも不思議な表情をして帰ってきた。


「いってー!マジで殴りやがって…あいつはどうしたんだ?なんで知らないフリなんかするんだ??」

「これを見れば分かるかも。」

「「「これ?」」」

 アンジェラは何か小さく折りたたんである紙を持っていた。どうやらカルガモットと握手をした時に渡されたらしい。



「「「…これは!?」」」











 ヤンドが背中を支え、足腰のストレッチをするアンジェラ。


 そこに先程の男がロープを持って現れた。

「そろそろ時間だ。挑戦者は腕をこれで縛ってくれ。」パラッ

「なにこれ?何故縛る必要が?」

「最近多いんだよ。試合が始まる前に隠した凶器で襲い掛かる奴が。」

「…なるほど。」

 ヤンドがロープを受け取り、アンジェラの腕を軽く縛り上げる。


「それじゃあ、御健闘を。」

 それだけ伝えると男は帰って行った。

「たったあれだけか?ルール説明とかないのかよ!」

「あー!私聞いてきた!とりあえず相手が『参った』って言うか、言えなくなるまで叩きのめすかのどっちかだって!」

「シンプルなルールだ事で…」



「よし、準備出来た!」

「頼んだぞ!アンジェラ!」

「何も力になってやれなくてすまぬ。」

「ぜーったい勝ってよ!アンジェラ!」

「おう!!」

「じゃあ…自分からのおまじないを…」バシンッ

 そう言ってヤンドが、かなりの勢いでアンジェラの背中を叩いた。

「うおっと!」ヒリヒリ

(周りにバレ無いように、潜在能力を引き出すバフをかけたよ。これは『気功』スキルだから、魔法の打ち消しには引っかからない。)ヒソヒソ

(うん、ありがとう。ヤンド)

「それでは、選手入場!」

 アンジェラは縛られた両手を掲げ、皆に手を振る。



 金網リングに集まっている観客が、アンジェラをからかう。

「おー!!今度は女の挑戦者か!」

「精々やられない様に気をつけるんだな!ゲハハ!」

「ねーちゃん頑張れー!!うわっはっは!」

 散々にヤジを飛ばされながら、アンジェラは金網の入口をくぐり、リングへと上がっていく。



「両者前へ!試合のルールについて説明する!」

 レフェリーがルールを説明する中、チャンピオンのゲロッギは欠伸をしていた。

「審判、さっさと終わらせろ!それから…次の試合も組んでおけよ。あっという間にカタをつけるからな。」ニヤッ

「よろしく、<可もなく不可もなくユージュアリー>のアンジェラだ。お互い正々堂々いい試合をしよう、ゲロンチョ。」

「俺の名前はゲロッギだ!覚えとけ!!」ムカッ


 レフェリーがお互いのロープを切って外し、2人は金網際に離れて位置に着く。



「それではこれより!チャンピオンゲロッギと!挑戦者アンジェラの試合を行う!両者レディ……」


 ドゴン!

 『GO』の合図が出る前に、アンジェラがゲロッギのハゲ頭を後ろから殴りつけた。




第67話 END

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