神が遊んだ不完全な世界
主人公(仮)と選択
―――見知らぬ顔。
「おわっ!え?なっ?え…?」
「おはようございます」
  エプロンドレスを来た猫耳少女がそこにいた。
「朝御飯を作っておきましたから、どうぞ食べてください」
あれ?このショタ声聞いたことがある…。
「もしかして、ウリク君?」
「はい、昨日は色々と…」
  あー、なんか色々とあったな。しかし、ウリク君が女の子だなんて…アニメの見すぎか、ショタ声な男の子だと思ってたけど、まさか女の子だったとは…。
「ユニさんが今朝、急にやってきて、『ギルドからの指名依頼が入った』らしいので、僕が圭介さんの世話を言付かりました」
  ウリク君―――ウリクさんがそう言っている傍ら、(ああ、異世界に来たのは現実なのか)なんて考えたりしてた。
「俺、ウリクさんのこと最初、男の子かと思いましたよ」
  うふふと笑うウリクさん。
「よく間違えられますよ。声が男の子みたいで、兜を着けてると自分でもそう思うこともありますよ」
  ウリクさんはボーイッシュな女の子で頭に猫耳。毛も細くて伸ばしたらもっと可愛くなるのでは?
「朝御飯はトーストとリトニアのスープ、それに簡単なサラダです」
  リトニアのスープ?
「なんですか?リトニアのスープって?」
「リトニアという鳥の家畜のもも肉を野菜と一緒に茹でたものですよ」
  食卓には二人分の食事が湯気を立たせて準備されていた。
「うわー!美味そうだ。」
  リトニアのスープは見た目、チキンスープとかわりなかった。
「これ、全部ウリクさんが作ったんですか?」
「ええ、ユニさんが食料庫にあるものならどれを使ってもいいと言われましたので」
  なるほど、しかし美味しそうだ。
  昨日の夕食がアレなだけに朝食が美味しそうだ。
「じゃあ、頂きます!」
「はい、頂いてください」
楽しそうに笑うウリクさん。向かい側で彼女も食事を始める。
  トーストはライ麦パンをスライスしたものに似ている。水分がすくなく美味く飲み込めないが、スープに浸して食べるとこれが美味い!
  スープの味が染み込んだパンは噛めば噛むほど甘味が出てくる。スープ自体がリトニアの肉の旨みを含んでいるためパンは甘く、そして噛めばまるで肉汁でも溢れてくるように口の中に広がった。スープに入っているリトニアの肉を単体で食べてみると、さっぱりとした肉の旨味が口の中に広がる。サラダも新鮮なため、葉は水を弾き瑞々しい歯応えがあり、後味は青臭くなく水を飲んだ後のような爽快感があった。
  この料理はどれも美味しいが、特にこのスープが美味い!野菜は旨味が染み込むように茹でたはずなのに、全く歯応えを失わせていない。肉はとても柔らかく、いくらでも入りそうだった。
「ウリクさん、これめっちゃ美味いです!」
「あら、ありがとう」
  ウリクさんは美味しそうに食べる俺を見ながら、嬉しそうな笑みを浮かべ、自分のスプーンを動かしていた。
「ごちそうさまでした!」
  やはり、異世界のいいところの一つは新鮮な野菜を新鮮なまま味わえることだな。それにしても、
「ウリクさん、この野菜、新鮮でしたけどどうしたんですか?食料庫にあったにしては全く萎びていませんが」
「ああ、早朝市場が開かれているんですよ。そこで、少し値が張るんですけど、魔具を使って新鮮な状態にした野菜を購入できるんです」
(なるほど、冷蔵庫みたいな魔具があるのか)
「わざわざありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。あ、そういえばユニさんから預かりものがあるんですよ」
  そう言って彼女はポケットから一つの袋を取り出した。
「はい、これ」
  俺は受け取った袋を開けてみると、一枚の紙とたくさんの銀色の硬貨が入ってあった。
『この金は剣の代金だ。キリスは一日ギルドにいるらしい。その家はウリクと使え。少なくとも3日は帰らない。写本の依頼を受けに来た奴がいたら、ウリクに任せろ』
  という、簡単な事柄が書かれていた。
「ウリクさんはこのメモを読みました?」
「読んではないけど、ユニさんから口答で大体は聞きましたよ」
  なるほど…………………………………………………………………………………
―――これってチャンスか?
