異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第64節

 パーティも終わり、キャス王女やフォレスト王に礼を述べた後、ルディも含めた私達は宿に戻った。


「明日からは森の国に眠る秘宝を探します」


「ハリソンさん、あてはあるんですか?」


 フランさんが言うのも尤もだ。情報としては森の国の南にあるとしか分からない。方角が分かっても距離が分からない。
 しかし、その条件は秘宝探索に携わる全員に共通している。でなければ、既に見つかっているはずだからだ。


「一つ気掛かりなのは姿を消した魔獣が南の森に隠れ潜んでいるという話です」


 これが偶然でなければ、きっと手掛かりになるはずだ。


「もし、南の森に秘宝があり、その秘宝を囲うように魔獣が居たとします。普通の冒険者ならば、数匹の魔獣ならば対処できるかもしれませんが、大群ともなれば迂回をするでしょう。すると、未探索の空間がすっぽりと現れます」


「……なるほど。しかし、そんなことがあり得るのでしょうか?」


「魔族の生態は私達にも分かりません。もう一つの可能性としては、カズキ様がお手にするカオス様。その身が封じられた部屋は認識阻害系の高度な魔術が施されていたとか。それと同様の魔術が施されていた場合、私達に知覚することはできません」


「……では、どうすればよいと?」


「そこでコレの出番です」


 私は手鏡を取り出した。


「それは……カズキ様の世界のものですね?」


「はい。認識阻害系の魔術とは私達の知覚、目であれば光の強弱や色、遠近。そういった認識を意図的に曲げる性質を持ちます。つまり、私達が体に宿す魔力に干渉し、幻を見せるのですね。極論ですが、炎の魔術で光を感じ、熱を感じるのと同様です。しかし、カズキ様の世界の物品は魔力を宿していません。故に、この手鏡一つで認識阻害魔術を突破します」


「理屈は分かりましたが……それは実際に可能なんですか?」


「それは確認しています。さすがに認識阻害の魔術は個人で使えるような代物ではないので、孤児院の地下にあった物で確認しています」


「……ああ、あれね」


 アンバーは今ので納得したらしい。


「頼りない推理ですが、これまでに発見されなかったそれなりの理由があるはずです。どうすれば見つかるというよりも、どうして見つからないのかという逆転の発想ですね」


「いいでしょう。先の戦争でも結局、一万を超えるの魔族のほとんどをカズキ様に取られまして、あまり活躍する機会がありませんでしたから。久々に腕が鳴ります」


 そう張り切るフランさん。


「あのー、すみません」


「なんですか? ルディ」


「さっきから話を聞いてて、やっぱり分からないんですけど、カズキ様ってどんな人なんですか?」

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