神が遊んだ不完全な世界
主人公(仮)と仮宿
想像して創造する。
想像するのは微小な世界で繋がる粒子。水分と僅かの魔素を添えて思い描いた形へと創造する。
「ウッドハウス!」
十夜を土地に突き立て魔素を流し、思い描いた木造建築を建てる。
理屈という名のこじつけとしては魔素を土地に流すことで植物の成長を促進でき、水の循環を操り局部成長を促し、それと同時にいらない部分には魔素を流さずに形作る。土造建築に比べれば難しいが、土汚れは避けることができ、床から壁、天井までが全て木だけで構成されていて過ごしやすい。
各々の部屋を用意。ベッドと椅子と机まで完備。ただし、動かすことはできない。一部は土造建築から流用して竈を備え付ける。いわゆる土間だ。おまけにお風呂も作る。火の魔具のおかげでお湯を作るのが凄く楽になり、熱した石を投入するだけで心地いい温度を作ることができる。但し、入浴中の温度調整は俺以外にはとりあえず無理☆
完璧じゃないか!
「おおおおお!!」
驚いた様子のカンナは眼をキラキラとさせてウッドハウスを見上げる。
「凄いですね・・・」
ニーナ嬢も驚いているようで開いた口が塞がらず、髪がふぁさふぁさとなっている。耳がピクピクしているんだろう。
「さすがですね」
ケアは初めて見るはずなんだが思ったよりリアクションが薄い。
「あれ?凛さんは驚かないんですね?」
ニーナ嬢が凛ちゃんに話しかける。ってか、凛さんって呼ぶんだ。
「さすがに慣れました。タユタユに行くまでは常にこの調子です。しかし、今回のは一回り大きいですね・・・」
「そりゃそうだろ、こんだけ人が増えたらそれに見合った家を用意しないとな。やっぱり寝る時ぐらいは安心したいだろ?俺は嫌だぜ、寝ずの番だなんて」
ワガママここに極めり。まぁ土地に魔素を流している現状では土地の上を何かが通ったら分かるからセンサ代わりにはなるため、人間大の大きさなら簡単に感知できる。
「とにかく、腹が減ったぜ。氷川、今日も料理の方頼めるかい?」
俺が家を造り、凛ちゃんが料理を作る。これがなんとなく決まってきたオレらの役割だ。薪も俺が作る。竈も俺が作る。水も俺が魔術で汲む。さすがにコレで俺は料理しろと言われたら俺はただの奴隷だ。
「今日は私に任せてください!」
ニーナ嬢が自ら料理をすることに立候補する。僅かだが顔を赤らめている。緊張しているのか?
「分かった。今日はニーナさんに任せようかな。材料はとりあえず好きなように使ってくれていいから。薪はあそこ、竈はそれ、水はあっちに貯めてあるから、もし足りなくなったら俺を呼んでね」
「あ、大丈夫です。水は私も多少ですが操ることができますから、自分でなんとかします」
そっか、そういえばニーナ嬢は魔術が使えるんだっけか。忘れてた。
「分かった。じゃあ後は任せた。少しだけ外に出てるから、出来上がる頃には戻ってくるわ」
俺はウッドハウスを出て、真っ直ぐ歩く。
「ふぅ・・・」
さすがにアレだけの魔術行使は疲れた。体の魔素が薄くなってきたせいか、少し血の気が引きつつある。
やばい、意識が混濁する。
目が見えなくなったらまずい。
貧血の前兆のようにクラクラする。
目の前が白い。
仰向けに倒れる。
息が荒い。
動悸が激しい。
そのくせ、体は芯から冷える。
体勢をうつ伏せに変えて近場の地面を還元する。
深く息を吸って息を止めては再び息を吸う。繰り返し落ち着くまで待つ。
「はぁ・・・ん、はぁ・・・はぁ・・・っん・・・」
徐々に落ち着く。
目の前も徐々に鮮明になってくる。
「ちっとばかしやりすぎちったか?」
土地に垂れ流した魔素。木々を操る魔素。水を生成する魔素。体内のエネルギーをごっそりと削がれた感じがする。
大きくため息を吐き、鮮明な視界に写った空を見上げる。
「あれは、いわし…いや、うろこ雲?」
星空と俺との間に浮かぶ、雲の群れがゆっくりと流れていく。
「そんなところで横になってどうしたんですか?」
ケアがこちらに歩み寄り、声をかけてきた。
「べっつにー。たださ、空模様と星空を楽しんでるだけ」
雲の群れの隙間から覗く下弦の月を楽しむ。
「そうですか。では、僕も隣いいですか?」
「別にいいよ」
ケアは俺のとなりに腰を下ろす。
「女性陣は料理に夢中で居心地が悪くて出てきたんですよ」
ケアははにかみながら、そう言う。
「アレ?今回はニーナ嬢が料理するんじゃなかったっけ?」
「それはそうですが、5人分の料理っていうことでメインはニーナさんが、氷川さんとカンナ様は仲良く下拵えや盛りつけを手伝っていましたよ」
「なるほどねー」
コイツ、何気にカンナのこと様付けで呼ぶんだな。
「そういや、お前の部屋も用意したんだがどうだった?」
「大変素晴らしいお部屋でしたよ。野村さんは宿屋を経営できるかもしれませんね」
うむ、中々好評のようである。そうか、宿屋か…。何か商売をするのも楽しそうだ。
「考えておくよ」
適当にケアと言葉を交わして、先に仮宿に戻る。
部屋で鞄の整理を済ませて、カンナが呼びに来たので卓に着く。
並べられたモノはパンとスープと腸詰の肉と山菜の炒め物。
不思議なことにケアは戻ってこず、夕食も冷めるため仕方なく俺達4人で食事を始めた。
この日の食事も美味しくいただけた。
想像するのは微小な世界で繋がる粒子。水分と僅かの魔素を添えて思い描いた形へと創造する。
「ウッドハウス!」
十夜を土地に突き立て魔素を流し、思い描いた木造建築を建てる。
理屈という名のこじつけとしては魔素を土地に流すことで植物の成長を促進でき、水の循環を操り局部成長を促し、それと同時にいらない部分には魔素を流さずに形作る。土造建築に比べれば難しいが、土汚れは避けることができ、床から壁、天井までが全て木だけで構成されていて過ごしやすい。
各々の部屋を用意。ベッドと椅子と机まで完備。ただし、動かすことはできない。一部は土造建築から流用して竈を備え付ける。いわゆる土間だ。おまけにお風呂も作る。火の魔具のおかげでお湯を作るのが凄く楽になり、熱した石を投入するだけで心地いい温度を作ることができる。但し、入浴中の温度調整は俺以外にはとりあえず無理☆
完璧じゃないか!
