異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第54節

「ルディ、貴重な情報をありがとう」


「ロウ様のためならお安いご用ですよ」


 私は手元の資金の内で日当も合わせて大銀貨七枚を手渡した。


「こんなにいいんですか?」


「貰ってください」


 二日分の日当と情報料、高くもないが安くもない額のつもりだ。
 特に秘宝探索にヨハンが関わっていないという情報は大きい。これでパーティーの方に注力できる。


「少し話は変わりますが、今度王城でパーティが開かれ、私達はそのパーティに招待されているのですが、ルディにも一緒に来てほしいんです」


「俺がパーティにですか?」


「はい。王城で諍いなど起こらないでしょうが、万一のためにルディには私の護衛をしてほしいのです」


「まぁロウ様がそう言うなら、俺はいいんですけど」


 ルディは少し照れた感じで頭を掻く。


「私の護衛はここにいるフランさんとルディにしてもら追うと思います。そこで、二人の連携を深めるためにも顔合わせをしておこうと思ってまして」


「フランさん? もしかして、あの『赤き獣』のフランさんですか?」


「ああ。そう呼ばれていた時期もあった」


「凄い! もしかして、和の国の王様に雇われたんですか?」


「まぁそのようなものだ。今は主の命でハリソンさんを護衛するよう言われている」


「そうなんですか! あの『赤き獣』さんと一緒に仕事ができるなんて光栄です!」


 ルディとフランさんは年齢が一つか二つぐらいしか違っていないが、フランさんの場合は幼い頃から冒険者をやっていたため、ルディとは年齢差以上に経験や場数が違っている。いくらルディが若手としては実力が突出しているとはいえ、フランさんから見ればまだまだ若手だろう。


「ルディ君の得意な武器は?」


「俺は一通り武器は使えますけど、槍と剣が主ですね」


「剣は片手剣? それとも両手剣?」


「どっちも使えますけど、片手剣の方が得意です」


「手を見せてもらってもいいかな?」


「はい」


 ルディは右手を差出し、フランさんがその手を握る。


「……基礎鍛錬を怠っていない良い手だ」


 ……ヨハンが言っていた。熟練の戦士は対峙する者の実力を正確に測れるようになると。私は当時でも今でも相手の実力を測れない。そういった意味では私は未だに熟練の戦士ではないのだろう。そして、それを教えてくれた彼は熟練の戦士なのだろう。


「ありがとうございます!」


 ルディは感極まって喜びの声を上げる。


「ハリソンさん、彼と少し打ち合ってもいいですか?」


「ああ、この後の予定はないからそうしてもらっても構わないですよ。私もルディの剣の腕前を見ておきたいですから」


「そう言われると緊張しますね」


 ルディはそういって笑った。

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