異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第83節

 途中、水城やロージー、ジェイドの姿が目に付いたためついでに拾って連れて行く。
 ヒノモトの外に出ると野営の準備をしている多様な姿をした人間が目に付いた。一見しただけでは分からないが、何かの混血化という事は分かる。
 小柄な褐色肌の人間はタイン人とシーク人の混血だろうし、人並の身長で色素が薄い感じの人間はアベル人とトール人の混血だろう。中には見たこともない特徴、例えば動物の耳のような物が頭部から生えていたり、毛深いという表現の域を超えた容姿の人間もいた。


「なるほどね」


 混血種だけでなく、これだけの珍妙な見た目の存在が居ればなかなか受け入れてもらえれないのも納得だ。


「しっかし、ここまで来ると確かに魔人と区別がつかなくなってもおかしくないか」


 俺が見てきた人型の魔人はかなり人間の姿形をしており、口には出さないが目の前にいる彼らよりも見た目だけ言えばアベル人を含む四大種族の姿に近い。
 しかし、獣耳の人間がいるというのは正直驚いた。
 こっちの世界に獣人は居ないと思い込んでいたからだ。
 俺自身に獣耳属性は無いが、自然と目を引く。
 そんな俺の視線を受けてか、俺の視線を避けるように物陰に隠れる者も数人。


「あんた、俺らに何か用か?」


 見た目がアベル人の青年が俺に食って掛かってきた。
 なるほど。おそらくこの青年はタイン人との混血だろう。体内に宿す魔力の量が極端に少ない。


「俺は和の国の王、神崎一樹。この地に定住したいという者達の視察に来た」


 自分の身分と用件を率直に伝えると、青年は若干疑い交じりの視線を向けるも、俺の背後に視線をやると何か納得するような仕草を見せた。


「……分かった。今、ボスを呼んでくる」


 青年は俺の返事を待たず、タッタと走りだした。


「どうやら、問題の一つはクリアかな」


「問題ですか?」


 俺の呟きにアイリが反応した。


「ああ。移民の最重要問題の一つ、魔人だよ。目に付く限り、魔人はいないみたいだ」


「見ただけでわかるんですか?」


「ああ」


 実際は俺が判別しているわけではなく、カオスとクララに判別してもらっている。俺が分かるのはせいぜい魔力の濃淡と流れぐらいの物。よくよく観察すれば、自力で判別も付くだろうが。
 ともかく、今この場に居る人達は人間だ。そのことをどう領民に信じて貰うかって問題はまだあるが、少なくとも俺自身が疑心暗鬼になることはないだろう。


「カズキ」


 俺が次の行動について考えているとカオスが声を掛けてきた。


「どうした?」


「魔人だ」

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