異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第66節

 準備を終えた翌日の午後。
 私達四人は森の国を西門から出国し、そこから南に向かう。
 南の森は馬車が通れない事が多々あるため、移動手段は徒歩に限定される。
 装備としてはフランさんは普段の片手剣に加え、大剣を背負っており、ルディもまた片手剣とは別に長槍を背負っている。
 私とアンバーは戦闘手段が魔術のため武器を新たに用意する必要はないが、代わりに袋いっぱいになるまで詰めた魔石を携帯している。数にして百個、重さにして一キロ未満、価格にして金貨二枚。
 これだけの量があれば一日二日で尽きるという事もないだろう。
 食糧事情に関しても水と干し肉と塩を準備し、後は森の中で採取できる野草や湧水を頼ることにする。ルディは現役冒険者、フランさんは元冒険者。野草・薬草の知識は二人が詳しく、私も決して無知という分けではない。アンバーも食用の野草ならばある程度は見分けがつくため、困ることは無いだろう。


 南の森に入り約一時間。緑の濃さがより一層濃くなった地点。


「ここから先は私の指示に従ってもらいます」


 フランさんは真剣な面持ちだ。


「本来ならば危険は回避するものですが、今回はその危険に飛び込む事も織り込む必要がある計画です。並の魔獣の一匹や二匹ならば勝てるでしょう。しかし、魔獣は群れます。十匹を超える群れと戦う事もあるでしょう。それらに勝つことはできても辛勝であれば、続行は不可能と思ってください。この計画を遂行するためには一戦一戦が楽勝であることが必要条件となります。幸い、魔石という戦備が豊富にあるため魔力の消費を抑えて体力を消耗するといった状況にもなりにくいでしょう。魔獣への対処は一撃必殺を意識してください。相手を見据えて様子を見るといった時間は相手にこちらを囲わせる時間と思ってください」


 とても重要な点だ。
 魔獣は狡猾な一面があり、弱れば瞬時に襲ってくるが余力があると見ると仲間と連携を見せる。個体の強さは魔人ほどではないが、群れには群れの脅威がある。


「確認ですが、前衛は私、後衛はルディ君。中衛前がハリソンさん、中衛後がアンバーです」


 配置的に私達二人は守られる側であり、フランさん達二人は攻める側だ。


「あとの細かな部分は昨日打ち合わせた通りでお願いします」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く