つまり、ウリクさんと3日ではあるが二人きりなんだ!
(まぁ、手を出したらユニさんに殺されるし、ウリクさんが靡くかどうかも分からないし)
  とりあえず、剣の受け取りとキリスさんに魔具についてのご指導を受けなければ。
「ウリクさんはこのあとどうするんですか?」
「私はギルドへ依頼の報酬を受け取りに行きますよ」
  ふむ…俺は先に剣を受け取らなければならない、しかし、ギルドに行く予定もある。だから、剣の受け取りを後回しにすることもできる。
  今の俺の選択肢は
1.剣を赤髪の女の子から受けとる
2.ウリクさんと一緒にギルドに行く
  ここは迷うところだ。俺の見立てではあの赤髪の女の子は攻略対象だ。モブの容姿にしては目立ちすぎだ。
俺が出した答えは―――
―――1だ。
「だったら俺は剣を受け取りにいかないといけないので、『ノギスの鎚』に行ってきます」
「そう、行ってらっしゃい」
「朝御飯、美味しかったです。ありがとうございました。行ってきます」
  俺はそう言い残して、ユニリアス邸を出た。
―――ここはどこ?
  とりあえず、市場街のある南に来たんだが、活気にあふれ、武器屋がどこにあるか分からない。なんとなくうるおぼえの記憶の道を辿る。
(これは2が正解だったか?)
  ひたすら歩く。
  ひたすら歩く。
  ひたすら歩く。
  結局、道を尋ねてなんとか到着しました。
(歩いているだけでは、さすがにフラグはたたないか…)
古式ギャルゲでは王道なのに…
  店の看板には『ノギスの鎚』そして看板のデザインがハンマー。
  店の扉をくぐる。
「いらっしゃいませ」
  昨日も聞いた、元気を分けて貰えるような明るい声。
「昨日の剣を受け取りに来ました」
「ああ、昨日の黒髪の人!柄の交換は仕上がっていますよ」
  そう言って彼女はトテトテと裏に引っ込むと昨日の剣といくつかの小物を持ってきた。
「お兄さんは素人さんですか?」
  彼女は上目遣いのまま突然そう尋ねてきた。
「おう、ソルバーになるためピリス退治に行くんだ」
  快活に答える俺。
「だったら、これ付けておきますね」
  彼女はそう言って、ベルトと鞘に収まったダガーを剣の横に置いた。
「これは?」
「これは素人さんのための剥ぎ取りや調理用のナイフです。ベルトはお兄さんが昨日、身に付けてなかったんでそれで素人さんかなと思って付けました」
―――何かフラグの臭い…。
「どうして俺に親切にしてくれるんだい?」
  不審に思ったのはベルトじゃなくナイフ。オマケにしては鞘や柄にナイフにしては過飾な様子。
「…コレは私の妹が造ったものなんです。だから妹の作品が誰かに使われて欲しいんです。妹はまだ、売れるほどの作品が作れないから、私がこうやって妹の銘が入ったナイフなんかを渡しているんです」
「ちなみに妹さんの名前は」
「リリスです!」
「君の名前は?」
「…アリスです」
  ふむ、一応名前の交換ができたな。フラグはたてれたかな。
「分かった。もし、またナイフが必要になったら、この店のリリスちゃんの銘が入ったナイフを受け取りにくるよ」
「―――ありがとうございます!」
  そう言った彼女の顔は俺の好きな向日葵に似ていた。
(フラグなんていったけど、あんなに喜ばれると、こっちまで嬉しくなるな)
「とりあえず、剣の代金を支払います。確か銀貨が残り55枚でしたっけ」
そう言って袋を渡す。彼女はそれの中身を数える。
「えーっと、お兄さんの名前はなんですか?」
「ああ、俺の名前は野村圭介」
「はい、野村さん。銀貨55枚丁度お受け取りしました」
  そう言って、まだ重みのある袋を受け取った。
「アレ?」
「どうかしましたか?」
  袋の中身は確かに減っているが、まだ半分はある気がする。
「いえ…」
  まぁいっか♪
「じゃあ、ありがとうアリスちゃん」
「いう、ご利用ありがとうございました。剣の砥も行っているので、よかったらまた来てください!」
「おう!またくるよ!」
  しかし、しっかりと砥まで宣伝するのは商売癖か親切からか、
(両方だろうな)
とにかく次はギルドだ。キリスさんに色々と聞かなくては、
  そう思いながら、市場街を後にする。
「おわっ!え?なっ?え…?」
「おはようございます」
  エプロンドレスを来た猫耳少女がそこにいた。
「朝御飯を作っておきましたから、どうぞ食べてください」
あれ?このショタ声聞いたことがある…。
「もしかして、ウリク君?」
「はい、昨日は色々と…」
  あー、なんか色々とあったな。しかし、ウリク君が女の子だなんて…アニメの見すぎか、ショタ声な男の子だと思ってたけど、まさか女の子だったとは…。
「ユニさんが今朝、急にやってきて、『ギルドからの指名依頼が入った』らしいので、僕が圭介さんの世話を言付かりました」
  ウリク君―――ウリクさんがそう言っている傍ら、(ああ、異世界に来たのは現実なのか)なんて考えたりしてた。
「俺、ウリクさんのこと最初、男の子かと思いましたよ」
  うふふと笑うウリクさん。
「よく間違えられますよ。声が男の子みたいで、兜を着けてると自分でもそう思うこともありますよ」
  ウリクさんはボーイッシュな女の子で頭に猫耳。毛も細くて伸ばしたらもっと可愛くなるのでは?
