異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第67節

 森を進むと散発的な戦闘が起こった。
 どれも魔獣との戦闘だったが、数が少ないだけに一撃必殺を心がける私達にとって十秒と掛からない戦闘だ。最早、戦闘と言うよりも狩りではないかと思える物だった。
 なによりフランさんの行動が早く、見敵必殺を実践しているようだ。
 そのおかげで魔石の消費も抑えられ、手元の魔石は着実に数を増していた。
 それでもフランさんは未だ全力ではない。カズキ様が言う所の炎のドレスを身に纏ったあの姿ではない。あくまで自身の身体能力と多少の身体強化のみだ。
 まだまだ余力はあると感じ、更に奥に向かう。
 徐々に魔獣との戦闘の頻度、魔獣の数が増してくる。途中からはフランさん一人ではなく、ルディも加勢し、私達も遠距離から魔術によって加勢し、こちらの損害を最低限に保つ。


「さすがに骨が折れますね」


 フランさんは大剣を背負い直し、そんな言葉を吐いた。
 既にフランさんが倒した魔獣の数は百を超えている。半日にも満たない時間でこれだけの数だ。やはり、この森に巣食う魔獣の数は以上だ。


「短い時間ですが休憩を取りましょう。水や携帯食料は今のうちに摂取してください」


 私達はその場に座り、身体を休める。
 私が思った以上に身体の疲労が貯まっていたらしく、体のだるさを実感する。


 水と携帯食料を消費し、体を休める。
 アンバーは見た所、かなり疲れているようだ。やはり十歳過ぎのアベル人の女の子だ。大人でも疲労を訴える程度にはきつい場所。それでも、アンバーは文句は言わずについてきており、魔術での加勢も十分戦力として数えられる。さすが、ロイスさんに魔術を教わったというだけはある。
 元々、アンバーは才能があるようで何でも器用にこなし、魔術もそれに漏れない。本人のやる気さえ備わればきっと大成する事だろう。


「アンバー、大丈夫ですか?」


「……そうね。まだ大丈夫よ」


 まだ、ですか。


「フランさん、そろそろキャンプを張ったほうが良いかもしれませんね」


「そうですね。私もそれを考えていました」


 フランさんが立ち上がり、私達も立ち上がる。


「もう少し進みましょう。それでいい場所が見つからなければ、木の上に簡易の寝床を作りましょう」

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