異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第76節

 私達はそのまま北上し、何事もなくフォレストの手前まで辿り着いた。


「これ以上先に彼らを連れていけません」


 サラ様が生み出した小魔獣達が森の中でじっとこちらを見つめている。


「さすがに魔獣を連れてはいけませんね」


 結局、ヨハンを森の中で見つけることはできなかった。おそらく、森の中で私達を襲うことなくフォレストに逃げ帰ったということだろう。


「しかし、そうなると困りましたね」


 このままヨハンを見逃すことはできない。
 フォレストでヨハンの姿を確認できたことは幸いだが、姿を隠されれば振出しに戻ってしまう。


「……ハリソンさん」


 アンバーは何か言いたげに私を見上げている。


「なんしょうか?」


「その……小魔獣達をフォレストの周辺に配置して、出国を監視させるのはどうでしょう」


 なるほど。確かに戦闘能力の無い魔獣ならば不用意にフォレストの住人を脅かすことなく広範囲に配置できる。


「サラ様、いかがでしょう?」


「彼らは森の領域ならばどこでも行動できるわ。この国は四方に森があるから、問題は無いわね」


 ならば、閉じ込めるとはいかずとも出入りの監視は可能なわけだ。となれば、あとは本当にフォレスト内にヨハンがいるかどうかだが。


「情報がない以上、考えても仕方ありませんね」


 カズキ様のように魔力の敏感ならば、ヨハンの魔力を追う事も可能なのかもしれませんが、私の感覚はそこまで鋭くない。そういえば、サラ様はどうなのだろう。


「サラ様は魔力の痕跡を追うことはできませんか?」


「……残念ですが、私にそのような力はありません。私はあくまで人間を手助けするためめカオス様より生み出された存在。出来る事と言えば、膨大な魔力の貯蔵と僅かな助言。あとは些末な事が少しぐらいです」


 それは残念だが、仕方がない。
 とりあえず、フォレストに入国し体を休める必要があるだろう。
 入国手続きをし、中に入る。その際、ルディが門兵と何かを話していた。


「ロウ様、どうやらヨハンの奴はここを通って入国したらしいですよ」


「さっきの兵とそれを?」


「顔見知りでしてね。それより、ヨハンは間違いなくここに入ったみたいです」


「ルディ、ありがとうございます」


 となると、ヨハンは間違いなくフォレストに居て、周囲に小魔獣を配置。こうなれば、半ば閉じ込めた形になった。

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