「朝御飯はトーストとリトニアのスープ、それに簡単なサラダです」
  リトニアのスープ?
「なんですか?リトニアのスープって?」
「リトニアという鳥の家畜のもも肉を野菜と一緒に茹でたものですよ」
  食卓には二人分の食事が湯気を立たせて準備されていた。
「うわー!美味そうだ。」
  リトニアのスープは見た目、チキンスープとかわりなかった。
「これ、全部ウリクさんが作ったんですか?」
「ええ、ユニさんが食料庫にあるものならどれを使ってもいいと言われましたので」
  なるほど、しかし美味しそうだ。
  昨日の夕食がアレなだけに朝食が美味しそうだ。
「じゃあ、頂きます!」
「はい、頂いてください」
楽しそうに笑うウリクさん。向かい側で彼女も食事を始める。
  トーストはライ麦パンをスライスしたものに似ている。水分がすくなく美味く飲み込めないが、スープに浸して食べるとこれが美味い!
  スープの味が染み込んだパンは噛めば噛むほど甘味が出てくる。スープ自体がリトニアの肉の旨みを含んでいるためパンは甘く、そして噛めばまるで肉汁でも溢れてくるように口の中に広がった。スープに入っているリトニアの肉を単体で食べてみると、さっぱりとした肉の旨味が口の中に広がる。サラダも新鮮なため、葉は水を弾き瑞々しい歯応えがあり、後味は青臭くなく水を飲んだ後のような爽快感があった。
  この料理はどれも美味しいが、特にこのスープが美味い!野菜は旨味が染み込むように茹でたはずなのに、全く歯応えを失わせていない。肉はとても柔らかく、いくらでも入りそうだった。
「ウリクさん、これめっちゃ美味いです!」
「あら、ありがとう」
  ウリクさんは美味しそうに食べる俺を見ながら、嬉しそうな笑みを浮かべ、自分のスプーンを動かしていた。
「ごちそうさまでした!」
  やはり、異世界のいいところの一つは新鮮な野菜を新鮮なまま味わえることだな。それにしても、
「ウリクさん、この野菜、新鮮でしたけどどうしたんですか?食料庫にあったにしては全く萎びていませんが」
「ああ、早朝市場が開かれているんですよ。そこで、少し値が張るんですけど、魔具を使って新鮮な状態にした野菜を購入できるんです」
(なるほど、冷蔵庫みたいな魔具があるのか)
「わざわざありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。あ、そういえばユニさんから預かりものがあるんですよ」
  そう言って彼女はポケットから一つの袋を取り出した。
「はい、これ」
  俺は受け取った袋を開けてみると、一枚の紙とたくさんの銀色の硬貨が入ってあった。
『この金は剣の代金だ。キリスは一日ギルドにいるらしい。その家はウリクと使え。少なくとも3日は帰らない。写本の依頼を受けに来た奴がいたら、ウリクに任せろ』
  という、簡単な事柄が書かれていた。
「ウリクさんはこのメモを読みました?」
「読んではないけど、ユニさんから口答で大体は聞きましたよ」
  なるほど…………………………………………………………………………………
―――これってチャンスか?
つまり、ウリクさんと3日ではあるが二人きりなんだ!
