異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第90節

 俺は神器を手に入れるための簡単な算段をして会食の場に戻った。
 そこで俺の所有している土地の内、まだ手が付けられていない場所をブリッツ達放浪の民達の移住地と定め、あとはオセロの主動の下、大まかな取り決めを行って晴れて彼らは新天地を手に入れる事となった。俺としてもまだ誰の手も入れられていない土地を実験的に利用できるため悪い取引ではない。
 今、現代世界では発電機やバッテリー、家電と言った便利道具を揃えさせている。それらをこの世界で実用化するというのが俺の狙いだ。
 そうしてブリッツ達との会食も終わり、俺は早速準備を始めることにした。


 俺が動かせる人間。アイリ、ロージー、ジェイド、そして水城を集める。


「カズキ様? どうかなさいましたか?」


 俺の急な召集に小首をかしげるアイリ。


「ああ、ちょっと皆に一仕事してもらおうと思ってな」


「一樹。それって私も付き合わなくちゃダメなの?」


 私室でコンビニパンを食べていた途中の水城を引っ張ってきたからか、少し不機嫌な調子で尋ねてくる。


「人手は多い方が助かるんだ。手伝わないって言うならそれはそれで構わないけど、その場合は現代に帰ってもらうぞ」


「私を脅迫する気!?」


 水城は非難めいた声を上げた。


「脅迫じゃない。この世界で俺の目の届かない所で動かれるのは嫌ってだけさ。選択肢を提示してるだけいいじゃんか」


「……私、一応は一樹の監視役って命令を受けてるんだから私だけ現代に戻れるわけないでしょ?」


 もちろん知っている。


「なら話は決まりだな。一応聞くけど、水城が使える能力で戦闘向きなのはあるか?」


「……その質問で嫌な予感しかしないんだけど」


「無茶はさせるつもりは無いけど、自衛できないなら現代に戻ってもらった方が良いかなって」


 これは本心でもある。


「あるにはあるけど……」


「なら、護衛は付けなくていいな。アイリとジェイドはロージーの護衛をしてくれ。ロージーは交渉事で俺の支援を」


 念のためにカオスに作ってもらった高純度の魔石を二人に渡す。


「何かあったらそれを使ってくれ。魔人十人分に匹敵する魔力だ」


「ご主人様、いいんですか?」


 両手で丁寧に受け取るジェイドは確認の問いをする。


「もちろん。ジェイドがあの時、魔石を飲んだら魔人達を圧倒したことがあっただろう? あれだけの働きをしてくれるなら安いもんさ」


 あの時というのはジェイドが一人で牢に閉じ込められていた姫達を救った時の事だ。


「分かりました! ご主人様のご期待に添うよう全力を尽くします!}


「ああ。それでいい」


 話に聞いたジェイドの働きぶりは一騎当千そのものだった。


「それで? 私達に何をさせようって言うの?」


 水城は不機嫌に眉を吊り上げながら、胸を強調するように腕組みをして俺を問い質す。


「お宝争奪戦に俺達も参加するってこと」


「……一樹。突拍子もない事を何の脈絡もなく言う性格はやっぱり変わってないね」


「三つ子の魂百までだ」


「……まぁいいわ。それで? お宝って言うのと、私達以外の参加者って言うのは?」


 多少なりと付き合いがあるだけに会話のキャッチボールは自然だ。


「お宝ってのは神器。簡単に言うと、昔の勇者様の仲間が持っていた武器の事。他の参加者って言うのは魔人達だな」


「それで私に戦闘できるか聞いたわけね」


「そういうこと。で、お宝の数は全部で三つ。場所は推定だけど森の国、山の国、湖の国の各国」


「カズキ様。それならば、まずは森の国から行かれてはどうですか?」


 そう進言するアイリ。


「森の国か……そうだな。森の国なら今頃ハリソンが動いてくれている頃か」


 戦闘面でもハリソンとフランが加入してくれれば心強い。


「そうだな。アイリの言うとおり森の国の神器から回収するか」


 森の国の神器という事はトールの神器か。トールは魔法使いだったらしいから、その補助をしてくれるような神器だったんだろう。それならハリソンやアイリに持たせてもいいかもしれない。


「カズキ様、これから馬車をご用意しましょうか?」


 ロージーが気を利かせてくれるがその必要はない。


「大丈夫だ。とっておきの裏道をハリソンに持たせてある」

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