異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第58節

 翌日。
 私達は夕方のパーティーの準備にかかっていた。ルディも一緒だ。
 準備と言っても私達は衣装の準備ぐらいのもので、あとはアンバーの手料理を運び出すぐらいだ。
 忙しいのはアンバーで、当日だからこそ用意できるをここぞとばかりに作るのだ。
 カズキ様の衛生観念はとても強く、特にキッチンの不衛生にはとても厳しい。それがカズキ様だけなのかと思っていたが、実はミズキ様も同様であり、こちらの文化とあちらの文化では大きな齟齬があると気づかされることもあった。
 それは料理を作るアンバーやジェイドにも言い含められている。
 そういうこともあり、アンバーの作る料理はとても美味しい上に安全であると私達は思っている。それは必ず王侯貴族にも通じる品質だろう。
 しかし、料理だけが準備ではない。
 パーティーに出席する以上、それなりの衣装が求められる。
 今回、私達が用意した衣装はカズキ様が支給してくださった物だ。
 どんな素材で作っているのか想像できないシルクともまた違った肌触りのスーツやドレスだ。
 それらを着込み、チェックする。一人でネクタイを締められるようになるまで、カズキ様に何度も教えてもらった。その成果がこうして現れている。
 フランさんはいつもの赤いドレスを着用し、とても魅力的な出で立ちだ。妻子持ちの私だが、綺麗な女性を目にして喜ばないわけではない。
 アンバーは子供用のドレスを身にまとっている。可愛らしいデザインで、大人びた雰囲気を持つアンバーが子供らしいデザインのドレスを着ることで、カズキ様が口にしたギャップというものを私も感じていた。
 ルディは和の国の使者というよりも護衛の傭兵であるため、スーツは着なくてもいいだろうと判断した。そもそも、このスーツはあまり運動に適さない。剣を下げても様にならないだろう。
 そうした準備も終え、馬車で城に向かう。もちろん、荷台には多くの料理とお菓子を積んでいる。


 城に入ると初めにキャス王女が出迎えてくれた。


「お早い到着ですね」


 早い到着といっても定刻のつもりだった。カズキ様は時間に厳しい方だ。五分前行動という文化が私達に少しずつ影響を与えているのだと改めて感じた。
 さて、今回の主賓は私達であり、主催はキャス王女という話らしい。
 アンバーの手料理をパーティー会場に並べるよう願い出て、キャス王女は快く引き受け、召使達に運ばせた。その後、私たちは客室に案内される。


「パーティー中はこの部屋をご自由にお使いください」


「ありがとうございます」


 私は例を述べてキャス王女は退室した。

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