(まぁ、手を出したらユニさんに殺されるし、ウリクさんが靡くかどうかも分からないし)
  とりあえず、剣の受け取りとキリスさんに魔具についてのご指導を受けなければ。
「ウリクさんはこのあとどうするんですか?」
「私はギルドへ依頼の報酬を受け取りに行きますよ」
  ふむ…俺は先に剣を受け取らなければならない、しかし、ギルドに行く予定もある。だから、剣の受け取りを後回しにすることもできる。
  今の俺の選択肢は
1.剣を赤髪の女の子から受けとる
2.ウリクさんと一緒にギルドに行く
  ここは迷うところだ。俺の見立てではあの赤髪の女の子は攻略対象だ。モブの容姿にしては目立ちすぎだ。
俺が出した答えは―――
―――1だ。
「だったら俺は剣を受け取りにいかないといけないので、『ノギスの鎚』に行ってきます」
「そう、行ってらっしゃい」
「朝御飯、美味しかったです。ありがとうございました。行ってきます」
  俺はそう言い残して、ユニリアス邸を出た。
―――ここはどこ?
  とりあえず、市場街のある南に来たんだが、活気にあふれ、武器屋がどこにあるか分からない。なんとなくうるおぼえの記憶の道を辿る。
(これは2が正解だったか?)
  ひたすら歩く。
  ひたすら歩く。
  ひたすら歩く。
  結局、道を尋ねてなんとか到着しました。
(歩いているだけでは、さすがにフラグはたたないか…)
古式ギャルゲでは王道なのに…
  店の看板には『ノギスの鎚』そして看板のデザインがハンマー。
  店の扉をくぐる。
「いらっしゃいませ」
  昨日も聞いた、元気を分けて貰えるような明るい声。
「昨日の剣を受け取りに来ました」
「ああ、昨日の黒髪の人!柄の交換は仕上がっていますよ」
  そう言って彼女はトテトテと裏に引っ込むと昨日の剣といくつかの小物を持ってきた。
「お兄さんは素人さんですか?」
  彼女は上目遣いのまま突然そう尋ねてきた。
「おう、ソルバーになるためピリス退治に行くんだ」
  快活に答える俺。
「だったら、これ付けておきますね」
  彼女はそう言って、ベルトと鞘に収まったダガーを剣の横に置いた。
「これは?」
「これは素人さんのための剥ぎ取りや調理用のナイフです。ベルトはお兄さんが昨日、身に付けてなかったんでそれで素人さんかなと思って付けました」
―――何かフラグの臭い…。
「どうして俺に親切にしてくれるんだい?」
  不審に思ったのはベルトじゃなくナイフ。オマケにしては鞘や柄にナイフにしては過飾な様子。
「…コレは私の妹が造ったものなんです。だから妹の作品が誰かに使われて欲しいんです。妹はまだ、売れるほどの作品が作れないから、私がこうやって妹の銘が入ったナイフなんかを渡しているんです」
「ちなみに妹さんの名前は」
「リリスです!」
「君の名前は?」
「…アリスです」
  ふむ、一応名前の交換ができたな。フラグはたてれたかな。
「分かった。もし、またナイフが必要になったら、この店のリリスちゃんの銘が入ったナイフを受け取りにくるよ」
「―――ありがとうございます!」
  そう言った彼女の顔は俺の好きな向日葵に似ていた。
(フラグなんていったけど、あんなに喜ばれると、こっちまで嬉しくなるな)
「とりあえず、剣の代金を支払います。確か銀貨が残り55枚でしたっけ」
そう言って袋を渡す。彼女はそれの中身を数える。
「えーっと、お兄さんの名前はなんですか?」
「ああ、俺の名前は野村圭介」
「はい、野村さん。銀貨55枚丁度お受け取りしました」
  そう言って、まだ重みのある袋を受け取った。
「アレ?」
「どうかしましたか?」
  袋の中身は確かに減っているが、まだ半分はある気がする。
「いえ…」
  まぁいっか♪
「じゃあ、ありがとうアリスちゃん」
「いう、ご利用ありがとうございました。剣の砥も行っているので、よかったらまた来てください!」
「おう!またくるよ!」
  しかし、しっかりと砥まで宣伝するのは商売癖か親切からか、
(両方だろうな)
とにかく次はギルドだ。キリスさんに色々と聞かなくては、
  そう思いながら、市場街を後にする。
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