異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第50節

 翌朝。


「……ハリソン様、起きてください」


「おはよう。アンバー」


 昨日の目覚めと違い、寝起きは快調だ。


「……また、あの人が来てます」


「また? まさか、キャス王女が?」


 コクリ。


「じゃあ、待たせるわけにはいかないか」


 あのお姫様は朝に強いタイプのようだ。しかも、相手が寝ている時間だろうと関係なくやってくるらしい。
 簡単に身だしなみを整えてアンバー達が使ってる部屋に向かう。


「おはようございます。キャス王女」


「ええ。おはよう」


 いつもの凛とした姿で座っているキャス王女。この人が昨日の帰り際にお菓子を両手に持って帰る姿がなんとも印象に残っている。


「今日はどういったご用でしょうか」


「お父様からの提案を伝えに来たわ」


「提案?」


「二日後に貴方達を歓迎するパーティーを開くわ。そのパーティーには私達王族と貴方達、それから他の貴族も参加するの。そこで、私達や貴族達に和の国について教えまわって欲しいの。なにせ、新興国。誰も和の国の事なんて知らないわ。知っているのは唯一そこの君主が魔王殺しということぐらい。それだけの話で、大使館の用意なんてとてもできないわ」


「…………」


 確かに他国の人間を領地に滞在させるとなれば、ある意味での賓客。その国についての理解が深くなければ、不要な争いを生むかもしれない。


「分かりました。そのパーティーに参加し、和の国について皆さんに理解を深めてもらえるよう努めます」


「なら、後の事は任せるわ。和の国について知ってほしいということで、何かしら持ち込む物があれば準備してちょうだい。一応、これを渡しておくわ」


 キャス王女から一枚のスクロールを頂く。


「これは……許可証ですか?」


「ええ。入国時にも色々と質問攻めにあったと聞いているわ。城に入るときに同じような事が無いよう、兵士にそれを見せれば簡単に中に入れるの」


「いいんですか?」


「いいのよ。曲がりなりにも私達が主催のパーティーであなたは招待客。その招待客が兵士に質問攻めされるなんて、笑われちゃうわ」


「ご厚意感謝します」


「いいの……そうね、パーティーに持ち込む物にお菓子を入れてくれると嬉しいわ。妹達がきっと喜ぶもの」


「承りました」


 カズキ様がご用意してくださったお菓子の在庫はまだまだある。しかも、賞味期限という味の品質が損なわれない期間というものが長いため、長期保存もできるという優れものだ。
 甘味をこれだけ長時間常温にて保存できるという技術は本当に目を見張るものがある。

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