異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第48節

 昼食を終え、私はルディに私達が使っている宿の場所を伝えて別れ、一度宿に戻ることにした。
 協力者を増やし、根回しと情報収集を怠らず、あとは報せを待つばかりか。
 手持ちの資金は豊富だが、有限だ。それに動きすぎることでヨハンに気付かれる可能性もある。……いや、既に気が付かれているかもしれない。魔人がヨハン一人だとは限らない。故にどこに魔人の目があるかもわからないのだ。
 カズキ様に聞いたことがあるが、カズキ様の世界では人狼というゲームがあるらしい。
 数人の村人から成る村に人を食らう狼が人に化け、何食わぬ顔で一緒に暮らしているという舞台で行うゲームだそうだ。その狼は人狼と呼ばれ、夜な夜な村人を襲う。カズキ様は魔人をその人狼に例えていた。
 人狼は繰り言で村人を惑わし、団結力を弱め、その隙に付け入る。そして気が付いた時には村人の数が人狼の数より少なくなった時点で人狼側の勝利となる。
 そのゲームを現実に置き換えれば、私達が魔人を根絶やしにしなければ真の勝利を得ることはできない。
 そのためには村人と人狼、人間と魔人を見分ける術が必要だ。
 ゲームでは占い師と呼ばれる役割を持つ村人のみがその術を持っている。
 現実では魔人を人間と見分ける術はある。一つ目は魔人は死ぬと死体を残さず魔石のみを残す事。二つ目は魔人は子を生すことができないため、孕む事も孕ませることもできないというもの。
 この二つは知られていながら、すぐに実行する事が出来ない術なのだ。
 一つ目の術を粛清という名の下に実行した国はあったが、疑心暗鬼に陥った結果、大量の国民を処刑し、結果的に国は疲弊し、亡国となった。
 二つ目の術は比較的生産的であり、貴族達は部下に妻や夫となる異性を紹介する事がままある。しかし、判別するのに時間がかかるため、一発で見抜ける手段ではない事も確かだ。
 もし、ヨハンが他の魔人と協力しており、その魔人が私の目の前に現れたとしても気が付く可能性は低いだろう。仮にイゴールやルディが実は魔人であっても、気が付かないだろう。
 ここは臆病風に吹かれて身を縮めるか、開き直って堂々と立ち向かうか。
 そもそも私達は戦いに来たのだ。あちらから襲ってくれるならば返り討ちにして情報の一つも吐かせたい。ならば、もっと積極的に動くべきなのだろうか。
 賭けになるがリスクは少なくリターンは大きい。ならば賭けに乗じるが良いだろう。

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