神が遊んだ不完全な世界

田所舎人

主人公(仮)と着火

 ………グォー…ゴゴゴゴ…グォー…ゴゴゴゴ…グォー…ゴゴゴゴ…
 地響きのようか音で目が覚めた。目覚めたそこは暗く自分がどうしてココにいるかを思い出せずにいた。
(ああ、そういえばユニさんたちの隠し拠点にお邪魔してるんだった)
 眠たい目をこすりながらも暗い部屋を出る。先程の音は俺の隣で寝ていたダル(?)さんだった…と思う。いびき的に。
 …いや…語弊があるな。
 隣のベッドで寝ていたダル(?)さんが正しい。


 携帯を開き電源を入れる。現在は午前10時。昨日、起こされたのが夜11時。街をうろうろしていたのが1時まで。ココにたどり着いたのが3時過ぎ。だいたい6時間は寝たことになるのかな?


 少しまだ眠いが、明るいうちに外に出たい。部屋にはあの少年がいた。
「あ、野村さん。よく眠れましたか?」 
「ええ、まぁ…」
 周りには少年以外はおらず、この空間には俺と彼だけだ。いや、少年の足元には獣が一匹いるか。
「あの、、、ユニさんは?」
「ああ、彼女なら先に出たよ。つい30分前ぐらいだったかな」
「どこにったか聞いてますか?」
「聞いてないよ」
 美少年は頭を僅かに傾けて上目遣いになる。ショタコンじゃない俺でもその仕草が可愛いなと思ってしまう。ただし、見た目通りの年齢だとすればだけどね。
「では、僕もそろそろココを発とうかと思います」
「そう?もう少しゆっくりしていけばいいのに」
 正直、もう少し寝たい気もするけど早く異文化都市に行きたい。それに追われてる身だと枕を高くして寝れないからな。
「日がまだ高いうちに出たほうが、良さそうだからね」
「そっか、それじゃあもうお別れだね。もう少しだけお話してみたかったよ」
 そういって少年は俺に鍋と地図を手渡す。
「はいこれ、昨日言ってた物だよ。地図はわかるけど、鍋とはね」
 苦笑いする少年。確かに俺も何故鍋なのかは分からない。気づかない間に睡魔に襲われていたのか、、、まぁ料理するときの必需品で咄嗟に思いついたのが何故かコレだった。
 俺は手渡された鍋と地図を鞄に入れようとする。
 しかし、鍋は小さいとはいえ立体的構造をしているため、中に入ってる教科書やノート、ノートパソコンが既に入っている以上、中には入れることができなかった。よって、鍋は鞄から吊り下げた形になる。
 …見た目が不格好過ぎる。
 まぁいいや、人目を気にしなければいい!
 肩から鞄を下げ、腰にはショートソード。魔石が嵌め込まれたペンダントを首からぶらさげ、手首にはブレスレットを身につける。
 うん。これが今俺が持っている全てだ。


 あ、、、
「そういえば、これをユニさんに返しておいてもらえますか?」
 俺は銀貨袋から8枚だけを抜き取り少年に渡す。
「コレ、ユニさんから預かっていたんですけど渡しそびれたんで…」
「ああ、分かった」
 少年はそれを受け取り、懐に納める。
「じゃあ、僕はこれで。お世話になりました」
 軽く頭を下げる。
「まぁ気にしなくていいよ、もし若草道場の当主に会ったらよろしく言っておいてね」
「はい!」
 俺は最後にもう一度、礼を述べこの秘密基地から出る。
 ちょっと長い螺旋階段を登り、重い扉を持ち上げ外へ出る。外は森の中。爽やかな空気と暖かな木漏れ日が俺を歓迎してくれる。
 深く息を吸い、息を吐く。寝起きのダルい体は爽やかな空気を取り込み、活力を得たような気がする。


 とりあえず、鍋に水を溜め顔を洗う。
(うわー!気持ちいい!!)
 爽やかな森で綺麗な水で顔を荒う。こんなささやかなことが楽しくなる。
(そういえば、昨日思いついたことを試してみよう)
 土のペンダントに気を向け、辺りの土を操作する。
 それは秘密基地に入った時に思ったことだ。
 今後の旅で大事なのは夜営である。現代人の俺としては寝ている最中に危険を察知するような力は持ち合わせてはいない。
 そこで、休む時や寝る時に簡易的な休憩所を作る。


 つまり、コレだ。


 地下室。


 少しこだわって、土と粘土と水を練り合わせ壁や床を作る。その後、水だけを除くと簡易的な休憩所だ。


(んー、ただ屋根をどうしようかな~?)


