異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第68節

 日が傾いた頃、一際大きい古木にできた洞を発見した。
 中はそれなりに広く、人間が四人横になって寝れる程度には広い。
 ここを一時的な拠点とし、虫除けの野草を燻して中の虫を追い払って簡単に掃除する。
 日が暮れた頃には快適とまではいかないが、風雨を凌ぐには十分な拠点が出来上がった。


「幸運でしたね」


 ルディは焚火に薪を放る。


「そうですね。これだけ都合良く見つかるとは思いませんでした」


 周囲は全て森。今いる地点は一般人が決して足を踏み入れない領域。前人未到といってもいいかもしれない場所だ。自然と大木も多い。その中でも、この木はかなりの大木だ。


「フランさん、半日かけてそれなりに進んだかと思いますが、明日はどこまで向かいましょうか」


「ハリソンさんの推測に従えば、魔獣が多く存在する場所。そこに例の秘宝があると見れば今の調子で魔獣の縄張りを突っ切る必要があるでしょうが、案外目的の場所は近いのかもしれません」


「そう思いますか?」


「森の国に人間の足で僅か半日の距離で魔獣が百体以上も存在した。これは通常ならばありえない話です。異変と言ってもいいでしょう。ハリソンさんの推測が正しく、これがカズキ様の影響とするならば、このような事態になったのはつい最近。例えば、以前からその秘宝を中心に魔獣の縄張りが円状にあるとします。新たにここに集ってきた魔獣が居た場合、既にある円の外側にまた縄張りをつくる事でしょう。今、私達が居る場所はその新たに流入してきた魔獣の縄張りであると私は感じています」


 パチパチの焚火から爆ぜる音が聞こえる。


「つまり、私達はその縄張りの中心に向かえばよいと」


「そうですね。それが南なのか、西なのか、東なのかは分かりませんが」


 魔獣が自然と集まる場所。そんな場所があるならば、魔人のヨハンも自然とそこに向かうことができるのかもしれない。

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