異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第59節

 客室を貸し与えられた私達。
 パーティの開催までやや時間がある。
 このまま大人しくするのもいいだろうが、折角なので情報を収集してもらおう。


「ルディ、少し頼みがある」


「なんですか?」


「パーティに参加する貴族がこれからやってくるでしょう。その貴族と護衛をチェックして欲しいのです」


「分かりました」


「髪を剃ったシーク人の護衛が居たらすぐに知らせてください」


 今回のパーティの一番の目的はヨハンの捜索にある。もちろん、和の国を周知し、大使館を両国に置くことができれば良いが、あくまでついでだ。
 ルディは私の指示に従い、部屋を出る。


「私達は会場に向かいましょう」


 会場は既に開かれており、いつでも入れるようにはなっているだろう。そこに一足先に乗り込むのだ。
 この城には何度か訪れたことがあるため、内部構造はおおよそわかる。なので、誰かの案内を求めなくとも中は自由に移動できる。二人にも城の構造は伝えているが、実際に見るに越したことはないだろう。何かあってもすぐ動けるようにだ。


「ハリソンさん、本当に武器の携帯はしなくてもよろしいのでしょうか?」


 今のフランさんはドレスを身にまとっている普通の女性だ。武器の携帯をしていないため、護衛には見えない。


「フランさんは素手でも強いことは知っていますが、さすがに武器持ちの同格と戦えとは言いません。場合によってはここの兵士の武器を使ってください。あとの責任は私が取ります」


 フランさんにはあくまで私の同伴者という位置づけで居てもらいたい。可能な限り、相手の警戒心を煽るような事はないようにしなければならないのだ。


「私は?」


「アンバーは常に私の傍に。何かあった時にすぐに指示ができるようにしたいので」


 自ら動いてもいいのだが、簡単なことならば誰かに任せるのが一番だ。


「では向かいましょう」


 私達三人は客室を離れ、会場に向かう。
 会場の扉は既に開かれており、ポツリポツリとだが人影もある。


「ハリソンさん。こんばんわ」


 私を見つけ、真っ先に話しかけてきたのはイゴールだった。


「こんばんわ。イゴールさんもいらしていたのですね」


「はい。ちょっとしたツテがありまして、このパーティに参加する事ができたんです。私は正式な招待客ではなく、招待された貴族の同伴者という立場ですが」


「そういうことですか」


「はい。何かご相談ごとがありましたら、気軽に私にお声ください」


「ありがとうございます」

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