 まぁ、その気になれば土で屋根を作ってもいいんだろうけど、ここらへんは動物が通るからな。上に乗られたら屋根が落ちそうだ。


(今度、いい案を思いついたら改善しようかな)


 まぁ地下にこだわらなければ、土の家ぐらいはできそうだけどね。


 んじゃ、行きますか。


 くりぬいた地面はキチンと元に戻して、森を抜ける。






 昔、「○探偵コ○ン」でこんな話があった。


 アナログ時計の短針を太陽に向ける。そのとき、短針と12時の方向の丁度真ん中が南を指すと。


 あとは樹の年輪なんかでも分かるらしい。まぁココは人が開拓しているわけではないので、切り株なんかはないから前述の方法で方位を調べる。


 とにかく南に向かえばいいんだ。








(んー、そろそろ何か食べたいな~)
 しかし困った。あの秘密基地からは随分と離れてしまった。
(どうしよう・・・)


 そういえば朝携帯を開いたときに新着メールがあったのを思い出した。メールを開くと、例のど阿呆からメールが来ていた。メールは2件


 本文は空で、添付ファイルが付いていた。俺はとりあえず添付ファイルを開く。すると目の前に1冊の本が現れた。
 表紙には【植物図鑑 初級編】と書かれていおり、本を開くと様々な植物の情報が書かれていた。この本に書かれていることを纏めると、
1.本には植物のイラストと情報が書かれている。
2.初級編の次は中級編があること
3.本の最後のページに植物の葉を挟むことで、その植物を識別する。
 これはありがたい!
 もう一つのメールの添付ファイルもダウンロードする。
 次に現れたのは【動物図鑑 初級編】これも要点は上記と同じだ。ただし、3に関しては葉ではなく対象の「血」であることだけが異なる。
 これもまた良い。これは読んで良し使ってよしの便利品だ!旅の不安の種が一つ解消された。さっそく、そこらの雑草を摘んでは図鑑で識別する。


 しかし、食用の植物はない。


 野草や山菜は結構食べれるかと思っていたけど、あまり食べられたものではない。調べると人間にとっては有害なもの。旨味がないもの。苦味しかないもの。


 …ここに油と衣があれば…。


 惜しい。


 いくつか調べてみると、図鑑の内容には含まれていないものもある。これが初級編の限界か。そんな中、葉を摘んで調べると一つだけ食べられるものがあった。


 名前は「ストゥールスアス」っていうらしい。


 見た目は単なる短草だが、根は甘味を含み葉は茹でると美味しいらしい。早速いくつか掘り起こし、簡単に水洗いをして根を齧る。
(んー、思ったよりは甘くないかな~)
 記述に寄れば甘味を含むと書いてある。何度か噛む内にほのかに甘くなる。自然の甘味だ。添加物の含まれていない自然の甘味。正直、味薄なため満足には至れない。それでも、不味くはない。
 ………そういえば、どうやって茹でるんだろう…。
 鍋と水もある。食材もある。
 しかし…
(一番大事な火がねぇぇぇぇぇぇ!!!)
(そうだよ!火だよ!火がなけりゃ茹でれねぇよ!)
 自分の馬鹿さ加減に呆れる。


 しかし、一つ方法がある。昔のテレビであった方法だ。


 蔦と丈夫な枝が2本あれば火は起こせる。


1.枝の一本に切り込みを入れる。
2.蔦をもう一本の枝の両端に結ぶ。
3.それを組み合わせる。


 それをブンブン独楽の要領で回転させる。原始的な火起こしだ。これにより火種を作る。まぁぶっちゃけ、火の魔具が欲しい。仕方ないけど…。
 とりあえず、火種は起こせた。あとは乾燥させた草を豆乳して用いて火を起こす。


 なんだろ・・・冒険というよりサバイバルをしている気がするのは…とりあえず、湯を沸かし草を茹でて食べてみる。






 食べてみた草はやっぱり苦かった。

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