神が遊んだ不完全な世界
主人公(仮)と学術都市レスリック
学術都市レスリック。あらゆる研究機関が集い、あらゆる頭脳が日々研究に明け暮れている。その歴史は古く、ある一人の人物が溜め込んでいた本を図書館という形で開放した結果。興味を持っていた人間が数多く訪れ、その場に居座るようになったことで徐々に街へと発展していった。しかし、この街の根幹にあるのは巨大な図書館とあらゆる研究機関である。
街の空気はどこか賑わっており、人の流入が激しい。これもおそらく、研究内容を公表するという一大行事のためだろう。その人の流れの一部にはもちろん圭介達も含まれている。
「思った以上に凄い場所なんだな……」
圭介は感嘆の声を上げる。レスリックは今まで見てきたどんな街よりも発展していた。建造物のレベルが違いすぎる。数階建ての建物が存在していた。この街だけは時間が一世紀進んでいると錯覚するレベルだった。
この世界の建造物は二種類に分けられる。一つは魔術によって構築されたもの。魔術によって構築されたものは劣化が激しく、定期的に魔素の補填をしなければならない。建築スピードは早いが朽ちるのも早いのだ。もう一つは自然物から職人が組み立たもの。圭介がいた元の世界での普通の建築方法だ。この二つに分類される。この街の建造物は場合は後者によって作られている。つまり、この街の建築技術というのは他の街に比べても特出していることは明らかである。
圭介達が街に来て最初にすることは寝床の確保。つまり宿を手配することだ。
――一時間後。
「……あかん。これはあかん」
宿はどこも満員だった。まず、この巨大馬車を受け入れてくれるような場所が見つからないのだ。どこもかしこも埋まっていた。どうやらそれは人間の宿だけではなく獣族の宿も満員だった。
「どうしたもんかな……」
「さすがに驚きましたね。師範に聞いてはいましたが、これほどまでに人が多いとは」
凛も同様に驚いていた。二人で目に付く宿を全てあたった結果は悲惨である。本来ならば、この時期には少なくとも一週間は前もって宿を予約しておかなければならないのだ。
圭介は郊外に家を建築することも視野にいれつつ途方に暮れていた。とりあえず、宿のことは後回しにすることしてユズルと約束していた場所を訪れることにした。
向かう先は区画の整理された一角。そこは研究所が数多くあり、いままでの空気とは異なっていた。ユズルと約束した場所はこの場所にあった。圭介達は近くに馬車を止め、目的の建物に入る。少しだけ異様な5人組は周りから浮いてはいるがもうすぐ発表会があるため、あまり気を止めずに足を動かす事務的な人達。そんな人達の間を縫うようにして移動し、受付でユズルの名前を告げると部屋に案内された。木製の椅子とテーブルがあり、それそれ席につく。暫くすると扉が開き、二人の男が入ってくる。一人はユズル。武装を解き、身軽な格好だった。もう一人の男は痩身の男でそれなりに年配のようだ。髪や髭がややボサボサとしており、白髪混じりである。
「ユズル、その人は?」
圭介が着席したユズルに尋ねる。
「ああ、この人は俺の依頼主であり友人のハイオクさんだ」
「初めまして、皆さん。ユズルさんから皆さんのことは聞いてますよ」
そう言って見渡すがユズルとハイオクの視線がケアに注がれる。
「ユズルさんの話では一人の少年と三人の少女と伺ったのですが」
そうハイオクは圭介に話しかける。この五人組のリーダーである圭介に話を振ったのだ。
「そういえばユズルはケアに会ったことなかったっけ」
そういってお互いに自己紹介をする。
その中で分かった事はハイオクという人物はこの街では名誉教授と言われ、カナリの権威を持ち、魔眼の持ち主であることだった。名誉教授というのは永きにわたる研究により偉大な功績を成し得た人物に送られる称号である。知識の豊富さもカナリのものであり、保有魔素の量も桁違いである。
「ハイオクさんも魔眼をお持ちなんですか?」
「ああ、さすがに君の眼ほど凄いものではないんだがね」
そういってハイオクは右の手の平で両眼を覆い隠し、しばらくしてから再び眼を開く。
「ほう……君たちは変わった魔素を纏っているな」
特に圭介とカンナとケアに対していっているようだった。
「私の眼は魔素の濃淡と魔素の性質を白と黒の明暗で判別が出来る程度でね。しかし、そちらのお嬢ちゃんはとても澄んだ白い色をしているね。私が今まで出会ってきた人間でもそこまで純粋な魔素を持っている人間はいなかった。それに野村さんの魔素はとても不思議な色をしている。とても一言では言い表せない魔素を持っている。白と黒の共生体、疎と密の境界……とても不思議な色だ。ケアさんの魔素もとても不思議です。とても黒い……まるでマユのようだ」
(マユ?)
