神が遊んだ不完全な世界

田所舎人

主人公(仮)と魔具2

  俺達は武器屋を出た。
「さて、次はどこがいいんだい?」
「じゃあ、魔具を取り扱ってる店をお願いします」
  やはり、異世界ファンタジーものなら剣と魔法がないとね!
「魔具か、それならキリスが良い店を知ってるだろうが私は魔具に関しては疎くてな」
「そうなんですか…」
  残念だが、ココは引くしかないようだ。
「明日、キリスのいそうなところをあたってみよう。見つかったら、あいつに魔具に関しては任せよう」
「はい!分かりました」
  やっぱり、買い慣れてないものを買うときは買い慣れている人に頼るのが一番。PCも友人の目利きに頼ってたし。
「それ以外にはないのか?」
「いえ、もうないですね」
  色々見て回りたいが、ただてさえ街に入るのが遅かったため、ギルドや武器屋を回ったおかげで、街は眠りにつこうとしていた。
「なら、家に帰るか。私の家は街の西側の住民街にあるんだ」
  ユニさんは歩きながら街の大まかな説明をしてくれた。
「街には東西南北中の5種類からなっている。北から時計回りに貴族街、職人街、市場街、住民街、そして中央の統治街」
「貴族街って、貴族なんているんですか?」
「ん?お前のところは貴族がいなかったのか?」
「ええ、まぁ…」
「なら国の統治は誰がやるんだ?」
「国民が選ぶんですよ、国民が代表を決めて複数の代表が話し合いをして法や政策を敷くんです」
「ほう、国民の代表か、さぞかし立派な人物達が集まっているんだろう」
「ハハハ…」
(なかには立派な人はいるんだろうけど…)
  まぁ元の世界の政治形態に憂いを持っても仕方ない。
「職人街ってのはどんなところなんです?」
「職人街はその名の通り、鍛冶師や魔具師や細工師がいるな。他にも研究者や発明家等、主に技術や知識を扱う人のための街って感じだな」
  なるほど、
「ユニさんのお祖父さんも職人街で?」
「ああ、そうさ爺さんは若い頃は住民街に住んでたんだけどな。晩年期には職人街で暮らしてるな」
  なるほど


「統治街ってのは、なんですか?」
「ああ、統治街か。あそこは国の運営を行ってるとこだ。貴族やらが中でなにかしてるんだが、私ら国民には知る由はないな」
  ふむ、なんだか、冒険の臭いがするな。政治の腐食や横領、きな臭い雰囲気を漂わせてやがるぜ。


  ユニさんが立ち止まる。
「ココが、私の家だ」
そう言って紹介されたのは一軒のレンガ造りの家だった。二階建て庭付き、周りの家に比べても頭一つ出ている。
  中に入ると、意外にも上品な調度品が並べてある。しかしやはり目立つのは大型の本棚だ。中に入ってる本は色々な種類があり煩雑に仕舞われている。
「圭介、お前はこっちだ」
  そう言って通された部屋は簡素なベッドと机、机の上には水差しと蝋燭が一つ置かれていた。
「客用の部屋だ。殺風景だが好きなようにしてくれ」
「ありがとうございます」
留置所に比べたら幾分快適なベッドに床には動物の毛皮が敷かれていた。後で聞いた話だが、ギルドの友人が安く譲ってくれたのこと。もちろん魔物の毛皮である。
「じゃあ、約束通り、本を借りさせてもらう。ギルドに行ったときに、写本の依頼をしてきたからな」
「え、写本なら俺がしますよ?」
  むしろ、それを込みで条件を呑んだつもりだったが。
「あの厚さなら、写本にかかる時間も相当なものだろ。そうだとするとお前が依頼を受けたり、故郷を探す暇がないだろ」
  確かにそうなのだが…、
「それに条件は借りることで写本じゃないからな」


「はい、分かりました」
  ここはお言葉に甘えさせて貰おう。


「そういえば、魔具の件だが戦闘用じゃないが、日曜魔具ならあるが、使ってみるか?」
「え、いいんですか?」
  それは願ってもない提案だった。


「ちょっと待ってろ」
  そう言い残して、ユニさんは机にスタスタと向かう。中から一つの指輪を取り出した。
「コレを着けてみろ」
  言われた通りにする。
「まだ使うなよ、今、入れ物を持ってくるから」
  そう言って、奥の部屋から一つの桶を持ってきた。
「それはある程度の魔素保有量があるなら、使えるはずだ。キリスが使ってた水の魔具だ」
  

  俺は魔具を発動させようとしたが、どうやればいいのかわからなかった。とりあえずカメハメ波をするように力を指に集めるような意識をする。すると


―――チョロチョロチョロ
(おおお!出た!出たよ!出た!)


「おお、やるじゃないか。魔素保有量に関しては少なくとも一般人並みにはあるな」


「うわ、マジ嬉しい!魔術が使えたよ!魔術が!」


「そこまで喜ぶなよ、そこそこの才能があるなら子供でもできるんだ」
  そう言うユニさんは俺のお袋のような優しい笑みを浮かべていた。


「ユニさん、この水は飲めるんですか?」
「ああ、魔具の応用がまだ使えないお前ならソレは純粋な真水だよ」


  そう言いながら、ユニさんは


―――輝く水を指差した。

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