「おおおおお!!」
驚いた様子のカンナは眼をキラキラとさせてウッドハウスを見上げる。
「凄いですね・・・」
ニーナ嬢も驚いているようで開いた口が塞がらず、髪がふぁさふぁさとなっている。耳がピクピクしているんだろう。
「さすがですね」
ケアは初めて見るはずなんだが思ったよりリアクションが薄い。
「あれ?凛さんは驚かないんですね?」
ニーナ嬢が凛ちゃんに話しかける。ってか、凛さんって呼ぶんだ。
「さすがに慣れました。タユタユに行くまでは常にこの調子です。しかし、今回のは一回り大きいですね・・・」
「そりゃそうだろ、こんだけ人が増えたらそれに見合った家を用意しないとな。やっぱり寝る時ぐらいは安心したいだろ?俺は嫌だぜ、寝ずの番だなんて」
ワガママここに極めり。まぁ土地に魔素を流している現状では土地の上を何かが通ったら分かるからセンサ代わりにはなるため、人間大の大きさなら簡単に感知できる。
「とにかく、腹が減ったぜ。氷川、今日も料理の方頼めるかい?」
俺が家を造り、凛ちゃんが料理を作る。これがなんとなく決まってきたオレらの役割だ。薪も俺が作る。竈も俺が作る。水も俺が魔術で汲む。さすがにコレで俺は料理しろと言われたら俺はただの奴隷だ。
「今日は私に任せてください!」
ニーナ嬢が自ら料理をすることに立候補する。僅かだが顔を赤らめている。緊張しているのか?
「分かった。今日はニーナさんに任せようかな。材料はとりあえず好きなように使ってくれていいから。薪はあそこ、竈はそれ、水はあっちに貯めてあるから、もし足りなくなったら俺を呼んでね」
「あ、大丈夫です。水は私も多少ですが操ることができますから、自分でなんとかします」
そっか、そういえばニーナ嬢は魔術が使えるんだっけか。忘れてた。
「分かった。じゃあ後は任せた。少しだけ外に出てるから、出来上がる頃には戻ってくるわ」
俺はウッドハウスを出て、真っ直ぐ歩く。
「ふぅ・・・」
さすがにアレだけの魔術行使は疲れた。体の魔素が薄くなってきたせいか、少し血の気が引きつつある。
やばい、意識が混濁する。
目が見えなくなったらまずい。
貧血の前兆のようにクラクラする。
目の前が白い。
仰向けに倒れる。
息が荒い。
動悸が激しい。
そのくせ、体は芯から冷える。
体勢をうつ伏せに変えて近場の地面を還元する。
深く息を吸って息を止めては再び息を吸う。繰り返し落ち着くまで待つ。
「はぁ・・・ん、はぁ・・・はぁ・・・っん・・・」
徐々に落ち着く。
目の前も徐々に鮮明になってくる。
「ちっとばかしやりすぎちったか?」
土地に垂れ流した魔素。木々を操る魔素。水を生成する魔素。体内のエネルギーをごっそりと削がれた感じがする。
大きくため息を吐き、鮮明な視界に写った空を見上げる。
「あれは、いわし…いや、うろこ雲?」
星空と俺との間に浮かぶ、雲の群れがゆっくりと流れていく。
「そんなところで横になってどうしたんですか?」
ケアがこちらに歩み寄り、声をかけてきた。
「べっつにー。たださ、空模様と星空を楽しんでるだけ」
雲の群れの隙間から覗く下弦の月を楽しむ。
「そうですか。では、僕も隣いいですか?」
「別にいいよ」
ケアは俺のとなりに腰を下ろす。
「女性陣は料理に夢中で居心地が悪くて出てきたんですよ」
ケアははにかみながら、そう言う。
「アレ?今回はニーナ嬢が料理するんじゃなかったっけ?」
「それはそうですが、5人分の料理っていうことでメインはニーナさんが、氷川さんとカンナ様は仲良く下拵えや盛りつけを手伝っていましたよ」
「なるほどねー」
コイツ、何気にカンナのこと様付けで呼ぶんだな。
「そういや、お前の部屋も用意したんだがどうだった?」
「大変素晴らしいお部屋でしたよ。野村さんは宿屋を経営できるかもしれませんね」
うむ、中々好評のようである。そうか、宿屋か…。何か商売をするのも楽しそうだ。
「考えておくよ」
適当にケアと言葉を交わして、先に仮宿に戻る。
部屋で鞄の整理を済ませて、カンナが呼びに来たので卓に着く。
並べられたモノはパンとスープと腸詰の肉と山菜の炒め物。
不思議なことにケアは戻ってこず、夕食も冷めるため仕方なく俺達4人で食事を始めた。
この日の食事も美味しくいただけた。
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