圭介は気になる単語に反応はするものの特にそれには触れなかった。
「そうだ。ハイオクさん。少し尋ねたいことがあるんですが」
「なんでしょう?野村さん」
「俺達、今日、この街にやってきたんですけど宿を取れなくて困ってるんですが、穴場とか知りませんか?」
圭介はそうハイオクに尋ねた。
「宿ですか?」
「ええ、できれば馬車を預かってくれる厩舎なんかも教えていただければ助かるんですが」
そう困り顔をした圭介を見かねたハイオクは我が家に招待すると答えてくれた。
街の空気はどこか賑わっており、人の流入が激しい。これもおそらく、研究内容を公表するという一大行事のためだろう。その人の流れの一部にはもちろん圭介達も含まれている。
「思った以上に凄い場所なんだな……」
圭介は感嘆の声を上げる。レスリックは今まで見てきたどんな街よりも発展していた。建造物のレベルが違いすぎる。数階建ての建物が存在していた。この街だけは時間が一世紀進んでいると錯覚するレベルだった。
この世界の建造物は二種類に分けられる。一つは魔術によって構築されたもの。魔術によって構築されたものは劣化が激しく、定期的に魔素の補填をしなければならない。建築スピードは早いが朽ちるのも早いのだ。もう一つは自然物から職人が組み立たもの。圭介がいた元の世界での普通の建築方法だ。この二つに分類される。この街の建造物は場合は後者によって作られている。つまり、この街の建築技術というのは他の街に比べても特出していることは明らかである。
圭介達が街に来て最初にすることは寝床の確保。つまり宿を手配することだ。
――一時間後。
「……あかん。これはあかん」
宿はどこも満員だった。まず、この巨大馬車を受け入れてくれるような場所が見つからないのだ。どこもかしこも埋まっていた。どうやらそれは人間の宿だけではなく獣族の宿も満員だった。
「どうしたもんかな……」
「さすがに驚きましたね。師範に聞いてはいましたが、これほどまでに人が多いとは」
凛も同様に驚いていた。二人で目に付く宿を全てあたった結果は悲惨である。本来ならば、この時期には少なくとも一週間は前もって宿を予約しておかなければならないのだ。
圭介は郊外に家を建築することも視野にいれつつ途方に暮れていた。とりあえず、宿のことは後回しにすることしてユズルと約束していた場所を訪れることにした。
向かう先は区画の整理された一角。そこは研究所が数多くあり、いままでの空気とは異なっていた。ユズルと約束した場所はこの場所にあった。圭介達は近くに馬車を止め、目的の建物に入る。少しだけ異様な5人組は周りから浮いてはいるがもうすぐ発表会があるため、あまり気を止めずに足を動かす事務的な人達。そんな人達の間を縫うようにして移動し、受付でユズルの名前を告げると部屋に案内された。木製の椅子とテーブルがあり、それそれ席につく。暫くすると扉が開き、二人の男が入ってくる。一人はユズル。武装を解き、身軽な格好だった。もう一人の男は痩身の男でそれなりに年配のようだ。髪や髭がややボサボサとしており、白髪混じりである。
「ユズル、その人は?」
圭介が着席したユズルに尋ねる。
「ああ、この人は俺の依頼主であり友人のハイオクさんだ」
「初めまして、皆さん。ユズルさんから皆さんのことは聞いてますよ」
そう言って見渡すがユズルとハイオクの視線がケアに注がれる。
「ユズルさんの話では一人の少年と三人の少女と伺ったのですが」
そうハイオクは圭介に話しかける。この五人組のリーダーである圭介に話を振ったのだ。
「そういえばユズルはケアに会ったことなかったっけ」
そういってお互いに自己紹介をする。
その中で分かった事はハイオクという人物はこの街では名誉教授と言われ、カナリの権威を持ち、魔眼の持ち主であることだった。名誉教授というのは永きにわたる研究により偉大な功績を成し得た人物に送られる称号である。知識の豊富さもカナリのものであり、保有魔素の量も桁違いである。
「ハイオクさんも魔眼をお持ちなんですか?」
「ああ、さすがに君の眼ほど凄いものではないんだがね」
そういってハイオクは右の手の平で両眼を覆い隠し、しばらくしてから再び眼を開く。
「ほう……君たちは変わった魔素を纏っているな」
特に圭介とカンナとケアに対していっているようだった。
「私の眼は魔素の濃淡と魔素の性質を白と黒の明暗で判別が出来る程度でね。しかし、そちらのお嬢ちゃんはとても澄んだ白い色をしているね。私が今まで出会ってきた人間でもそこまで純粋な魔素を持っている人間はいなかった。それに野村さんの魔素はとても不思議な色をしている。とても一言では言い表せない魔素を持っている。白と黒の共生体、疎と密の境界……とても不思議な色だ。ケアさんの魔素もとても不思議です。とても黒い……まるでマユのようだ」
(マユ?)
圭介は気になる単語に反応はするものの特にそれには触れなかった。
「そうだ。ハイオクさん。少し尋ねたいことがあるんですが」
「なんでしょう?野村さん」
「俺達、今日、この街にやってきたんですけど宿を取れなくて困ってるんですが、穴場とか知りませんか?」
圭介はそうハイオクに尋ねた。
「宿ですか?」
「ええ、できれば馬車を預かってくれる厩舎なんかも教えていただければ助かるんですが」
そう困り顔をした圭介を見かねたハイオクは我が家に招待すると答えてくれた。
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